BLOG

情報とロマンスを一手に

Le Yucca's / Ghillie Shoes (Womens) / 118,000+tax

船でしかたどり着けない最果ての南の島で営まれる小さなホテルだろうと、田舎の山の上でひっそりとあかりを灯すレストランだろうと、今の時代はそれを求める人がいる限りにおいてはどんなものでも必ず発見されます。情報発信なんてしないで、ただその静けさや異質性をそのままの姿で保ち続け、そこに密やかにおいておけば良いのです。

知らず知らずのうちにそれを必要とする誰かが何かの拍子に見つけ、口伝いなのかインターネットというフィールドなのかの形をとって求める人の所に更に発信されていくでしょう。そして媒介方法は数多あれどそれを必要とする誰かに伝搬していきます。溢れかえる情報の波に飲み込まれまいと必死に舵を取り、疲弊してしまう世の中ではありますが、そんな今だからこそそのようにして物体や場所の情報はその所有者が発信せずとも誰かの手により発信され、巡り合わせでそれを必要としている人の元へたどり着くのだという面白さはあります。

私自身も、Le Yucca'sとの出会いはそのような必然なのか偶然なのかの情報との巡り合わせによるものでした。こうして今度はBLOOM&BRANCHという東京に2店舗しかない店の発信する、誰の元へ届くか分からない小さな小さな情報が、きっともしかすると、それを必要とする人の元へ届くのではないかというロマンを抱きながら、私もその伝達役の一役を務めています。

巡り合わせという面白さを味わっていただくためにも、そんな巡り合わせによりリアリティのある気持ちを抱いていただくためにも、単なる情報発信ではない生の人の声を届ける限定コンテンツも立ち上がっています。8月31日までのLe Yucca's Size Order Event期間中、毎週水曜日と木曜日に新しい記事をご覧いただけます。是非ご覧ください。(守屋)

Stories of Le Yucca's

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

総動員させるのは知識ではない

TENDER Co. / Long Sleeve Boomerang Shirt / 48,000+tax

青写真をテーマに染め上げられた鮮やかなブルーは絵画や図面にも採用されるプルシャンブルーの染料で染め上げられ、さらに斜めにストライプ柄の入る変わったパターンはブーメランのようなパーツを中央で縫い合わせて作られていたり...というようにTENDER Co.のアイテムは「語ることの出来る」要素がふんだんに盛り込まれています。

このことを販売員の目線から考えてみると、悪い言い方ですが「語り口が豊富で有難いアイテム」だということです。もし仮に自分にコーディネート提案力が欠けていたり、ブランドの世界観への理解が浅かったりしても(そんなことはあってはならないのですが)、服自身が、語るべきお題を自らで発信してくれるので、接客の際に完全に服に寄りかかってしまうことも出来てしまうのです。

勿論私は、それは服のプロフェッショナルとしての販売員という仕事を全うする上では間違った方法であると思っています。ましてや当店をご利用いただくお客様に対しては特に、買い物経験や洋服に対する知識が豊富なのでそんなごまかしは通用しないでしょう。そんな中で知識に頼った接客やご紹介をしたところで、お客様の買い物のサポートなど出来るわけがなく、満足いただく体験を提供することなど不可能なのです。

私たちはプロフェッショナルである以上、知識以上の付加価値を提供することこそが、遂行するべき「絶対的な職務」であるのですが、ではそれは何を持って示すべきなのでしょうか。

私たちは日々圧倒的な量の衣服に触れ、試着をすることで肌感覚に裏付けされた経験と知識を持ちます。そして私たちは、十人十色なスタイルを持つお客様の着用のサポートをすることでサイズ感や似合わせる色に関する経験と知識を持ちます。また、それらの経験の中で培った独自の美意識や価値観を持ちます。

私たちはそれらを総動員させて、お客様と衣服との出会いの場に立会い、サポートをすることで、与えられた職務を全うします。だからこのブログにおいても、インターネットで検索すれば簡単に手に入るウンチクや商品情報を書くことは何の付加価値も生まないと思っています。このブログを見たお客様に、あるいは紹介したアイテムを欲しいと思っていただくことは出来ないかもしれませんが、洋服選びのサポートが出来る指針のようなものとして機能すればいいなと思っています。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

既視のデザイン

KIJI / 2WAY COLLAR LEATHER JACKET WOMENS / 95,000+tax

革を身に纏うという衣服の形態はおそらく狩猟時代からあったのであろうと想像できます。食物の副産物として手に入るそれは高い保温性、防風防水性を発揮し、人々の身体を自然の猛威から守ってきたことでしょう。ですがそれが発展し誕生したレザージャケットというものの起源については、その痕跡を辿るための資料などが乏しく幾分不明瞭なところがあります。それはレザージャケットというものがフォーマルウェアとしてのスーツやシャツ、はたまた軍用のアーミージャケットとは異なり商用の消費物として生まれたことに起因しているのでしょう。

では、そんな消費物として誕生したレザージャケットは、その時の流行の産物として廃れていき、時代に置いていかれてしまったものであるのかというとその答えはもちろん“NO”です。バイカーのためのジャケットとしてハーレーダビッドソン社が生み出したとされるそれは、革本来のもつ高い耐久性を存分に生かしたものであり、それは当時のバイカーのみならず世の人々に広く受け入れられ発展を遂げてきました。

時代を超えたその発展とアイテムの存在の継続は、本来持ち合わせたその圧倒的な有用性があったからこそ成立したものであると同時に、デザインの寄与するところは非常に大きいのではないかと思います。

KIJI / WWⅡ LEATHER JACKET MENS / 110,000+tax

無から有を生み出すことこそ最も創造的なデザイン活動であると思われがちですが、それと同時に、既存のものに価値を見出すその再発見の視点や感覚もまた忘れがたく創造的な活動であって、その創造活動の連続によって、既に存在していた「レザージャケット」というものが、大きく形を変えることはなかったにせよその時代時代にフィットするように価値を柔軟に変容させながら生き延びてきたのではないかと、私は思っています。

KIJIから新たにリリースされたそれらも、既視のものを全く新鮮な目で見つめ直し、新たな価値を付与したデザイナーの創造力の賜物ではないでしょうか。こうしてまた一つのアイテムが次の100年も消えることなく存在していくことになるのです。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

機能とデザインの共存するところ

Porter Classic for BLOOM&BRANCH / Fleece Shirt Coat Exclusive / 38,000+tax

アウトドアウェアの前提条件として、ごく控えめに言っても「過酷な環境下での使用」は絶対でしょう。0℃を下回る外気や、それを伴って吹きすさぶ雨や風、かと思えば照りつける太陽が酷暑を誘い、汗の滴る身体は己の力のみならずその外に纏った服に解決策を求めます。そんな状況の中で着用されることを踏まえて生み出されるアウトドアウェアを街で着用するとどうなるのでしょう。

