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パラドックスに備えて

KIJI / ILLUST ALOHA SHIRT / 24,000+tax

夏というものは、さあこれから長い夏がやってくるといくら身構えても、どれだけ夏の予定をしっかり立てようとも、気づいた時にはあっという間に、私たちの後ろ側へと通り過ぎているものです。

今年の春、誰もが春を見落としてしまったと感じていると思います。花見が出来なかったり、行楽の予定を棒に振ってしまったり、それこそ用意していたドレスを着て、シャツを着て、降り注ぐ太陽を存分に浴びることが出来なかったと。でも本当にそうでしょうか。いつもより、桜を愛でよう、春を精一杯感じようと、心の中では必死に季節を追いかけてはいませんでしたか。

KIJI / MONGARA ALOHA SHIRT / 24,000+tax

きっといつもより少し敏感になりながら、太陽のありがたさを感じたり、風の端にある季節の匂いを嗅ぎとったり、風景の変化や空の色の変化とゆっくり目を合わせて対話していたのではないでしょうか。

思った以上に、夏は圧倒的なパラドックスを持って私たちの前に現れます。私はこの春の季節に体験し習得したスタンスを持って、この一瞬の夏を迎え入れ、楽しみたいと心から思います。もう夏の準備は、しておいても早くはないかもしれません。このアロハシャツに刻まれた円相の一本一本がまさに私たちの過ごす1日1日なのですから。(守屋)

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アートを完成させるには

SCHA / Derby CA Seagrass Hat -SPECIAL EDITION- / 32,000+tax

先日の記事で、帽子は日差しから身を守るための道具として生まれたという旨の文章を書きました。勿論、ものの誕生には全て目的があるもので、その目的のためにデザインされた必然の形があるものです。そして、それらに解釈を加えることでファッションアイテムとしての誕生があるのだろうと思います。

ただ、解釈を与えられたファッションアイテムとしての物体には、本来の目的以上に求められる新たな目的が加えられること、そしてそれが何よりの最優先事項になることも往々にしてあります。例えばデザイナーのエヴァにとって、帽子の目的は自己表現の媒体として存在していることです。外的要素から頭を守るという本来の目的のためにデザインされた「帽子」という概念的な形を踏襲していながら、そこには自由に生茂る草花のような、秩序に囚われない表現の広がりが存在します。

アートピースとして、表現物としての帽子という目的が最優先事項となれば、本来の目的(何かから頭を守る)を達成し得ない形であってもそれは全く問題ではなくなり、その意思が、透けるような編み目や柔らかな素材という形となって表現されるのです。彼女の生み出す帽子の美しさに魅了されるファンは多いと思いますが、アートピースとしての帽子の存在意義が求められた結果なのですから、それは実に自然なことではないでしょうか。

そして彼女生み出すアートは、帽子を被る人と、その被り方という要素が加わって初めて完成されます。(守屋)

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今日の旅先

Phlannèl / American Sea Island Linen Pintuck Shirt Blouson / 38,000+tax

現実的に自らの身体をどこか遠くの異国へ旅させることが難しい時、心だけでも優雅な旅をさせる方法はいくつかあります。所謂現実逃避の方法と言ってしまえばそれまでですが、例えば映画を観て世界に自分を没頭させたり、本を読んで空想の世界を広げたり、かつて旅したときの写真を見返してタイムスリップしたりなどが出来るでしょう。それと同様に、服を着るということも、忘れてはならない心を旅させる方法の一つなのではないかと思っています。

ブランドそれぞれに、独自のコンセプト、表現したい世界観があります。フランス生産に拘っているブランドはフランスの古い資料やビンテージアイテムから洋服のデザインソースを得ている場合もあるでしょうし、そもそも旅をテーマにシーズンコレクションを組み立てているブランドもあります。あるいは、毎シーズンのテーマは設けていないものの、デザイナー自身が旅した土地で見た色や風景、その土地の伝統衣装などから新しい洋服をデザインする方もいます。

そんな洋服の背景を知ったとき、見えたとき、感じられたとき、きっと洋服が心底好きな人ならば、その土地のことやデザインソースとなったオリジナルのアイテムのことをより理解しようと、自分なりに考えてみたり調べたりするのではないでしょうか。その土地はどんな色が散りばめられた世界なのか、どんな空気の匂いがするのか、人々は普段どんな服装で街を歩いているかと想像するそれこそ、心が旅しているまさにその時なのです。

本を読んで頭の中に世界を思い描くように、洋服を着ることそれだけでも、洋服それぞれが連れて行ってくれる世界があり、そこにいる自分を夢想することは容易に出来ます。意外と見落としてしまうことが多いのですが、これは洋服の楽しさを構築する大きなパーツの一つなのではないかと思います。今日の旅先はどこにしましょうか。(守屋)

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二つの接合点

Lunor / A5 226 / 37,000+tax

日差しから身体を守ためにある帽子、寒さを防ぎ手を保護するための手袋、足を傷つけないように包み込む靴などの道具と違い、眼鏡に託された役割は「補うこと」です。低下した視力を回復させるため、視力を補助するための道具として眼鏡は誕生し、知識人を中心に愛用されてきたという経緯があります。

そんな補助器具としての役割は、コンタクトレンズに始まり、レーシック手術などの誕生もあって代替可能な機能となりました。いつしか時代遅れの道具と化した眼鏡という補助器具ですが、それにも関わらず今もこうして無くなることなく存在し続けています。

Lunor / Aviator Ⅱ / 46,000+tax

おそらく、眼鏡に装うための道具という新たな役割が付与されたからでしょう。人の第一印象を決定づける顔というパーツに装着する道具は、必然的にそのデザインのアップデートを求められることになります。そして装身具として、金、銀、チタン、鼈甲、セルロイドなど様々な素材を用いて美しく見られるための道具としての役割を少しづつ増していきました。

Lunorの創業者は、補助器具としての眼鏡の存在意義が強かった時代のアンティークの眼鏡や顕微鏡、望遠鏡、ひいては検眼機までをも収集していたそうです。そんな彼はきっと、眼鏡に託された二つの役割の接合点となった人そのものと言えるでしょう。(守屋)

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