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横長の記憶

PHLANNÈL SOL / Landscape Shirt / 20,000+tax

Landscapeという言葉には「横長」という意味が含まれるようですが、私がLandscapeと聞いて先に思い浮かぶのは「景観」、「風景」という意味合いの方でした。言葉には様々な側面があって様々な表情があって面白いなと改めて思います。

景観や風景という言葉で表されるのは例えば幼い頃に訪れた祖父母の家の周りの景色だったり、大人になって自分のお金で旅に出た際に初めて見た日本以外の国の街の様子や自然の織りなす景色であったりするのだろうと思います。そういった景色について頭に思い浮かべるとき、何故だかその風景というのは縦位置の映像ではなくて映画館のスクリーンのような横位置の映像や画像が浮かびます。

テレビモニターやスクリーンやあらゆる場所に映し出される景色は、それが地平線のように横に広いものであるという特性からか、横位置の映像や画像として表されることが常でした。その影響を自然と受けているせいか、私たちが記憶の中にある景色を追いかけるとき、頭に浮かぶのはやはり横に広がった景色なのでしょう。

このLandscape Shirtもきっと、いつか誰かの横長の記憶の中にちらりと存在したりするのでしょう。そう考えると、自分だけが下らない秘密めいたものを知っている気持ちになります。(守屋)

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竹を編む

SIRI SIRI / Basket S / 48,000+tax

竹という素材は不思議なもので、細く割いた繊維はすぐに割れてしまいそうな見かけとは裏腹に堅く丈夫です。数百年の時が経ったものでも、姿を変えることなく今に存在していたりもします。

そんな丈夫な竹を使った竹細工は、編み模様の織りなす繊細な美しさが人々を魅了します。これはどんな魔法を使って描かれた表情なのかとまさにはっと息を飲むような、そんな体験をしたことがきっと少なからずの人にはあるだろうと思います。

ところが考えてもみると、あんなに固い竹をどうやって編み込むのか、その工程の部分に私はある時点まで目を向けたこともなかったように思います。

編むという方法をもって作られるということは、そう説明されているのでもちろん知っている(つもり)になっているのですが、では編んでるうちにぱきっと割れたりしないものなのか、あるいは固いもの特有の直線を描くような形状にならずに優美な弧を描くフォルムはどこからやってくるのか、それを理解して誰かに教えることなど全くかないませんでした。

竹はその強さ故に、その素材の反発の力によって曲線を描くことができるということ、編まれるときのその姿はまるで竹という素材はワイヤーか何かであるように、柔らかに自由に動き回ること。分かった気にならずに目で見てみると、ますますこの籠が存在することが信じ難くも素晴らしい現実なのだと知ることになります。(守屋)

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肌馴染みとはつまりバイアスなのか

AURALEE / LINEN DOUBLE FACE HALF SLEEVED SHIRTS / 34,000+tax

ファッションの市場においてはまだまだ合成繊維や化学繊維に比べ、天然繊維が重宝がられる傾向があるように思います。"シルクのような"、または"麻のような"という前置詞を伴った合成繊維の紹介文言をどれだけ見てきたことかと振り返ってみるとその結果は明らかです。

一方で、化学繊維や合成繊維は天然繊維に劣るもののように一蹴しているのは、全くもってこちら側の勝手な偏見に過ぎないように思います。化学繊維は本来人間の知の結晶のような繊維であって、例えば心臓と同様の組織構造の素材を開発出来るからこそ救える命があったりだとか、ゴアテックスやプリマロフトが存在するから快適に過ごせる環境があったりだとか、人間は化学繊維により大いなる恩恵を受けているはずなのです。

「肌に合わないから」と一言で片付けてしまえばそれまでなのですが、やはり素材の成り立ちや素性が分かるもの、あるいは人間と同様にこの地球に自然に生まれ育っているものを必然的に私たちは信用してしまうのでしょう。私自身、この色感と番手が異なる糸の織りなす表情を見た時に、「茣蓙のような素材だな」と感じたとともに、不思議と安心感を得ていたことにはたと気がつきました。

もし技術発展がこのまま続いた先の未来に、環境負荷を全くかけない化学繊維が一般的に用いられるようなファッションの業界の流れが生まれていたとしたならば、私たちは布の次元を超えたそれらのものたちに馴染みや安堵の気持ちを抱くのでしょうか。(守屋)

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新しい季節の手触り

OUTIL / ROBE LOISIN / 50,000+tax

日本の夏はじめじめと湿度が高いことが気候的特徴であったはずなのですが、近年加速する地球温暖化の例外にもれず、そこに亜熱帯地域のような気温と日差しもそこに加わってきました。暑さにやられて何もする気が起きない中で、ぼーっとする頭を無理やりにどうにか叩き起こしながら仕事をしたり、黙っていても流れ出る汗をやり過ごして大勢の人でごった返す電車に乗り込んでいくという季節がやってきます。

そういった私たちの思い描く季節の風景が、一つも余すことなくこれまで通りやってくることは現状を見るにまずないことなのだろうと思います。ましてや、ぎゅうぎゅうの人混みをかき分けて仲間と共に見上げる花火や、食べ物と汗と夜の匂いが混ざった祭りの空気を感じることも出来ないかもしれません。これまで私たちが抱えていた夏の記憶の中には、そのどこかしこに人混みと湿度と、太陽があったことを、今更ながら思い知らされました。

パートナーと共に、あるいは家族と共に、そしてもしかしたら友達と共に過ごすこれからの季節は、べたべたしたりじりじりしたり、そういったこれまでの手触りとは全く別の感触を持ったものになっているかもしれません。べたべた、ひりひり、じりじりしない季節を、その季節たらしめるための新しい手触りを、是非今から探してみましょう。

しっかりと汗を吸ってくれるパイル生地や柔らかく肉厚で肌に纏わり付かないコットンや、カリカリとしたリネンの生地がこれまでの手触りなのだとしたら、例えば風のようにふんわりとしたシルクや、ひやっと肌に触れるレーヨンや、柔らかいのにドライタッチなラミーなど、新しい季節の手触りは、決して文字通り新しく作り出さなくても、周りを見回すと意外とたくさんあるものです。(守屋)

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