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無駄なく生きるとは何のためなのか

Gallego Desportes / Mantear Burby / 60,000+tax

自分自身の身なり、着こなしに無頓着である人たちが強い味方を得たように「スティーブ・ジョブズのように」という合言葉を口にしてその無頓着さを正当化する感性が一種のトレンドのようにもなっている昨今では、いかに効率的に生きるか、無駄を省いて生活を豊かにするかという視点が重要視されているように思います。

これまでと比べて圧倒的に速度は速く、密度は濃い現代社会にあっては、効率を求めていかないと時代に追いつくことすら難しかったり、仕事の場面のみならずプライベートの時間も十分に謳歌することが難しい場合もあるでしょう。そうして効率性を追い求めた結果、毎日着る洋服に悩む時間を無駄と見なし、削減するべく「スティーブ・ジョブズ的な」着こなしをする人が増えたのだろうという背景も容易に想像が出来ます。

一方で、自分自身への配慮の一端を省略するという決断は、果たして誰の為に、何の為に生きているのかという本質的な部分への問いかけを残すものであるようにも思います。「衣服は一番外側に表れるその人の内面である」と言われるように、それは本来自身の内面をじっくりと見つめ、問いかけ、答えを出して表現するツールの一つであるはずなのです。

Gallego Desportes / OOOOOO /

身なりへの配慮を排除することは、毎日の微妙な心境の変化をキャッチする機会をみすみす逃している、あるいは初めからないものと見なしていると考えることも出来ます。洋服を選ぶ以外に、自分を省みる方法なんていくらでもあると思っている人も多くいるかと思いますが、ではこんなに簡単に毎日の生活の一部として自身の内面の省察の機会があるのにも関わらずそれを排除することは、果たして100%の効率性を獲得する答えになっているのでしょうか。

全てはあくまで個人個人の価値観に委ねられた話にはなってしまいますが、自身を省みることをせずに日々効率を求めて生きることは、果たして誰の為なのでしょう。または何の為なのでしょう。考えたことはあるでしょうか。(守屋)

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ルーツのかけら

mii / WRAP SKIRT / 33,000+tax

物心がつく頃や青春時代に、どんな友達とどんな場所でどんな遊びをしていたか、どんなことに夢中になっていたかということは、その人が大人になる上で非常に大きな影響を与えるものであると思っています。いわばそれらは、その人の人格を形成する重要な「ルーツ」となることは間違いないと、言い切ってしまっても差し支えないでしょう。

私が中学生時代を過ごした街にはその当時古着屋がそこかしこにありました。少ないお小遣いでは到底買い物なんて出来ない時から友達とふらふら買い物に出かけ、ラックや棚にぎゅうぎゅうに詰め込まれた服たちを見て、自分だったらこれが欲しいとかあんな服を着てみたいとか言い合いながら過ごしたその時代に、私は古着というジャンルの面白さや洋服の楽しさを知ったのだと思います。

国ごとに異なる衣服の成り立ちや地域性のある織物の柄や素材の肌触りというその当時に得た知識や記憶は、自身の血肉となって知恵となって今の仕事を支えていますし、その時の芽生えた感覚が今の自分の感覚の芽の息吹であったのだと思っています。当時はアメリカ古着の全盛期がひと段落し、より自由度の高い着こなしに皆がファッションを楽しんでいた時代でした。その時に見た柔らかく美しい生地で織られたインド綿のビンテージドレスや、アフリカンバティックの鮮やかな発色とハリのある素材のスカートなど、記憶に鮮烈に残るアイテムも本当に沢山あります。

こんな風に、きっと一つとして同じもののない、人それぞれに全く異なるルーツですが、同じジャンルの人間という存在はきっといて、交換可能なルーツのかけらもきっとあるのではないか、と久しぶりに自分のルーツを掘り返すきっかけとなったインド生まれのアイテムを前に考えた秋の始まりでした。今でも趣味の時間やお金の多くを洋服に使う大人の方々の中には、私とも交換可能なルーツのかけらを持っている人がいるのではないかと、そう期待します。(守屋)

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期待を裏切れるか

Porter Classic for BLOOM&BRANCH / Fleece Shirt Coat  / 38,000+tax

コラボレーションという販売手法や取り組みがここまで盛んになったのはいつからのことでしょうか。その走りとなったブランドの言及はしないまでも、80年代にセレクトショップの業態が日本において誕生し、どこでも様々な海外ブランドのアイテムが手に入るようになってから、「ここにしかない」を求めた売り手と買い手両者の需要によってその勢いは加速していったのかと思います。

いつしかユニクロやH&Mなどの所謂ファストファッション業態が大手メゾンとのコラボレーションを仕掛けて大きな話題を呼んだこともありました。そして一度「話題になった」コラボレーションの取り組みは、「話題になった」過去のものとなりいつしか消費者の既視感と飽きと疲弊を招くことになります。

「もう飽きたな」と消費者が感じる所以はおそらく優秀な彼ら彼女らが、そこに商売の香りを敏感に嗅ぎとってしまうからではないでしょうか。彼ら彼女らの求める形や想像を遥かに超えていない商品が発表されていたのであれば、「また同じことをして売りに走っている」と安直に思わざるを得ないでしょう。実際に供給側にそのような思いがあるとないとに関わらず、彼ら彼女らが感じた思いはそこでは事実となってしまうのです。

では、飽きらることもなく続いていくコラボレーションは有り得るのかというと、もちろん可能ですしそのような美しいコラボレーションも世の中にはたくさん存在しています。そうなるためには、上記のように「商売の香り」がしないこと、常に消費者の期待をいい意味で裏切って期待以上を提供し続けること、そして生産者・ブランド・ショップ・お客様全てに利益をもたらすことが出来る構造であることが必要です。

今、4シーズン続いているこのコラボレーションも、生産者・ブランドの協力があって叶っていることであり、お客様が理解をし、共感をしてくださっているから続くものであり、そのために我々は常に期待の遥か上を目指していく必要があるのです。期待の遥か上を行くことは正直なところ容易いことではありません。今回も我々の力量をお客様みなさまに測っていただく機会を与えていただきました。是非、ご意見もお寄せいただけますと幸いです。(守屋)

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ファンであることについて、そして旅をすること

péro / Drop Shoulder Oversized Coat / 122,000+tax

洋服やジュエリー、そしてワインやコーヒ、アートなど芸術作品まで様々な分野において、私は土着的なものに憧れます。その憧れの眼差しは、あくまで生活者でなく訪問者であり、エキスパートでなくいちファンであるというスタンスに置かれているものです。いちファンはその地に詳しい訳でもなく、文化を知っている訳でもなく、住んだこともなければもしかしたらその地の空気を吸ったこともないかもしれない、だけれどファンとして心からの尊敬と憧れと興味を抱いてそれらを見つめる視点を持っています。

深くを知らないことの面白さは、知っていないことに対して責任を問われないことと、それらをファンとして享受することで遠い異国の地を旅している気分にさせてくれることでしょうか。そしてこれら土着的なものの何よりの価値は、そこにしかない、その土地でしか育まれてこなかった貴重な資産であることと、それらが未だどこの国をも旅をしていないという出会いの奇跡かと思います。

péro / Regular Collar Shirt / 58,000+tax

インドのローカルな人々のドレスからインスパイアされ、インドの伝統技術を用いたテキスタイルを用いて、インドの人々の手で紡ぎ出されるpéroの洋服たちは、インドから旅をしたことはなく、それらが買い付けられた− 例えば日本 −へ、インドの空気を、匂いを纏ったまま、初めて旅をしてここ日本へやってきます。