勿論、たとえ山の上でなくてもその持ち前の機能美はいかん無く発揮されることでしょう。そして圧倒的な快適性を提供してくれることは目に見えています。それでも何故ほとんどの人々は、街でそんなに便利なアウトドアウェアを着用していないのでしょうか。私自身も、登山用のウェアを買いに出かけた店で、「これは街で着用しても最高の着心地なので是非デイリーに使ってください」と言われた経験があります。この時スタッフの方が発したその言葉は疑う余地なく100%正しいものだと分かってはいたのですが、やはり街で着たことは今のところありません。

それは、街で着るには過剰すぎるスペックや街にそぐわないデザインに依る所が大きいでしょう。白い雪山の斜面や暗い山道の中での視認性を重視した赤や黄色の目を引くカラーはデイリーな場面では着用場所を選ぶ場合もありますし、ワードローブに馴染ませることは容易ではありません。止水や防風を最低条件として考案されたディティールのデザインも、街で着るときには「不要な飾り」と化してしまいます。

とはいえ驚くほどの軽量化を実現しながら保温性や通気性の優れた機能を持ち合わせた素材は是非とも街でも活用したいしその快適な着用感を日々体感していたいと思うものです。そのための解決策として一つ言えることは、アウトドアウェアに対して「機能とデザインとの共存可能性」を最大限に探って行くべきなのです。

"コンクリートジャングル"の中に馴染むシックなカラーやミニマルなデザインを、ポーラテック社製のフリースという頼もしい生地が下支えしているこの一着の、細かなデザインの拘りはここでは取り上げませんが、「機能とデザインの共存可能性」について究極まで考え抜き一つの答えを出した一着の存在自体に、まずは注目していただきたいと思います。先行予約は7月31日を持って締め切りとなります。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

Phlannèl Special Interview vol.2 - 生活とデザインは繋がっているということ

Phlannèl / Cool Cotton 2B Sack Jacket / 58,000+tax

じわじわと実感する良さ

ご自身でいつもPhlannèlのアイテムを良く着られているのを見ますが、それはやっぱり作る服が好きだからでしょうか。それとも検証のためでしょうか。(守屋)
--両方です。この職業の醍醐味の一つは自分でデザインした服が着られることです。自分が生み出す服ですから、好きということは当然ですし、何より自分が一番の味方でいないとお客様に勧めることも失礼になってしまいます。
そしてもちろん検証も大事です。着ることでその時の気持ちや着心地、そして経年変化などがわかります。素材がベースにあってそこから製品を企画しているので、特に着心地と経年変化には興味がありますね。

私は、初めて着た時がベストの状態の服ではなく、着るほどに良さを感じられる服を作りたいと思っています。実際、Phlannèlの服を着ると、2回目以降からじわじわ良さを実感します。(Phlannèl 浅川)

Cool Cotton Balloon Tapered Trousers / 34,000+tax

洋服というのは着るという行為を通して、着る人の気持ちを上向きにしてくれたり、着飾ることの高揚感を楽しませてくれるものですよね。でもPhlannèlの服は私にとってはそうではなくて、生活の軸になるものであり、不可欠性の強いものです。デザイナーとして、Phlannèlの服が担う役割についてどう考えていらっしゃいますか。(守屋)
--道具のように、使えば使うほど馴染んで、良さを感じ、日常になくてはならない存在になっていく。そんな役割です。そして、日常を豊かにしてくれる服と言いますか、例えば体調がなんだか優れないけれどお仕事へ行かなければならないときがあったとして、その時にPhlannèlの心地良い服を着用することで癒しを得ることが出来たり。シンプルで、地味に見えてしまう洋服ですが、先ほども言ったようにじわじわと良さを感じられるのがPhlannèlの服です。(浅川)

健全な身体と精神と、デザイン

聞けば聞くほど、Phlannèlへの愛情と洋服への一貫した視点があるなあと感じます。こうして好きなことを追求し、自分にとってのアイデンティティーや自分のSOL(土壌)となるものを育んで来られた過程で、そのSOLを豊かにするためにやって来られたことってあるのでしょうか。(守屋)
--私の場合はとにかく洋服が大好きで、デザイナーになりたい!と中学生の頃に決めてからは、ぶれることなく、たとえ才能がないと言われようが諦めずに粘り続けて、今でも大事な家族以外は仕事一筋です。(笑) ですのでこの職業を豊かにするために、それにまつわることにずっとアンテナを張り、インプットとアウトプットを繰り返し実践してきました。
それに加え今企画を練るために大切にしていることは、日常をなるべく丁寧に過ごし、また、心と身体を健全に保ち、デザインを考えるときの勘みたいなものを鍛えることです。以前、ベルリンにあるバウハウス資料館へ行った時に、「健全な身体と精神を持たないと良いデザインは生み出せない」という考えからバウハウスの校舎の横には運動場が設けられていたと聞き、感銘を受けました。

日常を丁寧に楽しく過ごし、日々の生活の中にデザインのヒントが沢山潜んでいると思うのでそれを見逃さないということです。つまり、生活とデザインは繋がっているということ。(浅川)

前半を読む)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

Phlannèl Special Interview vol.1 - 繊細で真面目な日本人の気質

Phlannèl / Cotton Pin Tuck Dress Shirt / 29,000+tax

今19AWシーズンより新たなレーベルも立ち上がり更なる世界観の追求を続けるPhlannèl。そんなPhlannèlの変わらない価値観や、洋服の持つ役割についての独自の解釈など、幅広いお話をデザイナーに伺いました。

決まりごとと、それを貫くことで見える独自の個性

19AWシーズンのPhlannèlのテーマや試みについて教えてください。(守屋)
--毎シーズン特にテーマは設けていませんが19AWは本来のPhlannèlに立ち返って、シックで渋めな色合いで組み立てました。また、昨今の気候変動が今までとは変わってきていることもあり、シーズンレスで長い期間活躍する素材とアイテムを提案することを意識しました。(Phlannèl 浅川)

19AWにPHLANNÈL SOLが新たにローンチしましたが、それによってPhlannèlのコレクションラインの立ち位置や役割に変化はありましたか。(守屋)
--SOLは日常の道具に近い立ち位置のアイテムで、よりプロダクト的な意味合いが強いです。そんなSOLがあることでコレクションラインではこれまでより一層上質でスタイルのあるPhlannèlの表現が出来るようになったと思います。実際に、コレクションラインで使用する素材のクオリティーはアップグレードしています。(浅川)

より一層スタイルの表現が出来るようになったとのことですが、それでもPhlannèlの服にはどこかいい意味で無個性さや無名性を感じます。そんな印象の中に「Phlannèlらしさ」を成立させることが出来る所以はどんなところにあるのでしょうか。(守屋)
--Phlannèlの企画をする上でいくつかの決まりごとを作りました。例えば「天然素材しか使わない」など。その決まりごとを守り、貫くことで、ブレない「らしさ」を保っています。かといってこれを一寸違わず守り続けるだけでは新鮮さもなくなってしまうので、新しい挑戦をいつも試行錯誤しながら繰り返しています。もしPhlannèlらしからぬアイテムを見つけたら、その挑戦と思ってください(笑)(浅川)

