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未来へ投資すること

OUTIL / MANTEAU LUZE / 60,000+tax

この時勢を考えずに純粋に洋服に向き合おうと思ったところで、どうしても頭や身体は素直にこの正常でない環境のことを考え、過敏に反応してしまいます。そんな数日を過ごす中で私の肌でひしひしと感じることは、ここにある洋服たちがどれだけの人の関わりや数えきれない苦労を経て運ばれてきたのかという奇跡への感動と、それに私たちは正当な対価を支払えているのかという疑念の思いです。

これまでだって、当然のように私たちのもとにやってきていたように思われるこれらの服たちは、本当に多くの人の手や国境を跨ぎながらここまで辿り着いているのですが、昨今の状況によって強いられる苦難が増している今、それぞれに関わる人々の努力と、お客様のもとまでこのクリエイションを届けたいという熱意だけが、ここまで洋服を運ぶことを可能にしているのだと感じます。

私たち自身も、特に東京近郊に住む人々はむやみな外出や必要以上の購買行動が憚られる中、洋服を買うことは現状娯楽消費と見做されるでしょうからほとんどの場合においては「不要なもの」にカテゴライズされてしまうような状況です。それでもそんな洋服を買うということは、「今」ではなく「将来」の私たち自身に投資することと、ここまで洋服を届けてくれた全ての人の「未来」に投資するという意味合いを持つのではないでしょうか。

来る先の未来で自分がどうあるべきかを想像して、そんな自分がどんな心持ちでいるべきかを考え、そのためのモチベーションとなる服を買うとか、目指すべき自分にふさわしい服を買うことで将来の自分へ投資するということ。そして、この困難な状況で予定通りの生産活動が出来ないことで必要な収入を得られず、もしかしたら次シーズンの生産へ影響が出てしまうかもしれない人々がいることを想像して、自分が応援したいブランドやそこに関わる人々の未来へ投資するということ。不必要に思われることでも、何のためかを思えば、本当に必要な購買、そして必要に見えて不要な購買だってあると思います。今こそしっかり考えてみるべきではないでしょうか。(守屋)

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シャツにアイロンをかけるとか

m'sbraque / S2B COLLARLESS TRIM JACKET / 78,000+tax

朝起きたら必ずカーテンを開けて太陽を浴びるとか、朝一杯のコーヒーを必ず飲んでから仕事に出かけるとか、夜寝る前には必ず明日履く靴を磨いておくとか、毎日の生活の中に存在する習慣は、それが意識的なものであれ無意識下のものであれ人それぞれに必ず一つは存在するのではないかと想像します。

多くの人が週5日の通勤がルーティーンとなっている世の中では、週5日の決まった習慣はきっとあるでしょう。それと同様に多くの人は、週のうち5日間は仕事用の服に身を包むことになっているはずです。人それぞれの違いとしてそこにあるのはそれがスーツなのか、オフィスカジュアルウェアなのか、休日と変わらぬカジュアルウェアなのか、決められた制服なのかの差だけでしょう。

例えばその週5日の通勤という、習慣を作り上げる前提条件たるものが崩れ去った時、人はその習慣を続けるのでしょうか。通勤が週に2日だけになりそれ以外は人に会わずにもいられる仕事環境なのだとしたら、週5日着るはずだった「仕事をする自分のため」の服に袖を通すことは続けるでしょうか。それに伴う朝の一杯のコーヒーの時間は大切に守り続けるでしょうか。

例えば私はファッション業界で働いている以上、仕事用の服も休みの服もさして変わらずいわゆる自由な服装で毎日過ごしていますが、それでも仕事の時には出来るだけ背筋がしっかりと伸びるような身なりを整えたいと思っているので、もちろん毎朝、その日に着るシャツやカットソー、ジャケットにシワがあったらアイロンを当てることは当然の習慣となっています。これは例え週5日の勤務がなくなったとしても、自分の身体の延長として存在する服を大切に扱いたいという気持ちがある上、頭と心のネジを仕事モードに切り替えるスイッチとして「アイロンを当てる」という行為が存在しているので、その習慣は続けるだろうと思います。