そして私と、あるいは誰かと奇跡の出会いを果たした時、その土着的なものへの憧れは単なる憧れであり尊敬で、純粋な感動のみが湧き上がってきます。そしてそこには、日本にいながら未だ訪れたことのないインドの土を踏みしめる足や、ラジャスターン州の空気を吸い込む鼻や喉の渇きを感じられる、行ったことのない旅の記憶がどこからかやってきます。(守屋)

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シンプルなフォルムはどこから来るのか

forme / Side Zip Boots / 64,000+tax

突然ですが、シンプルなフォルムについて敢えて逆説的に考えるとするならば、それは自然発生的に現れるものでもなければミニマリズム的でもなく、手軽で簡素なものでもない非常に神聖でダイナミックなフォルムなのではないかと思います。formeというブランドについて考えた時に浮かんだのは、「シンプルなフォルムはどこから来るのか」という問いでした。

formeのシューズや革小物は一見するとシンプルで端正で奇をてらったようなデザインの物がありません。それらのフォルムを生み出す要素は、デザイナーのミニマリズム的な価値観の表れでは決してないはずで、あるいは複雑性を削ぎ落とした安直なデザインの結果でももちろんないはずです。よくよくformeのシューズを観察すると、足首に沿うようにカーブした美しい曲線や、かかとから足首をしっかりホールドするような柔らかな後部の曲線が見て取れます。

装飾のない足入れの筒の始まりには、丁寧な革の始末のあとと職人の手仕事の美しい痕跡がちらりと顔を覗かせています。ただ真っ黒に静かに存在感を放つ革そのものさえも、シンプルでいながら高度技術を駆使したタンナーの手によって、生々しい革の表情を持つ素材そのものから、神秘的な輝きや品格を持つ重要な構成要素としての素材へと変身を遂げています。

それらの要素を眺めた時にふと思った問いに対する私なりの回答は、「シンプルなフォルムはデザイナーの自由なアイディアと素材が課せられる物理的制約の間で生まれるのではないか」ということです。制約と機能とがぎりぎりのバランスを保ちながら、その結果としてシンプルなフォルムへと全ての要素が集約されていく—シンプルなフォルムとは偶然の産物でも近道を辿って行き着く目的地でもなく、調和から生まれる非常に自然的宇宙的産物なのです。(守屋)

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1%にさえ

Phlannèl / Wool Yak Cable Knit Short Cardigan / 38,000+tax

異素材を組み合わせるという方法論は、現代の環境変化に対応出来るような快適な着心地を求める市場のニーズや作り手の欲望と、その願いを叶えることが出来るようになった技術の進歩に支えられています。その二軸によって、古くから衣服に使われてきた天然素材の持つ利点は最大限に引き出されるようになりました。

高級素材といわれるカシミヤには敢えてウールを掛け合わせることで、カシミヤ特有の毛玉を抑制し、ウールが持ち合わせるハリのある表情を生み出すことを可能にします。それでいてカシミヤ本来の柔らかな質感を損なわないままに仕上げられたニットは、お互いの弱さを打ち消し、強さを引き出し合うという最良の結果を生み出しています。

ヤクとウールの組み合わせも同様に、ヤクの柔らかな肌触りは得てして型くずれの原因にもなり、ウールは単体だと肌触りではヤクに劣りますが、そこで両者を組み合わせることで耐久性のある柔らかな着心地の衣服が誕生するのです。このように、異素材を組み合わせる方法論は市場ニーズに応えた商品を生み出す結果をもたらしてきましたが、そこに映し出されるのは、どんな思いや意図を持ってそれらの方法を選択したのかという、作り手の価値観に他なりません。

ウールを掛け合わせた理由は、もしかすると単純に、ハリのある強い表情を表現したかっただけかもしれません。もしくは、長く使うことを想定して耐久性を優先した結果かもしれません。ただのその結果の中にも、ベースをカシミヤでなくヤクを50%にした理由や価値観があります。ウールを45%合わせた上でモヘヤを5%追加した意図もあります。もしくはリネンを60%にした思いがあります。

Phlannèl / Arles Wool Linen Wrap Skirt / 34,000+tax

素材の1%にさえこめられている作り手の思いを感じてみることは、衣服を纏う上では少々過敏な感性かもしれません。ただ、それを持つ人と持たない人が作り手との間に感じる距離はきっと違ってくるのだろうと思います。(守屋)

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見えない未来の話

SEEALL / HAND LOOM TELAR COAT Brown Mix / 105,000+tax

あらゆる物事を正確に予見するテクノロジーの進歩は驚くべきスピードで進んでいます。台風の進路予想は数日前から正確に把握できるようになり、それによって電車の臨時ダイヤのアナウンスがあり、労働時間の調整さえも前もって行われる、そんな時代になりました。

SEEALL / HAND LOOM CARDIGAN JACKET / 93,000+tax

様々なものごとが先読みできるようになった現在において、見えない未来はほとんどないと言っても良いくらいで、予想外の展開はなかなか起こり得ないものになりました。

本来であれば、未来は予見することが難しいものであったでしょうし、だからこそその見えない未来に人間は不安を抱くのであって、それ故に発展してきたのが情報テクノロジーです。その素晴らしい武器を片手にして今思うことは、見えない未来に不安を抱いたり、期待したり、わくわくしたりする純粋な人間としての感覚の繊細さと尊さです。

見えない未来があるからこそ、その未来にいるお客様を想像してお店に並べる商品をセレクトすることが楽しいでしょうし、見えない未来があるからこそ、自分自身の更なる飛躍や店の発展に期待を掛けて努力することも出来ます。あるいは、見えない未来に不安を抱くからこそ、現状に満足しない危惧の念を持ち続けることが出来ます。

SEEALL(全てを見る)というブランドがこれから歩もうとするまだ見えぬ未来に期待しながら、「見えない未来」の儚さを慈しみ楽しむ感覚を久しぶりに味わうことが出来ました。ファーストコレクションとなりました19AWシーズンのアイテムを、そんな今、是非見ていただきたいと思います。(守屋)

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纏う時には聴覚を働かせて

MARIA RUDMAN / SAMI Series / 48,000〜

日本より遥か遠く、緑豊かなラップランドの地にも文明は着実に歩を進めています。多くの人の想像を裏切るかのようですが、伝統を重んじるサーミ族の生活の中にもガソリンで走る自動車や一般的な電化製品は当たり前のように存在しているといいます。電波も、その及ばぬ地を知らないかもしれません。

(Top)SAMI M 5 / (Bottom)SAMI M 6 / 68,000+tax

そんな土地で、今はかなりご高齢になった女性が少しずつ制作を進めているというMARIA RUDMANのジュエリーは、どんな音に包まれているのでしょう。想像してみたことはありますか。

ジュエリーが生まれるアトリエは、街の中心地にあるのでしょうか、それとも少し離れた土地にひっそりと佇んでいるのでしょうか。そこには、風のそよぐ音、雪のしんしんと降り積もる音、動物の鳴き声は聞こえてくるのでしょうか。はたまた、車の走る音が日本のようにどこにいても空間を揺らし、響き渡ってくるのでしょうか。

SAMI L 1 / 102,000+tax

アトリエの扉を開いて中に入ると、そこにはコツコツと制作を進める静かな時間の流れる音があるのでしょうか。それとも、仲間同士の語らう声が聞こえてくるのでしょうか。あるいはラジオから流れる音楽が聞こえてくるかもしれません。トナカイの革にピューターを刺す時、その糸を抜く時はどんな音がするでしょうか。「シュー」、「ポツリ」と心地よいリズムでそれは続くのでしょうか。