Phlannèlらしさ、日本人が作ることの意味

そもそも「Phlannèlらしさ」についてなのですが、いつもこうしてブログ記事を書く時や人に伝える時などに言語化するのが難しいと感じます。「日本人に馴染むニュアンスの色表現」とか「職人並みに拘り抜く素材」がPhlannèlの良さだという個人的な解釈はあるのですが...(守屋)
--よく「どこの国の服ですか」と外国の方にも聞かれますが、色はヨーロッパをベースに日本人なりの解釈で組み立てています。素材については、新人時代から国内外問わず本当にたくさんの素材を見せていただける環境にいましたので、その中で素材を選ぶ基準やテイストが培われてきました。今はそれに裏打ちされた感覚や勘を大切にして、こだわる部分は拘り抜いて素材選定をしています。ただ、拘りが強すぎても逆に伝えたいことが伝わりにくくなったりもするので、やはりバランスが大事だとは思います。(浅川)

そんな「らしさ」のあるPhlannèlを一言で表現するならどんな言葉を使いますか。(守屋)
--「生真面目な日本人が作る服」、「日常を品良く丁寧にしてくれる服」...。
Phlannèlはユーロビンテージなどヨーロッパをベースに日本人がデザインし、日本人が作ることで、繊細で真面目な日本人の気質が出ている服です。日本人でも勿論いろんな気質の方がいて、大胆でパンチの効いているデザインもあります。良くも悪くも真面目なデザインは 面白みが足りないとも思われてしまうかもしれません。でもそれくらい、着る人の個性を大切にし、そっと寄り添う服、でもなくてはならない存在でありたいと思っています。(浅川)

(後半へ続く)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

Tシャツとノスタルジー

NICENESS / GEE / 10,000+tax

ある程度の年齢の方ならこれを見たらぱっと頭に浮かぶものがあるかと思います。オリジナルのそれからはかなりアップグレードされたNICENESSのTシャツが感じさせてくれたのは、そのオリジナルのTシャツと自分だけのノスタルジーです。そしてそんなTシャツとのノスタルジー体験は、誰にも共有不可能だけれど誰にでも起こる普遍性を秘めたことのように思います。

「ゴツナイキ」の存在を知ったのは、中学3年か高校1年生くらいの時だったと思います。お金もないのにフラフラと立ち寄っていた近所の古着屋さんで、当時何も知らない私はボロいのに万の値段がつくTシャツを見つけるたびに何故こんなに高いのかと、生意気にも店の店主を質問攻めにしていたことがありました。

それでも、生意気で何も買わない客に対していつもにこにこと何でも教えてくれていたその店主から「ゴツナイキ」のことも教えてもらったように思います。その後私がアルバイトを始めた古着屋さんにも、その店主はちょこちょこと遊びに来てくださって、それこそ万単位の珍しいTシャツを見つけた時にはきらきらと目を輝かせて買い物をしていました。

IBMやMicrosoftの企業デザインのTシャツや、どこかの国のどこかの店のオリジナルTシャツや、今は存在しないバンドのツアーTシャツや、得体の知れないメーカーの宣伝Tシャツ。2019年の今に出会ったそのTシャツの先には、誰かにとって特別な「私だけの」桃源郷が広がっていくでしょう。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

PHLANNÈL SOLという豊かな大地を

PHLANNÈL SOL / Evening Shirt / 22,000+tax

フランス語で土壌を意味するSOL。鮮やかに花が開く過程には、日光・水、そして土の存在があることを私たちは知っています。誰もが時代のスポットライトがあたる新しいものに目を奪われがちですが、そこに隠れた変わらない事象にこそ目を向け丁寧に価値を見出していきたい。Phlannèlの土壌となるような、シンプルで美しい究極の日常着を提案していきます。
(written by Phlannèl designer)

この地球に豊かな緑や食物を育み、私たち人間やいきものたちの命を形成してくれる母なる大地。その大地を守ること、正しい形で後世に残し続けることが、恩恵にあやかった我々がするべき最低限の恩返しだと思っています。

大地を豊かに永続させていくためには、自然界にないものを人間の都合で加えてはならず、例えば農薬や除草剤や、栄養剤だって本来であればいらないのでしょう。豊かな大地に余分な栄養が撒かれたなら、きっと大地は自ら栄養を作り出す力を弱めてしまうのではないでしょうか。

そしてそこに芽生えた食物や実った果実は、正しい時を待って収穫されるべきで、私たちは四季を巡る大地の席替えを潤滑に行っていく手助けをしていくべきなのです。そのための方法として出来ることは、旬のものをありがたく大地から頂戴すること、そしてその栄養を自らに蓄えて、その健康な身体で次なる大地に育まれるべき種を、責任を持って蒔くことです。

単純なこと、当たり前のこととして私たちの先祖が続けてきた慣習は、長い長い月日の中でいとも簡単に忘れ去られてしまっているように思います。けれども、長い長い月日をかけて人間の遺伝子に組み込まれた情報や先祖の経験は、ほんの0.0001%だとしても私たちの身体からは消えずに残り続けているはずなのです。そんなことを思い出させてくれるような、豊かな大地を体現したPHLANNÈL SOL。今私たち消費者は、このPHLANNÈL SOLという大地を長く育てていくために正しい消費を繰り返し、慣習として残していくべきではないでしょうか。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

夏の太陽を待ちわびながら

YLÈVE / CIRCULAR SKIRT / 42,000+tax

ファッションに少しでも興味のある男性なら概ねの方々には通用するであろう「ベンタイルクロス」という素材。雨風を防ぐ強靭な素材は今でもアウトドアシーンで使用されることを想定したアイテムにしばしば使用されるだけでなく、ファッションシーンにおいても実直な印象のステンカラーコートやミリタリーテイストを盛り込んだジャケットに使用されています。

そんな「ベンタイルクロス」は正直言って女性らしいアイテムに相性が良いわけでは決してなく、質実剛健な強さやメンズライクな端正な顔立ちを演出することが多いと思います。そんな素材をあえてエレガントなスカートに使うという発想が、このありそうでなかった「芯の強さを持った女性像」を作り出す要となっているかもしれません。

一見するとノーマルで特段目を引く異色さはないので、「どこにでもあるアイテム」と認識されるかもしれませんし、なおかつ「どこにでもいる普通の女性」が身に纏う姿を想起させるかもしれません。ただ一度だけ、実際に素材に手を触れてみれば、目の前にいた「どこにでもいる普通の女性」像は、しとしとと降る雨の中にぼんやりとその姿をくらまし、雨が止んだ時には初めからそこにいなかったかのように、すっかり晴れ渡った太陽の光の中に消えていることでしょう。

