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Vintageは両義的

Vintage / Herringbone Fireman Trousers

Vintageの魅力の一つは、その一期一会の刹那性です。これを逃すともしかしたらもう一生出会えないかもしれないという、何とも所有欲・購買欲を掻き立てられるワードに幾度となく遭遇し、自制心を闘わせ、そして惨敗してきたことでしょうか。そんな方も多いと思います。 では何故、「もうこんなものに一生出会えないかもしれない」と思うのでしょうか。希少であればあるほどその思いは強いかといえば実はそうではなくて、あまりに希少すぎるものはかえって自分では所有してはいけないような気分にさせられます。誰か、もっとVintageを愛してやまない誰かか、熱烈なコレクターの元へ届くべきだと思ってしまいます。

Vintage / 50's Blue Cotton Jacket / 18,000+tax

Vintage / 50's French Hospital Military Coat / 18,000+tax

「こんな素敵なものに出会えてよかった」と思えるポイントはいくつかありますがその最大のポイントは、目の前にあるそのものの持つ、ちょっとした色褪せ、ほころび、傷、前の所有者が書いたかもしれないサイン、そんな所にあると私は思います。私ではない誰かから見るとそれは単なる汚れで、そんな一着は「綺麗ではない普通の古着」になるのですが、そこに魅力を見出してしまったらそれが「私にとって特別な一着」になるのです。

Vintage / Blue Patchwork Jacket / 33,000+tax

Vintage / 40's French Army Motorcycle Overpants / 16,000+tax

「汚れ」「傷」「破損」そんな様々なポイントが何物にも代え難い魅力になる。そういった意味でVintageは両義的なものであり、それがたくさんの人を虜にしているのでしょう。そんなことを考えながら、宝探しをするような気持ちで古着を見ると本当に幸せな気持ちになれます。そしてそんな気持ちで少し眺めていただきたいなと思っています。(Pari Vintage Market Vol.3)(守屋)

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自分と外の間に在るもの

Scye / Line Tuck Blouse / 36,000+tax

古くは貴族階級が着用していたシャツもあれば、労働者のためのシャツがあり、夏用の軽やかなアロハシャツがあれば、防寒のためのウールのCPOシャツがあります。そして、スラックスに合わせたいビスポークの美しいブロードシャツから、デニムに合わせたい粗野なコットンのB.Dシャツ、はたまたスカートに合わせたいリボンのあしらわれたシャツブラウス。

 CASEY CASEY / CHEMISIE BIG SANSPOCHE / 48,000+tax

一言に「シャツ」と定義してもその姿は言葉通り無限大で、素材・生地・デザイン・価値までもが本当に幅広く存在しています。そして私にとってシャツは、洋服の中で最も魅力的だと思うアイテムです。

見た目の多様さはシャツの魅力の一つですが、身に纏った際にしっかりとその素材を肌で感じることが出来るというのもポイントです。季節や気候との相性を測るように素材や質感を選びながらも、その素材はしっかりと自分の肌にも直接触れます。いわば「自分の外」と「自分」とを繋ぐようなその役割は、ジャケットのように外に近くもなく、カットソーのように肌に近くもない。その「自分の外」と「自分」との間の距離感がとても好きです。

Phlannel / Anonymous Shirt / 18,000+tax

何年も着用し、洗濯を繰り返し、くったりと柔らかさを増した生地の愛らしい姿もまた魅力で、そうなった時には更に自分の肌にすんなりと馴染んでくれます。そして「自分の外」と「自分」との間にごくごく自然に存在してくれるものとなります。

そんなことを考えていた折に、Paris買い付けのVintageがお店に到着し、その中から綺麗にリペアの施されたシャツを数枚見つけました。大切に着続けられた証拠としての丁寧なリペアの跡を見ると、自分もしっかりと、所有するシャツ一枚一枚に愛情を持って接したいなと、背筋が伸びる思いでした。(守屋)

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自分の色で染める

OUTIL / MANNTEAU UZES / 44,000+tax

OUTILのアイテムを好む人、OUTILの服が似合う人は、自己流のファッションの楽しみ方を心得ていて、あらゆるアイテムを自分色に染め上げて着こなすいわば「ファッション玄人」だと思います。一見するとシンプルなデザインやテキスタイル、ナチュラルな色使い。しかし一度袖を通してみるとその服の奥深くにある個性が顔を出します。そしてそれに身動ぐことなく、気負うことなく、自分らしく着こなさないと、服のパワーに負けてしまう。OUTILとは私にとってそんなブランドです。

ナチュラルインディゴと備長炭の美しい染めのコートはまさに、見るに美しく、着るに難しといった印象を与えます。しかし、だからこそ、その味わい深い染め上げの雰囲気の良さを借りて、自分の色に奥行きを持たせ、着こなしを楽しんでみたいと思うのではないでしょうか。簡単な服はもちろん使い勝手が良いですが、そうではない服の面白さやそれを着た満足感には代えられません。

そしてオリジナルのボタンの淵には、デザイナーの好きなフランス語の一文が細かく刻印されています。細部にまで気を抜くことを許さない完成度の高さも、「ファッション玄人」を唸らせるポイントです。そんな氏の思いの込められた言葉を解読し、理解した頃には、きっとこのコートも自分色に染めることが出来ているのではないかと思います。(守屋)

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行けるところまで

世の中に生み出される物には大きく分けて二種の存在意義があります。一つはそれらを享受する立場にある人(=消費者)を主体として考え生み出された、「ニーズに即した物」として。そしてもう一方は「行けるところまで行こう」という作り手の探究心や挑戦的な思いだけにフォーカスして作られた、いわば「ニーズを優先せずとも究極を求められた物」として。上記二種は完全な個人的見解です。そして私は後者を圧倒的に好みます。この後者の代表的なアイテムが入荷してまいりました。

Le Yucca's / Ghillie Shoes / 118,000+tax

ニーズを優先しないという言い方にはやや語弊がありますが、ここまで職人の熟練した技術が披露される物はごく少数派の人が求めるクオリティであるように感じます。それほどに、見れば見るほど惚れ惚れとするディティールです。ベジタブルタンニングの革の表情、美しいコバのシルエット、絶妙に計算されたヒールの高さやソールの飾りなど、本当にどこまでも抜かりのない一足。妥協などあり得ず、納得のいく物を求める作り手の思いを最優先させて作り出せれた物のもつ唯一無二の存在感にはため息が出ます。

そういった物を所有した際の満足感はその作り手の込めた「行けるところまで行こう」の思いと比例します。だからこそ、それを求める数少ない人々は減ることなく、それどころかその物を求める新たなニーズさえも生み出します。熱意のある物は必ず人の心を掴むものなのです。(守屋)

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