知らないことを知ろうとする時、服やジュエリーを纏う時、調べる前にまずは目の前にあるものを触覚、視覚、嗅覚を使って全身で感じて理解しようと試みてください。そして聴覚までもをフル稼働させ、想像力を働かせてそこに隠れたストーリーを読み解いてみてください。そうした時、現実には存在しないかもしれないけれど、誰もが体験でき得ない新たな世界が広がり、思ってもみなかった素晴らしい体験が出来るはずです。(守屋)

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解像度を高める

THE INOUE BROTHERS / Funnel Neck Sweat / 18,000+tax

THE INOUE BROTHERSのお二人は、ペルー、中でもアンデスの地に熱心に通い、そこに住む原住民とアルパカに出会いました。彼らはその地図上の一点に対する視点の解像度を高めることで、アルパカという動物の生み出す素材の素晴らしさを理解し、育て、それをファッションを通して世界に発信することまでを実現しました。

標高4,000mを超える辺境の地は、南米の中でもワーストクラスの貧困問題を抱える地域でもあります。その地での活動を続けることで彼らは、ここに住む原住民の人々の生活を助けることまでも可能にしただろうと思います。そしてその高められた解像度は、アンデスの森に眠る天然のピマコットンを発見するに至りました。

大量生産されるコットンは、大量の農薬が撒かれる畑で生まれ、奴隷のような労働を強いられた人々の手によって育てられていますが、このアンデスのオーガニックコットンは、生まれる場所は畑ですらなく、自然に囲まれた森の中なのです。その森で育つ植物との共存により、コットンは自らの敵である虫たちから身を守ります。そして花をついばみに来る動物たちが生み落とす糞によってコットンの生きる土地は健全に育まれているのです。人間たちの介入を許さない、完全な自然のサイクルの中で、ピマコットンは密やかに生き続けていたのです。

世界は今、モノも人もそして情報も全てがありとあらゆる手段を使って「移動」し続けており、世界の豊かさをどこにいても享受出来る世界へと変化を遂げています。その素晴らしい世の中に生きる我々が次にするべきことは、THE INOUE BROTHERSのお二人のように、一点への視点の解像度を高めること、そしてその世界を一瞬でも立ち止まってしっかりと見つめることのように思います。そうすれば彼らのように、世界の深くに眠る素晴らしい宝を発見することが出来るかもしれません。その発見が誰か、もしくは自分を助けることになるかもしれません。(守屋)

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情報とロマンスを一手に

Le Yucca's / Ghillie Shoes (Womens) / 118,000+tax

船でしかたどり着けない最果ての南の島で営まれる小さなホテルだろうと、田舎の山の上でひっそりとあかりを灯すレストランだろうと、今の時代はそれを求める人がいる限りにおいてはどんなものでも必ず発見されます。情報発信なんてしないで、ただその静けさや異質性をそのままの姿で保ち続け、そこに密やかにおいておけば良いのです。

知らず知らずのうちにそれを必要とする誰かが何かの拍子に見つけ、口伝いなのかインターネットというフィールドなのかの形をとって求める人の所に更に発信されていくでしょう。そして媒介方法は数多あれどそれを必要とする誰かに伝搬していきます。溢れかえる情報の波に飲み込まれまいと必死に舵を取り、疲弊してしまう世の中ではありますが、そんな今だからこそそのようにして物体や場所の情報はその所有者が発信せずとも誰かの手により発信され、巡り合わせでそれを必要としている人の元へたどり着くのだという面白さはあります。

私自身も、Le Yucca'sとの出会いはそのような必然なのか偶然なのかの情報との巡り合わせによるものでした。こうして今度はBLOOM&BRANCHという東京に2店舗しかない店の発信する、誰の元へ届くか分からない小さな小さな情報が、きっともしかすると、それを必要とする人の元へ届くのではないかというロマンを抱きながら、私もその伝達役の一役を務めています。

巡り合わせという面白さを味わっていただくためにも、そんな巡り合わせによりリアリティのある気持ちを抱いていただくためにも、単なる情報発信ではない生の人の声を届ける限定コンテンツも立ち上がっています。8月31日までのLe Yucca's Size Order Event期間中、毎週水曜日と木曜日に新しい記事をご覧いただけます。是非ご覧ください。(守屋)

Stories of Le Yucca's

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総動員させるのは知識ではない

TENDER Co. / Long Sleeve Boomerang Shirt / 48,000+tax

青写真をテーマに染め上げられた鮮やかなブルーは絵画や図面にも採用されるプルシャンブルーの染料で染め上げられ、さらに斜めにストライプ柄の入る変わったパターンはブーメランのようなパーツを中央で縫い合わせて作られていたり...というようにTENDER Co.のアイテムは「語ることの出来る」要素がふんだんに盛り込まれています。

このことを販売員の目線から考えてみると、悪い言い方ですが「語り口が豊富で有難いアイテム」だということです。もし仮に自分にコーディネート提案力が欠けていたり、ブランドの世界観への理解が浅かったりしても(そんなことはあってはならないのですが)、服自身が、語るべきお題を自らで発信してくれるので、接客の際に完全に服に寄りかかってしまうことも出来てしまうのです。

勿論私は、それは服のプロフェッショナルとしての販売員という仕事を全うする上では間違った方法であると思っています。ましてや当店をご利用いただくお客様に対しては特に、買い物経験や洋服に対する知識が豊富なのでそんなごまかしは通用しないでしょう。そんな中で知識に頼った接客やご紹介をしたところで、お客様の買い物のサポートなど出来るわけがなく、満足いただく体験を提供することなど不可能なのです。

私たちはプロフェッショナルである以上、知識以上の付加価値を提供することこそが、遂行するべき「絶対的な職務」であるのですが、ではそれは何を持って示すべきなのでしょうか。

私たちは日々圧倒的な量の衣服に触れ、試着をすることで肌感覚に裏付けされた経験と知識を持ちます。そして私たちは、十人十色なスタイルを持つお客様の着用のサポートをすることでサイズ感や似合わせる色に関する経験と知識を持ちます。また、それらの経験の中で培った独自の美意識や価値観を持ちます。

私たちはそれらを総動員させて、お客様と衣服との出会いの場に立会い、サポートをすることで、与えられた職務を全うします。だからこのブログにおいても、インターネットで検索すれば簡単に手に入るウンチクや商品情報を書くことは何の付加価値も生まないと思っています。このブログを見たお客様に、あるいは紹介したアイテムを欲しいと思っていただくことは出来ないかもしれませんが、洋服選びのサポートが出来る指針のようなものとして機能すればいいなと思っています。(守屋)

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既視のデザイン

KIJI / 2WAY COLLAR LEATHER JACKET WOMENS / 95,000+tax

革を身に纏うという衣服の形態はおそらく狩猟時代からあったのであろうと想像できます。食物の副産物として手に入るそれは高い保温性、防風防水性を発揮し、人々の身体を自然の猛威から守ってきたことでしょう。ですがそれが発展し誕生したレザージャケットというものの起源については、その痕跡を辿るための資料などが乏しく幾分不明瞭なところがあります。それはレザージャケットというものがフォーマルウェアとしてのスーツやシャツ、はたまた軍用のアーミージャケットとは異なり商用の消費物として生まれたことに起因しているのでしょう。

では、そんな消費物として誕生したレザージャケットは、その時の流行の産物として廃れていき、時代に置いていかれてしまったものであるのかというとその答えはもちろん“NO”です。バイカーのためのジャケットとしてハーレーダビッドソン社が生み出したとされるそれは、革本来のもつ高い耐久性を存分に生かしたものであり、それは当時のバイカーのみならず世の人々に広く受け入れられ発展を遂げてきました。