そう、何となくですが、私にとって「芯の強さを持った女性」像とは、湿気をもろともせずからりと空気を変えてくれる夏の太陽のようなイメージなのです。そしてそういう女性はやっぱり、男性らしいニュアンスのある洋服でも、きらきらと輝きを放ちながら素敵に着こなすのが上手だと思います。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

誰かにとっての定番であるために

自分の定番アイテムとして買い続けているものはありますか。

「インナーのカットソーといったらPhlannèl 」「靴下は昔からFALKE」「Levi'sのビンテージは絶対あの古着屋で探す」「お気に入りのジュエリーは全てあの人にオーダーする」など、私にとって個人的な定番は思い浮かべてみると意外とたくさんあって、それぞれに買いに出かける店は決まっています。

BLOOM&BRANCHで定番になっているformeとの別注アイテムも始まって一年が経ち、それまでに革を変えたりアイテムを変えたりの仕様変更はありましたが今やずっと続いている店の顔となるアイテムの一つです。このプロダクトが店に到着して思うことは、誰かにとっても「財布ならforme」だし「formeならBLOOM&BRANCHに行けばいい」と思ってもらえているかなということです。

forme × BLOOM&BRANCH / Hand Wallet Buttero Exclusive / 26,000+tax

その為に私たちは、「formeだったらあそこに行けば間違いない」と思ってもらえる商品量を常に提供し、なおかつ「formeのあの素晴らしいプロダクトはあそこにしか売っていないんだ」という店として認識されるまで出来る限りを尽くしてそれを伝えていくことが使命だと思っています。

forme × BLOOM&BRANCH / Hand Wallet GUIDI Vachetta Exclusive / 26,000+tax

そしてその先に、「使い古してきたから同じものを買い直そう」と思っていただいたお客様が生まれ、ご来店された際には、必ずこのアイテムを同じようにご紹介しなければならないことも同様に不可欠なことと認識しています。「あそこに行けばある」という信頼と安心を提供して初めて「定番」を求めるお客様が店にはやって来ますし、そこに到達せずして「誰かにとっての定番」を販売する資格はないと思っているからです。

職人の生産状況などにより長く完売している期間があり申し訳なく思いますが、「formeといったらあそこ」と思ってもらえるいつかまで、私たちは欠かすことなくこの商品を皆様に伝えていきたく思っています。使い古した3年後、私たちを試しにご来店してみていただけたら嬉しい限りです。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

夏のドレスの魔法

elsa esturgie×BLOOM&BRANCH / Attache / 33,000+tax

十把一絡げにしてはいけないでしょうが、女性の多くは「女性らしくありたい」という気持ちを大小様々であれ心の中には常に持ちあわせているのではないでしょうか。私自身、女性らしい服装が好きではないし、背景のある服が好きなので必然的にメンズライクな服装が多くなり、メンズブランドを纏っていることが多いです。それでも、その中に最低限の女性らしさは保っていたいという感情はあって、着こなしのバランスだったり、加えるジュエリーやシューズでそのニュアンスを保っているつもりいつも洋服を選んでいます。

真夏の暑い日は殊更、少しでも楽な服装を選びがちで、女性らしさの優先順位は下がる一方です。それでも、決してそのエッセンスは忘れたくないし女性として、そんな不安定でありながらバランスを保つ着こなしが楽しさであったりします。そんな私にとって夏のドレスは頼もしく、楽したい時にさらりと1枚で完成するスタイリングのなかに、もちろん女性らしさをのぞかせることができます。

このドレスは昨年から愛用していますが、エレガンスがいい意味で抑えられていてカジュアルシーンで何気なく着やすいことがまた大変有難いポイントです。コットンなのでざくっと洗ってしまっても心配がなく、シルクなどの揺蕩う表情の美しさとはまた異なった、健全でさわやかな魅力があります。何より女性にとってドレスを纏うということは、どんなシーンであれ、少し自分に自信が持てるような、小さな魔法を振りかけてくれる特別感がありますよね。(守屋)

日本人であることについて

児玉美重 / 鉄鉢盛りかご 特大 18,000+tax / 鉄鉢盛りかご 大 / 10,000+tax

小さな茶室の床の間に一輪だけの朝顔が生けられている姿に心奪われるように、我々日本人には「侘び」「寂び」という優れた美的感覚が脈々と受け継がれています。それは日常の生活のおいても、心地よい生活を送るために欠くことの出来ない感覚です。

例えば卓上にはものが置かれていない方が良いし、何もない卓上に品の良い箸置きと箸が並べられるからこそ、それらの美しさは際立ちます。いくら貴重な職人技術を駆使して精巧に作られた作品があったとしても、雑多なものに溢れかえった家の中でそれを見ても本来の価値や美しさを感じ取ることは非常に難しいでしょう。

そういった意味で我々日本人の多くは、美しいものを美しいと感じられる必要最低限の基準を大きく超えてものを持ちすぎているように思います。あれやこれやと便利そうなもの、必要そうなものに気を取られてついつい購入してしまう。結果として、本当に価値ある美しいものが生活の中に埋もれ、それらを本当に美しいと感じられる感性もどこか引き出しの奥底にしまわれてしまうのです。

ござ目バッグ 大 / 28,000+tax

それを未然に防ぐための策として、我々は常に正しい消費者である必要があります。廃棄が運命付けられ大量生産・大量消費されるものを、購買という行動で後押しする消費者になってはならないのです。それが正しいものの価値を認めるという行為であり、「本物の価値あるものを買う」という行為に繋がります。それらのものを長く使うことが、結果として不要なものの排除に繋がり、その生活の中でこそ初めて、本物の美しさを享受することが出来るのです。

何もない部屋にある美しいかごの佇まいにはっとする。その編みの美しい模様に見惚れる。それを日常の生活の中で感じ取ることが出来る感性こそ、我々が日本人であることの誇るように思います。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

化学式が解かれるとき

田澤祐介 / 5寸八角皿 4,200+tax  隅切一文字盆 9,500+tax〜

BLOOM&BRANCHでは、木工とガラス、またはガラスと鉄のような相反する素材同士の組み合わせが化学反応を起こし見たことのない景色を映し出すような二者の共演を、幾度か催させて頂いてきた過去があります。

サクラ材 重箱 2段 63,000+tax

その二者は、ある時は昇華させ合いその魅力を高め、ある時はお互いの間合いを絶妙なバランスで保つことでぴんと張り詰めた独特の空気感を演出してくれました。その化学式は一つではなかったことはまぎれもない事実で、そこに今回はまた新たな化学式が生まれ、見事に解を見出し、目の前に初めて見る情景を広げてくれました。

桜節有 隅切一文字盆 16,000+tax

蒔地漆の持つ少し重さと粘度のある表情、そして奥深さが、いい意味で普通の木工作品と一線を画す田澤氏の作品。そして、古美に代表されるよう、経年によって生まれる鈍さのある輝きが正にBLOOM&BRANCHらしい美しさというものを定義づけてくれるような西本氏の金工作品。