習慣というのは習慣にするまでに大変な時間を要するわりに習慣を止めることは非常に簡単なのものです。わざわざ習慣にしたものを、ずっと変わらずに習慣として留めておけるか否かの境目は、日常のなかに表れるわずかなシワをぴんと伸ばしておきたいか、それともそれを見て見ぬふりをするかどうかの違いくらい、わずかなことです。ただそのわずかな違いが、きっと日常に大きな差を生み、日常全体のまとまり、バランス、見え方全てに表れるのでしょう。(守屋)

 

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楽しみなことを

Bergfabel / Cotton Linen Stripe Moon Coat / 128,000+tax

春の芽吹きはじめる3月の今頃から、新緑が深まっていく5月頃まで、四季のある日本においては1年の中でも特別と言って良いほど心地良い風を一日中感じられる絶好の行楽シーズンです。ということは、お花見をはじめ様々なイベントへ出かけるため、または新生活に向け、洋服を買い足す理由が多いシーズンということになります。

ですがこの厳しい時勢により、仕事でもプライベートでもありとあらゆる予定が組み変えられていったりキャンセルになったりしているであろうと思います。同時に、それらの予定を楽しみに、洋服を選んだりはたまた買い物に出かける機会というのも減っているであろうことは容易に想像がつきます。

Bergfabel / Linen Long Farmer Stand Collar Shirt / 48,000+tax

勿論それは仕方のないことであり、安易に買い物に出かけましょうなどと呼びかける気もありませんが、買い物をする楽しみやそれがもたらす心の充足感、また気に入りの服に袖を通すことで明るく前向きに変化する心の動きというものは、今だからこそしっかりと思い出し、覚えておく必要があるように感じます。何かを楽しむという自然な気持ちを決して我慢せず、押さえ込んだり蓋をして忘れ去ろうとするのではなく、むしろそれを今こそ求めて然るべき時であろうとすら思います。

もしかしたら変更になってしまうかもしれないけれど、これから控えている楽しみな予定を思い浮かべながら買い物をすること、心地よい服に袖を通すことは、確かな心の栄養となって心に明るい花を芽吹かせてくれるでしょうし、それは日々を生きる糧となって、なんとなくもやがかかったような暗い日々の中で心を常に平静に保たせてくれる存在となるでしょう。そして我々がこれから判断を誤ることなく進むべき道を選択出来るよう、正しい道を照らす道標のように私たちの目の前に常に光を灯してくれるでしょう。

クローゼットを開け、今日着る服を選ぼうとする時、お気に入りの服がそこにあること、新しく買った服がそこにあること、それは、とても幸せなことだと思います。洋服はいつでも我々のそばで、いつもの日常を忘れず、ただそこに存在してくれます。(守屋)

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春の影は白昼夢のように

KIJI / CACHECOEUR BLOUSE / 27,000+tax

そこに影が映し出されるとき、影のこちら側には必ず光が存在しています。強くくっきりとした影であっても消えてしまいそうな儚い影であっても、雲のように大きな影でも花弁のように小さな影でも、その影を作り出しているのはいつどんな時でも光なのであり、もしくはそこに光を見つけたならば、同時に光の向こう側に影はいつでも生まれます。

人々を目覚めさせるようゆっくりと明るく差し込む朝の光と冷たい空気の中で揺れるレースのカーテンとその影は、本来目に見えるはずのない微かな風の存在を私たちに教えてくれます。空いたグラスに何気なく生けられた花の姿を窓から差し込む太陽が照らす瞬間には、思ってもみなかった形の影が姿を表して、息の詰まるような1日の隙間に新しい出会いとほんの少しの安らぎの時間を与えてくれます。

KIJI / GATHER SKIRT / 27,000+tax

光が作り出す影の魔法によって、日常の何気ない風景は、まるで映画ワンシーンのように色鮮やかに映し出されるのです。光は未来を予見する存在として、あるいは明るいものの比喩として用いられることが多く、その反対側に影という存在が認識されることが多いのですが、光と影はいつでも手を取り合っていて、こちらとあちらでお互いに反対を向くのではなく顔を合わせて目と目を合わせているのであろうと私は思います。

もしあなたがそこに美しい光を見つけた時、同時に光の向こう側には美しいドラマティックな影が誕生しているはずです。もしあなたがそこに美しい光を見つけた時、同時にこのKIJIのブラウスやスカートは春の白昼夢のような淡い美しい影をそこに落としているはずです。(守屋)

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