時代を超えたその発展とアイテムの存在の継続は、本来持ち合わせたその圧倒的な有用性があったからこそ成立したものであると同時に、デザインの寄与するところは非常に大きいのではないかと思います。

KIJI / WWⅡ LEATHER JACKET MENS / 110,000+tax

無から有を生み出すことこそ最も創造的なデザイン活動であると思われがちですが、それと同時に、既存のものに価値を見出すその再発見の視点や感覚もまた忘れがたく創造的な活動であって、その創造活動の連続によって、既に存在していた「レザージャケット」というものが、大きく形を変えることはなかったにせよその時代時代にフィットするように価値を柔軟に変容させながら生き延びてきたのではないかと、私は思っています。

KIJIから新たにリリースされたそれらも、既視のものを全く新鮮な目で見つめ直し、新たな価値を付与したデザイナーの創造力の賜物ではないでしょうか。こうしてまた一つのアイテムが次の100年も消えることなく存在していくことになるのです。(守屋)

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機能とデザインの共存するところ

Porter Classic for BLOOM&BRANCH / Fleece Shirt Coat Exclusive / 38,000+tax

アウトドアウェアの前提条件として、ごく控えめに言っても「過酷な環境下での使用」は絶対でしょう。0℃を下回る外気や、それを伴って吹きすさぶ雨や風、かと思えば照りつける太陽が酷暑を誘い、汗の滴る身体は己の力のみならずその外に纏った服に解決策を求めます。そんな状況の中で着用されることを踏まえて生み出されるアウトドアウェアを街で着用するとどうなるのでしょう。

勿論、たとえ山の上でなくてもその持ち前の機能美はいかん無く発揮されることでしょう。そして圧倒的な快適性を提供してくれることは目に見えています。それでも何故ほとんどの人々は、街でそんなに便利なアウトドアウェアを着用していないのでしょうか。私自身も、登山用のウェアを買いに出かけた店で、「これは街で着用しても最高の着心地なので是非デイリーに使ってください」と言われた経験があります。この時スタッフの方が発したその言葉は疑う余地なく100%正しいものだと分かってはいたのですが、やはり街で着たことは今のところありません。

それは、街で着るには過剰すぎるスペックや街にそぐわないデザインに依る所が大きいでしょう。白い雪山の斜面や暗い山道の中での視認性を重視した赤や黄色の目を引くカラーはデイリーな場面では着用場所を選ぶ場合もありますし、ワードローブに馴染ませることは容易ではありません。止水や防風を最低条件として考案されたディティールのデザインも、街で着るときには「不要な飾り」と化してしまいます。

とはいえ驚くほどの軽量化を実現しながら保温性や通気性の優れた機能を持ち合わせた素材は是非とも街でも活用したいしその快適な着用感を日々体感していたいと思うものです。そのための解決策として一つ言えることは、アウトドアウェアに対して「機能とデザインとの共存可能性」を最大限に探って行くべきなのです。

"コンクリートジャングル"の中に馴染むシックなカラーやミニマルなデザインを、ポーラテック社製のフリースという頼もしい生地が下支えしているこの一着の、細かなデザインの拘りはここでは取り上げませんが、「機能とデザインの共存可能性」について究極まで考え抜き一つの答えを出した一着の存在自体に、まずは注目していただきたいと思います。先行予約は7月31日を持って締め切りとなります。(守屋)

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Phlannèl Special Interview vol.2 - 生活とデザインは繋がっているということ

Phlannèl / Cool Cotton 2B Sack Jacket / 58,000+tax

じわじわと実感する良さ

ご自身でいつもPhlannèlのアイテムを良く着られているのを見ますが、それはやっぱり作る服が好きだからでしょうか。それとも検証のためでしょうか。(守屋)
--両方です。この職業の醍醐味の一つは自分でデザインした服が着られることです。自分が生み出す服ですから、好きということは当然ですし、何より自分が一番の味方でいないとお客様に勧めることも失礼になってしまいます。
そしてもちろん検証も大事です。着ることでその時の気持ちや着心地、そして経年変化などがわかります。素材がベースにあってそこから製品を企画しているので、特に着心地と経年変化には興味がありますね。

私は、初めて着た時がベストの状態の服ではなく、着るほどに良さを感じられる服を作りたいと思っています。実際、Phlannèlの服を着ると、2回目以降からじわじわ良さを実感します。(Phlannèl 浅川)

Cool Cotton Balloon Tapered Trousers / 34,000+tax

洋服というのは着るという行為を通して、着る人の気持ちを上向きにしてくれたり、着飾ることの高揚感を楽しませてくれるものですよね。でもPhlannèlの服は私にとってはそうではなくて、生活の軸になるものであり、不可欠性の強いものです。デザイナーとして、Phlannèlの服が担う役割についてどう考えていらっしゃいますか。(守屋)
--道具のように、使えば使うほど馴染んで、良さを感じ、日常になくてはならない存在になっていく。そんな役割です。そして、日常を豊かにしてくれる服と言いますか、例えば体調がなんだか優れないけれどお仕事へ行かなければならないときがあったとして、その時にPhlannèlの心地良い服を着用することで癒しを得ることが出来たり。シンプルで、地味に見えてしまう洋服ですが、先ほども言ったようにじわじわと良さを感じられるのがPhlannèlの服です。(浅川)

健全な身体と精神と、デザイン

聞けば聞くほど、Phlannèlへの愛情と洋服への一貫した視点があるなあと感じます。こうして好きなことを追求し、自分にとってのアイデンティティーや自分のSOL(土壌)となるものを育んで来られた過程で、そのSOLを豊かにするためにやって来られたことってあるのでしょうか。(守屋)
--私の場合はとにかく洋服が大好きで、デザイナーになりたい!と中学生の頃に決めてからは、ぶれることなく、たとえ才能がないと言われようが諦めずに粘り続けて、今でも大事な家族以外は仕事一筋です。(笑) ですのでこの職業を豊かにするために、それにまつわることにずっとアンテナを張り、インプットとアウトプットを繰り返し実践してきました。
それに加え今企画を練るために大切にしていることは、日常をなるべく丁寧に過ごし、また、心と身体を健全に保ち、デザインを考えるときの勘みたいなものを鍛えることです。以前、ベルリンにあるバウハウス資料館へ行った時に、「健全な身体と精神を持たないと良いデザインは生み出せない」という考えからバウハウスの校舎の横には運動場が設けられていたと聞き、感銘を受けました。

日常を丁寧に楽しく過ごし、日々の生活の中にデザインのヒントが沢山潜んでいると思うのでそれを見逃さないということです。つまり、生活とデザインは繋がっているということ。(浅川)

前半を読む)

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Phlannèl Special Interview vol.1 - 繊細で真面目な日本人の気質

Phlannèl / Cotton Pin Tuck Dress Shirt / 29,000+tax

今19AWシーズンより新たなレーベルも立ち上がり更なる世界観の追求を続けるPhlannèl。そんなPhlannèlの変わらない価値観や、洋服の持つ役割についての独自の解釈など、幅広いお話をデザイナーに伺いました。

決まりごとと、それを貫くことで見える独自の個性

19AWシーズンのPhlannèlのテーマや試みについて教えてください。(守屋)
--毎シーズン特にテーマは設けていませんが19AWは本来のPhlannèlに立ち返って、シックで渋めな色合いで組み立てました。また、昨今の気候変動が今までとは変わってきていることもあり、シーズンレスで長い期間活躍する素材とアイテムを提案することを意識しました。(Phlannèl 浅川)