西本卓也 / デザートスプーン 3,000+tax  デザートフォーク 3,000+tax

二者の出した答えは、互いに相対しながら、経年という新たな因数を掛けることでだんだんと溶け合っていくということ。今、目の前にある二者の関係性は、お互いのこれからの変化を待つ静謐さと懐の深さを持ったやや独立した存在同士のようにも見えます。それらがこれから明かしていく解は、「時間」を共有するものの前にしか現れません。

コーヒー匙 3,800+tax

「相反する材が同じ空間で向き合い、時間をかけてゆっくり寄り添っていく」。当店のプレスがニュースページに書いた言葉が全てを表現しているのではないでしょうか。(守屋)

限られたキャンパスの幅で

OLDMAN'S TAILOR × BLOOM&BRANCH / Exclusive Short Sleeve Shirt / 24,000+tax

かつてどこかの紙面で、あるアーティストが「表現するフィールドが制限されることは表現者にとっても、観覧者にとっても、プラスの効果を発揮するのだ」という趣旨のことを語っていました。表現者にとっては、制約があるからこその表現方法の模索や工夫や、活かされる個性があり、そして観覧者にとっては、ある程度のフレームがあり事前共有事項があることで視点が定まり、アーティストが表現したい本質に直感でたどり着きやすかったりするのだそうです。

洋服も同じように誰かの表現物と仮定するならば同じことが言えるのではないでしょうか。そして、その表現するものが例えば「半袖のシャツ」だったり、「コットンを使ったトップス」、「シルクの柄物アイテム」だったりと限定されればされるほど完成した洋服には作り手の個性が表出してくるはずです。

春夏シーズンのバイイングに回っていたとき、各所で半袖シャツを作りたいと別注の依頼をしていた時には、こんなに半袖シャツがあって店は飽和するかもしれないと、半信半疑のような不安と期待とワクワクが混ざったような思いで立ち会っていました。

続々とその時のアイテムが入荷し、先日ようやく別注していたOLDMAN'S TAILOR、Scye、m's braque、そしてPhlannèlの半袖シャツが到着しました。予想をはるかに超えてそれぞれのブランドの個性が発揮されたそれらを見て、作り手への敬意はより一層深まり、そして洋服の可能性の無限な広がりに心踊る思いでした。

デザインはさることながら、それぞれのアイテムが持つ素材の個性は本当に見ものです。そしてどれもが、BLOOM&BRANCHらしい品と力の抜けたバランスを保ち、長く着た時の変化の楽しみな、そんな素材が使われています。言葉に交わさなくても、「らしさ」の感覚は共有できる人との間では共有ができるのだと、改めて感じさせてもらえたような嬉しさがそこにはありました。

「半袖のシャツ」という限られたキャンパスの幅の中で描かれた作品を、そこに表れた個性の連なりを、是非店頭で見て比べて体感してみてください。そして、「らしさ」の共有を我々と共にしていただけたならば、それ以上のことはありません。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

作為と無作為、人間的な心地よさ

m's braque / Stand Collar Polo / 19,000+tax

テキスタイルというものは、かつては人間が手作業で染色したり、刷ったり描いたりして作られていました。そのためそこには身体的、自然的に発生する「ぶれ」や「ずれ」という問題が起こっていました。今でも稀にビンテージショップで見かける古いアフリカンバティックの布地や、老舗の呉服店に飾られた手絞りの染めが施された和服や反物の絵柄をよく見れば、規則的に並んだパターンの間に介在している「ぶれ」や「ずれ」を認識することは出来ます。

そしてその無作為な表出物に我々は自然的な心地よさを感じ、人の温かみさえ感じるのではないでしょうか。なぜなら、自然界においては0か1かの完璧な事物は存在し得ないからです。木も石も、波打つ海も、不規則で曖昧で、直線からは「ずれ」を起こし常に変化して揺れています。人がそれらに本能的な温かさや自然な安心感を感じることは当たり前でしょうし、逆にどこまでも完璧でグレーゾーンを持たないデジタルなものには知らず知らずのうちに違和感を覚えるのは普通の感覚だと思います。

完璧なデジタルを駆使すれば、「作為的に」それらの曖昧さを演出することは可能でしょう。しかしそこに我々はどうしても拭うことの出来ない作為的な何か、不自然さを感じざるを得ず、自然発生的に現れた「ずれ」のもたらす安心感や温かみというものは図らずも影を潜めてしまうのではないでしょうか。

デジタルにだけ飲み込まれた生活を続けた時にもたらされることは、本来人間が持っていたはずのそれらの自然的な感覚の損失なのではないか。と、私は日頃から思っており、それは避けるべき事態だと、強く感じています。だからこそ、自然発生的な事物に触れること、「ずれ」や「ぶれ」に敏感であること、それらの心地よさを忘れないことは普段の生活で決しておろそかにしてはいけない行為と思考だと思います。

洋服においてその感覚を研ぎ澄ます一つの方法として古いテキスタイルを見ることやそれに触れることは非常に有効な手段であるのではないかと、店に置かれた人間的な商品群を見て感た備忘録として記載させていただきました。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

目の前に見えないものを見る

日高伸治 炭化茶托M十字 1,800+tax / 急須 M 9,000+tax

目の前にあるものをきっかけとして、目の前に見えないものを見ようとする時、そこに現れる景色は見る人のこれまでの経験や、培ってきた知識や想像力によってその姿を変えます。一枚の器がそこにあったら、そこに盛り付けられているであろう料理を想像する時にも同様に、見る人それぞれによって全く異なる景色が広がるでしょう。

安南そば猪口 2,400+tax / そば猪口 2,400+tax

古い李朝の器に興味を抱いた日高氏の作品からは、その表現する白い肌質の中に青磁のような硬質な味わいがある反面、人肌の優しさや温もりを感じます。そんな背景を感じ取る人にはきっとモダンな青菜の炒め物や透明感の美しいナムルなどが盛られた姿を想像するかもしれません。

灰釉印花5.5寸皿 3,200+tax / 灰釉印花6.5寸皿 3,800+tax

はたまた、例えば上記と同じことをベトナムに旅した経験がある人が感じ取った場合はもしかするとそこへ盛られる料理はつるりと軽快な喉越しと豚肉の旨味の混ざった和え麺になるかもしれません。そんな一方、日本文化への理解や造詣が深く、アメリカへのその文化継承のために留学経験をしていた人が見た器の上には、もしかしたら大雑把にアメリカナイズされた日本料理が盛られているかもしれません。

そしてその横に添えられたマグカップに注がれるのは、日本茶か紅茶か、はたまたコーヒーなのでしょうか。見ているものは同じだけれどそこに生まれる景色はこれほどまでに変わってくるのだという、人間の感覚の不思議を、是非楽しみながら作品を眺めてみてください。(守屋)

BLOOM&BRANCHの器 キャンペーン : 5月4日 11:00 〜 5月10日 23:59

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

必要なことは細部へのまなざし

Phlannèl / Light Suvin Cotton French-sleeve T-shirt / 11,000+tax

伝えるべき魅力を持ったアイテムについての表現方法は数多あり、どれが最適なアプローチ方法であるかは、伝える魅力の所在と、伝えたい相手の存在に大きく左右されるでしょう。例えば流行に敏感な人々の直感に訴えかけることが目的の場合は、スタイルで見せるということが最適なアプローチの一つとして挙げられるでしょう。

もしくはスタイルに依存せずものの本質を見つめてもらうことが目的の場合は、直感には訴えかけないようなアイテムの切り取り方にはなるけれど、その細部にフォーカスして言葉を並べるという方法もあるでしょう。このブログで試みているのは後者に近いことです。

アイテムや、その素材への微視的なまなざしは、変化するスタイルや流れる季節感などの巨視的なものの兆候を発見する手立てとなり、クロースアップして写し出される情報は減るのではなく凝縮されて倍加します。細部への視点はある一定の段階を越えると大きく広がりを見せるのです。

このようなアプローチは、どんどんとタイムラインに浮上するイメージ画像の中で効果的に相手に訴えかけることは難しい方法ながら、見るべき人が見ているフィールドで、伝えるべきことを忠実に伝えるためには、多少非効率かもしれないけれど悪くない方法ではないかと、個人的には思っています。言葉を並べすぎてしまいましたが、このPhlannèlのカットソーの魅力は兎にも角にも素材です。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

「強いない」こと

CHECCI DE ROSSI / Market Bag Tote & Shoulder M / 20,000+tax

CHECCI DE ROSSIというブランドの魅力は、過去のエントリーで取り上げた通りワインをはじめとする天然染料で仕上げられた独特のレザーの表情です。そんな彼らのクリエーションは「エコロジカル」の枠に組み込むことが出来るものでありますが、そのような姿勢を決して消費者には押し付けません。彼らはもしかしたらエコロジカルなアイテムを作っているのだということすら意識していないかもしれません。

今回の新作も今までと同様の姿勢を崩すことはなく、リサイクルコットンを使用しながらもあくまでブランドらしいモードでアーティザナルなオーラを忘れないアイテムに仕上がっています。ただ、バッグのポケットの中には、誰もが見つけられるようにエコロジカルなアイテムの良さというものがしっかりと仕込まれているように、私には感じるのです。

彼らが意図しているか否かは別として、そのクリエーションから私が感じたことは、ブランドの思想や価値観は正しく表現されるべきであるけれど、決して消費者に対してそれらを強いることはいけないのだということです。強いられない自由度があるからこそ、そこに生まれる共感性は確固たるものになり、結果としてブランドに対するロイヤリティは高まりますし、価値観を強いられた途端に消費者は、少なからずの不便を感じるのではないだろうかと思います。

環境保全や「SDGs」という言葉が叫ばるようになって久しく、多くの企業がそれらに向けた行動指針を示したり様々な活動に取り組んだりしていますが、それらも同様に、企業方針だからと消費者側に何かを強いた途端、正しさを失い本来の目的を損なうのではないかと思います。強いることはあまり善をもたらさないのではないでしょうか。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

比例関係

Phlannèl / Cotton Silk Airy Dress / 40,000+tax

良い服の持つ「着るほどに深まる良さ」というのは、決して自然発生的に現れるものではない、と私は常々思っています。そしてその「深まる良さ」を作り出す上で、その洋服に対する「着る側の愛着」というのが、忘れられがちですが決して外せない重要な構成要素であると考えています。

もちろん上質な素材であることは大前提として、作る側が「長く着られることを想定していない」服であれば、着るほどに深まる良さなど存在するわけもありません。ですが、そのように大切に選び抜かれた上質な素材の変化を、単なる劣化に留めてしまうのか、はたまた「深まる良さ」に昇華させるのかは「着る側の愛着」に依存します。

良い服だけれどカジュアルなシーンで着ることができる服は、現代の市場には数え切れないほどに溢れています。ですが、そんな上質な服たちを着る側は当たり前に享受し、心なくそれらを洗濯機に放り込んでしまったなら、きっと滲み出るはずの「味わい深さ」さえも強力な漂白剤によって消されてしまうのです。

当たり前に手に入るものかもしれないけれど、それらと共に過ごす日々をしっかりと大切に過ごし、そしてそんな日々を重ねることが出来たときに初めて、洋服たちの中から「深まる味わい」は生まれ、育って行くものではないでしょうか。

「着る側の愛着」によって服が見せる表情は変化し、「味わい深さ」は言わずもがな愛着の度合いに比例します。服の良さに甘んじてしまっては結局何も生み出せません。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

春のニットとか万年筆とか

knitbrary / CREW KNIT LINEN SWEATER / 48,000+tax

先週から引き続き晴天に恵まれている東京では、桜の花見客であちこちの公園が賑わっています。そんな暖かな気候に誘われて、新しい春の洋服への欲求も加速し、今シーズンのウィッシュリストがどんどんと埋まっていきます。二着目のトレンチコート、春らしいカラーのストライプシャツ、ぱきっと新鮮な色ののったデニム、心改まるとっておきの革靴と、どんなに物欲が高まり、あらゆるものがリストインされても、なかなかそこに含まれないものが「春のニット」です。

私にとってその理由の一つには、飽きるほど着たニットとの別れの季節である春に、素材違いといえどそのアイテムと再び過ごす日々にメリットを感じられないことがあります。そして、すぐに夏のような日差しが降り注ぎニットなんてとても着られなくなる日がやってくると思うと、春のニットはどんどんリストの下の方に落ちていってしまいます。それだったら色んな種類のシャツが欲しいと思ってしまう、そんな人も少なくないでしょう。

それでもなお、「決してマストではないアイテム」を着ることの意味はやはり、カットソーでは叶えられない洗練された大人の印象を与えられることと、シャツでは実現しない程よく抜けた大人の余裕を醸し出せることにあるように思います。特別便利とは言えないものをわざわざ所有するのですから、利便性やトレンドや価格に捉われない、絶対的な個人の美的感覚がそこには介在するはずです。

偶に、ペンケースから万年筆をさっと取り出してメモをとったりサインをする方がいます。ボールペンのように便利とはいえず、少しの間使わないでいるとインクが乾いてしまう万年筆を自然に使いこなすそんな人を見ると、その姿に私は、はっと心を奪われてしまいます。春のニットを自然に着こなす大人の姿を見たら、同じようにその余裕のある姿に魅せられてしまうでしょう。そして自分がまだ未熟であり、そんな余裕のある大人の足元にも及んでいないのだと自覚させられます。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