19AWにPHLANNÈL SOLが新たにローンチしましたが、それによってPhlannèlのコレクションラインの立ち位置や役割に変化はありましたか。(守屋)
--SOLは日常の道具に近い立ち位置のアイテムで、よりプロダクト的な意味合いが強いです。そんなSOLがあることでコレクションラインではこれまでより一層上質でスタイルのあるPhlannèlの表現が出来るようになったと思います。実際に、コレクションラインで使用する素材のクオリティーはアップグレードしています。(浅川)

より一層スタイルの表現が出来るようになったとのことですが、それでもPhlannèlの服にはどこかいい意味で無個性さや無名性を感じます。そんな印象の中に「Phlannèlらしさ」を成立させることが出来る所以はどんなところにあるのでしょうか。(守屋)
--Phlannèlの企画をする上でいくつかの決まりごとを作りました。例えば「天然素材しか使わない」など。その決まりごとを守り、貫くことで、ブレない「らしさ」を保っています。かといってこれを一寸違わず守り続けるだけでは新鮮さもなくなってしまうので、新しい挑戦をいつも試行錯誤しながら繰り返しています。もしPhlannèlらしからぬアイテムを見つけたら、その挑戦と思ってください(笑)(浅川)

Phlannèlらしさ、日本人が作ることの意味

そもそも「Phlannèlらしさ」についてなのですが、いつもこうしてブログ記事を書く時や人に伝える時などに言語化するのが難しいと感じます。「日本人に馴染むニュアンスの色表現」とか「職人並みに拘り抜く素材」がPhlannèlの良さだという個人的な解釈はあるのですが...(守屋)
--よく「どこの国の服ですか」と外国の方にも聞かれますが、色はヨーロッパをベースに日本人なりの解釈で組み立てています。素材については、新人時代から国内外問わず本当にたくさんの素材を見せていただける環境にいましたので、その中で素材を選ぶ基準やテイストが培われてきました。今はそれに裏打ちされた感覚や勘を大切にして、こだわる部分は拘り抜いて素材選定をしています。ただ、拘りが強すぎても逆に伝えたいことが伝わりにくくなったりもするので、やはりバランスが大事だとは思います。(浅川)

そんな「らしさ」のあるPhlannèlを一言で表現するならどんな言葉を使いますか。(守屋)
--「生真面目な日本人が作る服」、「日常を品良く丁寧にしてくれる服」...。
Phlannèlはユーロビンテージなどヨーロッパをベースに日本人がデザインし、日本人が作ることで、繊細で真面目な日本人の気質が出ている服です。日本人でも勿論いろんな気質の方がいて、大胆でパンチの効いているデザインもあります。良くも悪くも真面目なデザインは 面白みが足りないとも思われてしまうかもしれません。でもそれくらい、着る人の個性を大切にし、そっと寄り添う服、でもなくてはならない存在でありたいと思っています。(浅川)

(後半へ続く)

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Tシャツとノスタルジー

NICENESS / GEE / 10,000+tax

ある程度の年齢の方ならこれを見たらぱっと頭に浮かぶものがあるかと思います。オリジナルのそれからはかなりアップグレードされたNICENESSのTシャツが感じさせてくれたのは、そのオリジナルのTシャツと自分だけのノスタルジーです。そしてそんなTシャツとのノスタルジー体験は、誰にも共有不可能だけれど誰にでも起こる普遍性を秘めたことのように思います。

「ゴツナイキ」の存在を知ったのは、中学3年か高校1年生くらいの時だったと思います。お金もないのにフラフラと立ち寄っていた近所の古着屋さんで、当時何も知らない私はボロいのに万の値段がつくTシャツを見つけるたびに何故こんなに高いのかと、生意気にも店の店主を質問攻めにしていたことがありました。

それでも、生意気で何も買わない客に対していつもにこにこと何でも教えてくれていたその店主から「ゴツナイキ」のことも教えてもらったように思います。その後私がアルバイトを始めた古着屋さんにも、その店主はちょこちょこと遊びに来てくださって、それこそ万単位の珍しいTシャツを見つけた時にはきらきらと目を輝かせて買い物をしていました。

IBMやMicrosoftの企業デザインのTシャツや、どこかの国のどこかの店のオリジナルTシャツや、今は存在しないバンドのツアーTシャツや、得体の知れないメーカーの宣伝Tシャツ。2019年の今に出会ったそのTシャツの先には、誰かにとって特別な「私だけの」桃源郷が広がっていくでしょう。(守屋)

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PHLANNÈL SOLという豊かな大地を

PHLANNÈL SOL / Evening Shirt / 22,000+tax

フランス語で土壌を意味するSOL。鮮やかに花が開く過程には、日光・水、そして土の存在があることを私たちは知っています。誰もが時代のスポットライトがあたる新しいものに目を奪われがちですが、そこに隠れた変わらない事象にこそ目を向け丁寧に価値を見出していきたい。Phlannèlの土壌となるような、シンプルで美しい究極の日常着を提案していきます。
(written by Phlannèl designer)

この地球に豊かな緑や食物を育み、私たち人間やいきものたちの命を形成してくれる母なる大地。その大地を守ること、正しい形で後世に残し続けることが、恩恵にあやかった我々がするべき最低限の恩返しだと思っています。

大地を豊かに永続させていくためには、自然界にないものを人間の都合で加えてはならず、例えば農薬や除草剤や、栄養剤だって本来であればいらないのでしょう。豊かな大地に余分な栄養が撒かれたなら、きっと大地は自ら栄養を作り出す力を弱めてしまうのではないでしょうか。

そしてそこに芽生えた食物や実った果実は、正しい時を待って収穫されるべきで、私たちは四季を巡る大地の席替えを潤滑に行っていく手助けをしていくべきなのです。そのための方法として出来ることは、旬のものをありがたく大地から頂戴すること、そしてその栄養を自らに蓄えて、その健康な身体で次なる大地に育まれるべき種を、責任を持って蒔くことです。

単純なこと、当たり前のこととして私たちの先祖が続けてきた慣習は、長い長い月日の中でいとも簡単に忘れ去られてしまっているように思います。けれども、長い長い月日をかけて人間の遺伝子に組み込まれた情報や先祖の経験は、ほんの0.0001%だとしても私たちの身体からは消えずに残り続けているはずなのです。そんなことを思い出させてくれるような、豊かな大地を体現したPHLANNÈL SOL。今私たち消費者は、このPHLANNÈL SOLという大地を長く育てていくために正しい消費を繰り返し、慣習として残していくべきではないでしょうか。(守屋)

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夏の太陽を待ちわびながら

YLÈVE / CIRCULAR SKIRT / 42,000+tax

ファッションに少しでも興味のある男性なら概ねの方々には通用するであろう「ベンタイルクロス」という素材。雨風を防ぐ強靭な素材は今でもアウトドアシーンで使用されることを想定したアイテムにしばしば使用されるだけでなく、ファッションシーンにおいても実直な印象のステンカラーコートやミリタリーテイストを盛り込んだジャケットに使用されています。

そんな「ベンタイルクロス」は正直言って女性らしいアイテムに相性が良いわけでは決してなく、質実剛健な強さやメンズライクな端正な顔立ちを演出することが多いと思います。そんな素材をあえてエレガントなスカートに使うという発想が、このありそうでなかった「芯の強さを持った女性像」を作り出す要となっているかもしれません。