KIJIのデザイナーを知っていますか

KIJI / MIZUYORU DRESS SHIRT / 34,000+tax

通常ファッション業界では、デザイナーという立場があり、そのポジションに従事する人々はものづくりの視点でインプットした要素を商品デザインとしてアウトプットをしています。それとは別にバイヤーという立場が存在し、バイヤーはバイヤーとしてインプットしたことを店の商品ラインナップにアウトプットしています。分業でこなされるべきプロフェッショナルの仕事を一人の人間が行うことは、業界内でも皆無ではないですがまだまだ高度なスペックを要します。

そんな稀有な存在の一人であるKIJIのデザイナーは、作り手として新しい素材知識や工場技術の探求、デザインソースとなるアートピースの収集などをインプットしていながら、バイヤーとして来たるシーズンの業界情報や市場の流れ、着こなしのバランス感覚なども同時にインプットをします。

それぞれの立場としてインプットした要素は、相互に利用されてアウトプットされ形になっていきます。例えば次のシーズンの市場動向をバイヤーとしてインプットしたならば、それはKIJIのアイテムデザインにアウトプットされることもあるでしょう。一つの立場でインプットされる要素に止まらない膨大な要素を処理する能力の高さに加えて、高い質と頻度でアウトプットをこなす新陳代謝の高さを保つことは、並みの人間が真似をしようと思ってもなかなか叶うことではありません。

少しキャッチーなデザインや日本の伝統技術を使った商品のクオリティがKIJIの魅力ではありますが、そんなアナログな魅力に覆われた商品の内側には、情報に溢れた現代を生きる上で手本となるような人物が見えてきます。そんな相反する構成要素は、KIJIの更なる面白みに感じられませんか。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

POSTALCO×BLOOM&BRANCH - Special Interview Vol.2

POSTALCO / Kettle Zipper Wallet Long / 50,000+tax

バケツは完璧

- プロダクトを作る上で一番大切にしている視点はどんなことですか
M : 一緒に暮らしていくものを作るということ。あとは「丁度いい」という気持ちを大切にものづくりをしています。例えば、ペン立てにいつもペンが10本あったとしたら、きっといつも使うお気に入りはその中の2本くらいですよね。その2本のインクが切れちゃったり、たまたまなかった時に他の数本を使うことになるんだと思うのですが、その2本をついつい手に取る理由って「丁度いいな」とか「なんかこれが好きなんだよね」っていう気持ちだけで特に明確な理由はないですよね。POSTALCOはその2本のペンのような、なんとなく心地良いから選ばれるものでありたいと思っています。

 - 言語化が難しいといえば、「POSTALCO」らしさって、いつも私はお客様や友達に伝えることが難しいと思ってしまいます
M : POSTALCOらしさの話じゃないかもしれないけれど、さっきも出てきたようにバケツって求められた問題を解決出来ているほぼ完璧なものだと思っているんですよね。便利なはずの携帯だって、使っていて不便なところもある。機能が多くて、使っているとすぐに電池が切れてしまったり、寝る前に画面を見ると寝つきが悪くなってしまったり。バケツを使っている時は、用途を満たしているからそこに不満ってほとんどないんです。長い時間をかけて何世代もの人が問題解決をして今の良くあるバケツの形にたどり着いた。そう思うと、バケツってとても惹かれます。

 - 「バケツみたいなものを作りたい」ってキーワードですね
M : 道具が使う人によって自然にそれぞれの人の手に馴染んでいるのを見ると「あ、素敵だな、カッコいいな」と思います。そういう格好いいものを作りたいんです。

- 携帯の話が出てきましたが、近年スマホの中にお財布だったりメモだったり、メールやチャットも、全部内包されていくからこそ便利だけれどものが不必要になっていって、人のものの消費行動が変わっているなと感じるんです。私は書くことに大切な意味があると思うから、そんな世の中でも「紙とペン」はなくなって欲しくないと思うんですが、マイクさんにとってそういうものってありますか?
M : 僕も紙に書くことって好きだしとても大事だと思う。携帯にメモしようと思っても、違う機能があるからこそ色んなところに気が行ってしまって集中出来ない。紙に対して何かを書いている時は、その「書くこと」だけに集中できると思うんです。摩擦なくスムーズにものを考えて書くという作業が出来るというんでしょうか。自分の思考と紙だけに集中できることってなかなか今の時代には難しくなっていることだからこそ、大切にしたいですよね。

今の「10分」と、昔の「10分」の価値

 - お金も、キャッシュレスが進むと金銭感覚って変わって来てしまうと思います
M : そうですね。時間に対しても同じように、感覚が変わってきていると思っていて、今と昔の「10分」って全く違う時間に僕は感じます。例えば電車があと10分で来る時、昔は駅のホームで考え事をしながら待っていたら電車が来ましたよね。今はその10分でちょっと記事でも見てみようとスマホの画面を見ると、メールを受信して、そのメールをつい見てしまう。そしてメール内にリンクがあって、そこに移動して...っていうように本来の目的から逸れて色んなことに目がいって気がついたらあっという間に10分が過ぎていく。便利だからこそ、気をつけないと大変なことになってしまう。

 - それを踏まえて、これからのPOSTALCOの目標はありますか?
M : デジタルとアナログのバランスって僕も最近すごく考えていて、決してデジタルが悪いわけじゃないけどアナログの部分で大切な価値もあるから、どちらも使っていて心地良いバランスになる生活を考えたいです。人間って常に色々な問題を抱えているから、その問題をどうしたら解決出来るかなって考えています。バケツみたいに、人間の問題を解決出来るものを作りたいです。

(インタビュー・文:守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

POSTALCO×BLOOM&BRANCH - Special Interview Vol.1

BLOOM&BRANCHが創業当時から大切に取り扱ってきたPOSTALCO。
そんな特別な思い入れのあるブランドと実現した別注アイテムの発売を記念して、
デザイナー マイク・エーブルソン氏へのスペシャルインタビューを掲載いたします。

暮らしを共にするもの

 -  今回のBLOOM&BRANCHとの別注企画を実現するに至った経緯をもう一度伺えますか
マイクさん(以下M):このKettle Zipper WalletがBLOOM&BRANCHで人気ということで、何か特別なものを作れないかと柿本さん(BLOOM&BRANCHディレクター)から打診がありました。色というのが一つのテーマとしてあったということで、今までやったことのなかった特別なカラーで、BLOOM&BRANCHらしいもの、そしてPOSTALCOにしか出来ないものを作ろうということで実現しました。

 - 別注カラーで完成した"Burgundy"は、BLOOM&BRANCHへのどんなイメージから生まれたのでしょうか
M : 長く共に暮らしていけるもの、「一緒に暮らすようなもの」を心がけて普段からものづくりをしています。BLOOM&BRANCHも同じような思いで揃えているものがたくさんあって、そういうものって経年変化がすごく大事だと思います。時間とともに色が濃く、いい雰囲気になっていく。だから今回もまず、経年変化で格好良く変化していくものがいいなと思いました。それを表現するにあたって、濃い色でつくりました。