一見するとノーマルで特段目を引く異色さはないので、「どこにでもあるアイテム」と認識されるかもしれませんし、なおかつ「どこにでもいる普通の女性」が身に纏う姿を想起させるかもしれません。ただ一度だけ、実際に素材に手を触れてみれば、目の前にいた「どこにでもいる普通の女性」像は、しとしとと降る雨の中にぼんやりとその姿をくらまし、雨が止んだ時には初めからそこにいなかったかのように、すっかり晴れ渡った太陽の光の中に消えていることでしょう。

そう、何となくですが、私にとって「芯の強さを持った女性」像とは、湿気をもろともせずからりと空気を変えてくれる夏の太陽のようなイメージなのです。そしてそういう女性はやっぱり、男性らしいニュアンスのある洋服でも、きらきらと輝きを放ちながら素敵に着こなすのが上手だと思います。(守屋)

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誰かにとっての定番であるために

自分の定番アイテムとして買い続けているものはありますか。

「インナーのカットソーといったらPhlannèl 」「靴下は昔からFALKE」「Levi'sのビンテージは絶対あの古着屋で探す」「お気に入りのジュエリーは全てあの人にオーダーする」など、私にとって個人的な定番は思い浮かべてみると意外とたくさんあって、それぞれに買いに出かける店は決まっています。

BLOOM&BRANCHで定番になっているformeとの別注アイテムも始まって一年が経ち、それまでに革を変えたりアイテムを変えたりの仕様変更はありましたが今やずっと続いている店の顔となるアイテムの一つです。このプロダクトが店に到着して思うことは、誰かにとっても「財布ならforme」だし「formeならBLOOM&BRANCHに行けばいい」と思ってもらえているかなということです。

forme × BLOOM&BRANCH / Hand Wallet Buttero Exclusive / 26,000+tax

その為に私たちは、「formeだったらあそこに行けば間違いない」と思ってもらえる商品量を常に提供し、なおかつ「formeのあの素晴らしいプロダクトはあそこにしか売っていないんだ」という店として認識されるまで出来る限りを尽くしてそれを伝えていくことが使命だと思っています。

forme × BLOOM&BRANCH / Hand Wallet GUIDI Vachetta Exclusive / 26,000+tax

そしてその先に、「使い古してきたから同じものを買い直そう」と思っていただいたお客様が生まれ、ご来店された際には、必ずこのアイテムを同じようにご紹介しなければならないことも同様に不可欠なことと認識しています。「あそこに行けばある」という信頼と安心を提供して初めて「定番」を求めるお客様が店にはやって来ますし、そこに到達せずして「誰かにとっての定番」を販売する資格はないと思っているからです。

職人の生産状況などにより長く完売している期間があり申し訳なく思いますが、「formeといったらあそこ」と思ってもらえるいつかまで、私たちは欠かすことなくこの商品を皆様に伝えていきたく思っています。使い古した3年後、私たちを試しにご来店してみていただけたら嬉しい限りです。(守屋)

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夏のドレスの魔法

elsa esturgie×BLOOM&BRANCH / Attache / 33,000+tax

十把一絡げにしてはいけないでしょうが、女性の多くは「女性らしくありたい」という気持ちを大小様々であれ心の中には常に持ちあわせているのではないでしょうか。私自身、女性らしい服装が好きではないし、背景のある服が好きなので必然的にメンズライクな服装が多くなり、メンズブランドを纏っていることが多いです。それでも、その中に最低限の女性らしさは保っていたいという感情はあって、着こなしのバランスだったり、加えるジュエリーやシューズでそのニュアンスを保っているつもりいつも洋服を選んでいます。

真夏の暑い日は殊更、少しでも楽な服装を選びがちで、女性らしさの優先順位は下がる一方です。それでも、決してそのエッセンスは忘れたくないし女性として、そんな不安定でありながらバランスを保つ着こなしが楽しさであったりします。そんな私にとって夏のドレスは頼もしく、楽したい時にさらりと1枚で完成するスタイリングのなかに、もちろん女性らしさをのぞかせることができます。

このドレスは昨年から愛用していますが、エレガンスがいい意味で抑えられていてカジュアルシーンで何気なく着やすいことがまた大変有難いポイントです。コットンなのでざくっと洗ってしまっても心配がなく、シルクなどの揺蕩う表情の美しさとはまた異なった、健全でさわやかな魅力があります。何より女性にとってドレスを纏うということは、どんなシーンであれ、少し自分に自信が持てるような、小さな魔法を振りかけてくれる特別感がありますよね。(守屋)

日本人であることについて

児玉美重 / 鉄鉢盛りかご 特大 18,000+tax / 鉄鉢盛りかご 大 / 10,000+tax

小さな茶室の床の間に一輪だけの朝顔が生けられている姿に心奪われるように、我々日本人には「侘び」「寂び」という優れた美的感覚が脈々と受け継がれています。それは日常の生活のおいても、心地よい生活を送るために欠くことの出来ない感覚です。

例えば卓上にはものが置かれていない方が良いし、何もない卓上に品の良い箸置きと箸が並べられるからこそ、それらの美しさは際立ちます。いくら貴重な職人技術を駆使して精巧に作られた作品があったとしても、雑多なものに溢れかえった家の中でそれを見ても本来の価値や美しさを感じ取ることは非常に難しいでしょう。

そういった意味で我々日本人の多くは、美しいものを美しいと感じられる必要最低限の基準を大きく超えてものを持ちすぎているように思います。あれやこれやと便利そうなもの、必要そうなものに気を取られてついつい購入してしまう。結果として、本当に価値ある美しいものが生活の中に埋もれ、それらを本当に美しいと感じられる感性もどこか引き出しの奥底にしまわれてしまうのです。

ござ目バッグ 大 / 28,000+tax

それを未然に防ぐための策として、我々は常に正しい消費者である必要があります。廃棄が運命付けられ大量生産・大量消費されるものを、購買という行動で後押しする消費者になってはならないのです。それが正しいものの価値を認めるという行為であり、「本物の価値あるものを買う」という行為に繋がります。それらのものを長く使うことが、結果として不要なものの排除に繋がり、その生活の中でこそ初めて、本物の美しさを享受することが出来るのです。

何もない部屋にある美しいかごの佇まいにはっとする。その編みの美しい模様に見惚れる。それを日常の生活の中で感じ取ることが出来る感性こそ、我々が日本人であることの誇るように思います。(守屋)

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化学式が解かれるとき

田澤祐介 / 5寸八角皿 4,200+tax  隅切一文字盆 9,500+tax〜

BLOOM&BRANCHでは、木工とガラス、またはガラスと鉄のような相反する素材同士の組み合わせが化学反応を起こし見たことのない景色を映し出すような二者の共演を、幾度か催させて頂いてきた過去があります。

サクラ材 重箱 2段 63,000+tax

その二者は、ある時は昇華させ合いその魅力を高め、ある時はお互いの間合いを絶妙なバランスで保つことでぴんと張り詰めた独特の空気感を演出してくれました。その化学式は一つではなかったことはまぎれもない事実で、そこに今回はまた新たな化学式が生まれ、見事に解を見出し、目の前に初めて見る情景を広げてくれました。

桜節有 隅切一文字盆 16,000+tax

蒔地漆の持つ少し重さと粘度のある表情、そして奥深さが、いい意味で普通の木工作品と一線を画す田澤氏の作品。そして、古美に代表されるよう、経年によって生まれる鈍さのある輝きが正にBLOOM&BRANCHらしい美しさというものを定義づけてくれるような西本氏の金工作品。

西本卓也 / デザートスプーン 3,000+tax  デザートフォーク 3,000+tax

二者の出した答えは、互いに相対しながら、経年という新たな因数を掛けることでだんだんと溶け合っていくということ。今、目の前にある二者の関係性は、お互いのこれからの変化を待つ静謐さと懐の深さを持ったやや独立した存在同士のようにも見えます。それらがこれから明かしていく解は、「時間」を共有するものの前にしか現れません。

コーヒー匙 3,800+tax

「相反する材が同じ空間で向き合い、時間をかけてゆっくり寄り添っていく」。当店のプレスがニュースページに書いた言葉が全てを表現しているのではないでしょうか。(守屋)

限られたキャンパスの幅で

OLDMAN'S TAILOR × BLOOM&BRANCH / Exclusive Short Sleeve Shirt / 24,000+tax

かつてどこかの紙面で、あるアーティストが「表現するフィールドが制限されることは表現者にとっても、観覧者にとっても、プラスの効果を発揮するのだ」という趣旨のことを語っていました。表現者にとっては、制約があるからこその表現方法の模索や工夫や、活かされる個性があり、そして観覧者にとっては、ある程度のフレームがあり事前共有事項があることで視点が定まり、アーティストが表現したい本質に直感でたどり着きやすかったりするのだそうです。

洋服も同じように誰かの表現物と仮定するならば同じことが言えるのではないでしょうか。そして、その表現するものが例えば「半袖のシャツ」だったり、「コットンを使ったトップス」、「シルクの柄物アイテム」だったりと限定されればされるほど完成した洋服には作り手の個性が表出してくるはずです。

春夏シーズンのバイイングに回っていたとき、各所で半袖シャツを作りたいと別注の依頼をしていた時には、こんなに半袖シャツがあって店は飽和するかもしれないと、半信半疑のような不安と期待とワクワクが混ざったような思いで立ち会っていました。

続々とその時のアイテムが入荷し、先日ようやく別注していたOLDMAN'S TAILOR、Scye、m's braque、そしてPhlannèlの半袖シャツが到着しました。予想をはるかに超えてそれぞれのブランドの個性が発揮されたそれらを見て、作り手への敬意はより一層深まり、そして洋服の可能性の無限な広がりに心踊る思いでした。

デザインはさることながら、それぞれのアイテムが持つ素材の個性は本当に見ものです。そしてどれもが、BLOOM&BRANCHらしい品と力の抜けたバランスを保ち、長く着た時の変化の楽しみな、そんな素材が使われています。言葉に交わさなくても、「らしさ」の感覚は共有できる人との間では共有ができるのだと、改めて感じさせてもらえたような嬉しさがそこにはありました。

「半袖のシャツ」という限られたキャンパスの幅の中で描かれた作品を、そこに表れた個性の連なりを、是非店頭で見て比べて体感してみてください。そして、「らしさ」の共有を我々と共にしていただけたならば、それ以上のことはありません。(守屋)

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作為と無作為、人間的な心地よさ

m's braque / Stand Collar Polo / 19,000+tax

テキスタイルというものは、かつては人間が手作業で染色したり、刷ったり描いたりして作られていました。そのためそこには身体的、自然的に発生する「ぶれ」や「ずれ」という問題が起こっていました。今でも稀にビンテージショップで見かける古いアフリカンバティックの布地や、老舗の呉服店に飾られた手絞りの染めが施された和服や反物の絵柄をよく見れば、規則的に並んだパターンの間に介在している「ぶれ」や「ずれ」を認識することは出来ます。

そしてその無作為な表出物に我々は自然的な心地よさを感じ、人の温かみさえ感じるのではないでしょうか。なぜなら、自然界においては0か1かの完璧な事物は存在し得ないからです。木も石も、波打つ海も、不規則で曖昧で、直線からは「ずれ」を起こし常に変化して揺れています。人がそれらに本能的な温かさや自然な安心感を感じることは当たり前でしょうし、逆にどこまでも完璧でグレーゾーンを持たないデジタルなものには知らず知らずのうちに違和感を覚えるのは普通の感覚だと思います。

完璧なデジタルを駆使すれば、「作為的に」それらの曖昧さを演出することは可能でしょう。しかしそこに我々はどうしても拭うことの出来ない作為的な何か、不自然さを感じざるを得ず、自然発生的に現れた「ずれ」のもたらす安心感や温かみというものは図らずも影を潜めてしまうのではないでしょうか。

デジタルにだけ飲み込まれた生活を続けた時にもたらされることは、本来人間が持っていたはずのそれらの自然的な感覚の損失なのではないか。と、私は日頃から思っており、それは避けるべき事態だと、強く感じています。だからこそ、自然発生的な事物に触れること、「ずれ」や「ぶれ」に敏感であること、それらの心地よさを忘れないことは普段の生活で決しておろそかにしてはいけない行為と思考だと思います。

洋服においてその感覚を研ぎ澄ます一つの方法として古いテキスタイルを見ることやそれに触れることは非常に有効な手段であるのではないかと、店に置かれた人間的な商品群を見て感た備忘録として記載させていただきました。(守屋)

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目の前に見えないものを見る

日高伸治 炭化茶托M十字 1,800+tax / 急須 M 9,000+tax

目の前にあるものをきっかけとして、目の前に見えないものを見ようとする時、そこに現れる景色は見る人のこれまでの経験や、培ってきた知識や想像力によってその姿を変えます。一枚の器がそこにあったら、そこに盛り付けられているであろう料理を想像する時にも同様に、見る人それぞれによって全く異なる景色が広がるでしょう。

安南そば猪口 2,400+tax / そば猪口 2,400+tax

古い李朝の器に興味を抱いた日高氏の作品からは、その表現する白い肌質の中に青磁のような硬質な味わいがある反面、人肌の優しさや温もりを感じます。そんな背景を感じ取る人にはきっとモダンな青菜の炒め物や透明感の美しいナムルなどが盛られた姿を想像するかもしれません。

灰釉印花5.5寸皿 3,200+tax / 灰釉印花6.5寸皿 3,800+tax

はたまた、例えば上記と同じことをベトナムに旅した経験がある人が感じ取った場合はもしかするとそこへ盛られる料理はつるりと軽快な喉越しと豚肉の旨味の混ざった和え麺になるかもしれません。そんな一方、日本文化への理解や造詣が深く、アメリカへのその文化継承のために留学経験をしていた人が見た器の上には、もしかしたら大雑把にアメリカナイズされた日本料理が盛られているかもしれません。

そしてその横に添えられたマグカップに注がれるのは、日本茶か紅茶か、はたまたコーヒーなのでしょうか。見ているものは同じだけれどそこに生まれる景色はこれほどまでに変わってくるのだという、人間の感覚の不思議を、是非楽しみながら作品を眺めてみてください。(守屋)

BLOOM&BRANCHの器 キャンペーン : 5月4日 11:00 〜 5月10日 23:59

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必要なことは細部へのまなざし

Phlannèl / Light Suvin Cotton French-sleeve T-shirt / 11,000+tax

伝えるべき魅力を持ったアイテムについての表現方法は数多あり、どれが最適なアプローチ方法であるかは、伝える魅力の所在と、伝えたい相手の存在に大きく左右されるでしょう。例えば流行に敏感な人々の直感に訴えかけることが目的の場合は、スタイルで見せるということが最適なアプローチの一つとして挙げられるでしょう。

もしくはスタイルに依存せずものの本質を見つめてもらうことが目的の場合は、直感には訴えかけないようなアイテムの切り取り方にはなるけれど、その細部にフォーカスして言葉を並べるという方法もあるでしょう。このブログで試みているのは後者に近いことです。

アイテムや、その素材への微視的なまなざしは、変化するスタイルや流れる季節感などの巨視的なものの兆候を発見する手立てとなり、クロースアップして写し出される情報は減るのではなく凝縮されて倍加します。細部への視点はある一定の段階を越えると大きく広がりを見せるのです。

このようなアプローチは、どんどんとタイムラインに浮上するイメージ画像の中で効果的に相手に訴えかけることは難しい方法ながら、見るべき人が見ているフィールドで、伝えるべきことを忠実に伝えるためには、多少非効率かもしれないけれど悪くない方法ではないかと、個人的には思っています。言葉を並べすぎてしまいましたが、このPhlannèlのカットソーの魅力は兎にも角にも素材です。(守屋)

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「強いない」こと

CHECCI DE ROSSI / Market Bag Tote & Shoulder M / 20,000+tax

CHECCI DE ROSSIというブランドの魅力は、過去のエントリーで取り上げた通りワインをはじめとする天然染料で仕上げられた独特のレザーの表情です。そんな彼らのクリエーションは「エコロジカル」の枠に組み込むことが出来るものでありますが、そのような姿勢を決して消費者には押し付けません。彼らはもしかしたらエコロジカルなアイテムを作っているのだということすら意識していないかもしれません。

今回の新作も今までと同様の姿勢を崩すことはなく、リサイクルコットンを使用しながらもあくまでブランドらしいモードでアーティザナルなオーラを忘れないアイテムに仕上がっています。ただ、バッグのポケットの中には、誰もが見つけられるようにエコロジカルなアイテムの良さというものがしっかりと仕込まれているように、私には感じるのです。

彼らが意図しているか否かは別として、そのクリエーションから私が感じたことは、ブランドの思想や価値観は正しく表現されるべきであるけれど、決して消費者に対してそれらを強いることはいけないのだということです。強いられない自由度があるからこそ、そこに生まれる共感性は確固たるものになり、結果としてブランドに対するロイヤリティは高まりますし、価値観を強いられた途端に消費者は、少なからずの不便を感じるのではないだろうかと思います。

環境保全や「SDGs」という言葉が叫ばるようになって久しく、多くの企業がそれらに向けた行動指針を示したり様々な活動に取り組んだりしていますが、それらも同様に、企業方針だからと消費者側に何かを強いた途端、正しさを失い本来の目的を損なうのではないかと思います。強いることはあまり善をもたらさないのではないでしょうか。(守屋)

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比例関係

Phlannèl / Cotton Silk Airy Dress / 40,000+tax

良い服の持つ「着るほどに深まる良さ」というのは、決して自然発生的に現れるものではない、と私は常々思っています。そしてその「深まる良さ」を作り出す上で、その洋服に対する「着る側の愛着」というのが、忘れられがちですが決して外せない重要な構成要素であると考えています。

もちろん上質な素材であることは大前提として、作る側が「長く着られることを想定していない」服であれば、着るほどに深まる良さなど存在するわけもありません。ですが、そのように大切に選び抜かれた上質な素材の変化を、単なる劣化に留めてしまうのか、はたまた「深まる良さ」に昇華させるのかは「着る側の愛着」に依存します。

良い服だけれどカジュアルなシーンで着ることができる服は、現代の市場には数え切れないほどに溢れています。ですが、そんな上質な服たちを着る側は当たり前に享受し、心なくそれらを洗濯機に放り込んでしまったなら、きっと滲み出るはずの「味わい深さ」さえも強力な漂白剤によって消されてしまうのです。

当たり前に手に入るものかもしれないけれど、それらと共に過ごす日々をしっかりと大切に過ごし、そしてそんな日々を重ねることが出来たときに初めて、洋服たちの中から「深まる味わい」は生まれ、育って行くものではないでしょうか。

「着る側の愛着」によって服が見せる表情は変化し、「味わい深さ」は言わずもがな愛着の度合いに比例します。服の良さに甘んじてしまっては結局何も生み出せません。(守屋)

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春のニットとか万年筆とか

knitbrary / CREW KNIT LINEN SWEATER / 48,000+tax

先週から引き続き晴天に恵まれている東京では、桜の花見客であちこちの公園が賑わっています。そんな暖かな気候に誘われて、新しい春の洋服への欲求も加速し、今シーズンのウィッシュリストがどんどんと埋まっていきます。二着目のトレンチコート、春らしいカラーのストライプシャツ、ぱきっと新鮮な色ののったデニム、心改まるとっておきの革靴と、どんなに物欲が高まり、あらゆるものがリストインされても、なかなかそこに含まれないものが「春のニット」です。

私にとってその理由の一つには、飽きるほど着たニットとの別れの季節である春に、素材違いといえどそのアイテムと再び過ごす日々にメリットを感じられないことがあります。そして、すぐに夏のような日差しが降り注ぎニットなんてとても着られなくなる日がやってくると思うと、春のニットはどんどんリストの下の方に落ちていってしまいます。それだったら色んな種類のシャツが欲しいと思ってしまう、そんな人も少なくないでしょう。

それでもなお、「決してマストではないアイテム」を着ることの意味はやはり、カットソーでは叶えられない洗練された大人の印象を与えられることと、シャツでは実現しない程よく抜けた大人の余裕を醸し出せることにあるように思います。特別便利とは言えないものをわざわざ所有するのですから、利便性やトレンドや価格に捉われない、絶対的な個人の美的感覚がそこには介在するはずです。

偶に、ペンケースから万年筆をさっと取り出してメモをとったりサインをする方がいます。ボールペンのように便利とはいえず、少しの間使わないでいるとインクが乾いてしまう万年筆を自然に使いこなすそんな人を見ると、その姿に私は、はっと心を奪われてしまいます。春のニットを自然に着こなす大人の姿を見たら、同じようにその余裕のある姿に魅せられてしまうでしょう。そして自分がまだ未熟であり、そんな余裕のある大人の足元にも及んでいないのだと自覚させられます。(守屋)

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KIJIのデザイナーを知っていますか

KIJI / MIZUYORU DRESS SHIRT / 34,000+tax

通常ファッション業界では、デザイナーという立場があり、そのポジションに従事する人々はものづくりの視点でインプットした要素を商品デザインとしてアウトプットをしています。それとは別にバイヤーという立場が存在し、バイヤーはバイヤーとしてインプットしたことを店の商品ラインナップにアウトプットしています。分業でこなされるべきプロフェッショナルの仕事を一人の人間が行うことは、業界内でも皆無ではないですがまだまだ高度なスペックを要します。

そんな稀有な存在の一人であるKIJIのデザイナーは、作り手として新しい素材知識や工場技術の探求、デザインソースとなるアートピースの収集などをインプットしていながら、バイヤーとして来たるシーズンの業界情報や市場の流れ、着こなしのバランス感覚なども同時にインプットをします。

それぞれの立場としてインプットした要素は、相互に利用されてアウトプットされ形になっていきます。例えば次のシーズンの市場動向をバイヤーとしてインプットしたならば、それはKIJIのアイテムデザインにアウトプットされることもあるでしょう。一つの立場でインプットされる要素に止まらない膨大な要素を処理する能力の高さに加えて、高い質と頻度でアウトプットをこなす新陳代謝の高さを保つことは、並みの人間が真似をしようと思ってもなかなか叶うことではありません。

少しキャッチーなデザインや日本の伝統技術を使った商品のクオリティがKIJIの魅力ではありますが、そんなアナログな魅力に覆われた商品の内側には、情報に溢れた現代を生きる上で手本となるような人物が見えてきます。そんな相反する構成要素は、KIJIの更なる面白みに感じられませんか。(守屋)

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