 - その中でもBurgundyという色の特徴は?
M : とてもクラシック。昔からずっとある色で、そのクラシックさもBLOOM&BRANCHにはよく似合うと思います。

 - 出来上がった商品を見て、今までのPOSTALCOになかったような女性らしさを感じると、スタッフの中で話題に上がりました
M : POSTALCOのアイテムはいつもニュートラルなものを目指したいなという思いがあります。パートナーのユリも、いわゆる女性らしいものをあまり身につけていません。そういう人って世の中には意外とたくさんいると思っているし、だからこそこれは男性用、これは女性用という括りを無くして、性別の関係ないものを作りたいとずっと思っています。だから今回も今までと変わらず、特に女性らしいとか男性らしいとかは意識をしていないです。

 - このレザーは、もともとPOSTALCOで特別に生産している革ですか?
M : はい、このジオロジーゴートスキンはもともと全てオリジナルで生産しています。職人さんが革を丁寧になめしてシュリンクさせることで出来る凹凸が、遠くから地球を見ているようでとても気に入っています。山があって谷があって、川が流れているような。

POSTALCO×BLOOM&BRANCH / Kettle Zipper Wallet Small / 36,000+tax

夏に食べるたたききゅうり

- ということは、新たな色を作るにあたって、革から新しく生産しているということですよね?
M : そうです。でも色の表現って言語化が本当に難しい。すごく料理に似ているなあと思うのですが、料理って食べた時に「美味しい!」と思っても何故美味しいのか理由を説明することがとても困難ですよね。あとは、夏に食べるたたききゅうりみたいに、暑い日に食べた時は「これこれ、この感じ」と思って美味しく感じても、冬に食べたらそれは何か違うなと感じることってないですか。色も同じように「今の気分」で感じ方も変わるし、その感覚を伝えることは大変だけれど、いい色に出会った時は「そうそうこれ!」としっくりくるものです。

- 以前に柿本とPOSTALCOのオフィスに伺わせていただいた際に、生産の過程で紙のプロトタイプを何度も制作して検証を繰り返すというお話を伺ったのがとても印象に残っています。このお財布ももちろん同じ工程を経ているのですよね?
M : はい、このお財布も何度も検証しました。特にジッパーのサイドまでレザーをつけることで立体感を生み出して、可愛らしいころんとした形状でなく、直線的で格好いい雰囲気を残せるように意識しました。とても苦労しましたが、職人さんの技術の甲斐もあってなんとか実現することが出来ました。小さいお財布が流行ってはいるけれど、まだまだお財布にものを詰めすぎて混乱してしまっているような状態の人をよく見かけます。これは、そういった「お財布にたくさんものを入れたいけれど綺麗に整頓したい人」のために作りました。大きいサイズのKettle Zipper Wallet Largeは携帯も入るくらいのサイズにしているので、お昼を買いに出かける時とか、これだけを持ち歩く人もいるんですよ。

 - お財布に携帯も入るのですね!私も小さいサイズは愛用していますが新しい発見でした。あとこのお財布のいいところは使い始めてすぐに革が馴染んで手にしっくりと収まり使いやすさが増すことだと思っています。本番と同じ革で生産したものを、製品サンプルとしてみんなで使って検証したりもするのしょうか
M : もちろん、実際に使って試します。オフィスの中で触ってみんなで意見を出し合うけれど、外に出て様々な環境でお財布を試す必要があります。例えば、実際に人がたくさん並んでしまったレジで、急がなきゃいけないプレッシャーを感じながらお会計をするときにはまた新しい発見があるのです。そんな風に色々なものを改善しながら開発しているとき、バケツって良くできているなと感心します。バケツって長い歳月の中でたくさんの人が生活の知恵を絞って改良を重ねて、徐々に徐々に完成されてきた形だと思うんです。そういった意味で、お財布はまだまだバケツには敵わないなあと思います。

→Vol.2へ続く

(インタビュー・文:守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

矛盾の中に見出す女性像

YLÈVE / COTTON TYPEWRITER SK / 45,000+tax

ジェンダーレスが叫ばれて久しい今、女性がメンズアイテムを着用することも、逆に男性がレディースアイテムを着用することも珍しくない時代になりました。最近は男性がヒールシューズを履いている姿を東京のど真ん中では見かけるようになり、ファッションの際限のない多様性には走り続けても追いつけないスピード感と他を顧みない潔い主観性が見受けられます。

そんな中、女性らしさのあり方も少しずつではありますが変化をしているように感じます。「女性らしさ」とは可憐で弱く繊細で、美しく、そして華やかであることを指していた時代があり、当時はフリルやレース、そして柔らかな素材感がその「らしさ」を代弁する一般的な装飾であり服装でした。社会への女性が進出が盛んになったと同時にそれとはまた別の「女性らしさ」が確立され、パワーショルダーのジャケットやパンツスタイルの「強さ」を示した女性像が登場し、男性と女性の対等性を暗に主張するようなスタイルが増えました。

そして今、男女の境なく服を楽しむ時代に、男性的な洋服の中に女性らしさを見出す一種の矛盾とミックス感が、第三のフェーズとして、新しい価値を持って世を席巻しているのではないでしょうか。ただ、メンズライクな着こなしやアイテムの中に女性らしさを見出すバランス感覚はなかなか難を極めるもので、それを完璧なまでに形にしたのがYLÈVEだと思います。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

名もなきストライプは誰かの手によって

Phlannèl / Stripe Poplin Band Collar Shirt / 24,000+tax

チョークストライプは几帳面で硬派な大人の、どちらかといえば男性的な印象を与える柄で、ピンストライプは感性に優れた少し物腰が柔らかいけれど芯のある、どちらかといえば現代的な女性をイメージさせる柄。ロンドンストライプは少しファッショナブルで個性的な、拘りの強い印象を与える柄。

一口にストライプと言ってもその柄の種類はごまんとあり、与える印象も多岐に渡るという非常に奥の深い柄です。チェックも同様にそのバリエーションの豊かさは言わずもがな周知のことですが、チェックに比べて私はストライプに惹かれ、興味を持ちます。理由はいくつかありますが、一つにはその控えめでトレンド性に欠ける存在感ながら、ストライプこそそれを扱う人の性格が一目で伝わる繊細な柄だと思うからでしょうか。チェックは毎年トレンドの一つとして挙げられやすく、マドラスチェックばかりが目に入ったシーズンもあればギンガムチェックのような至極普通と言えなくもない単調なチェックを着てる人ばかり見かけたシーズンもありました。

ただストライプは、これと言ってビッグトレンドになりにくい印象がある一方、毎年どこかで必ず見かけ、さらにその柄は、リリースしているブランドらしさやデザイナーの内面性すら浮かび上がらせているような内包する個性が爆発した印象がありとても興味をそそられます。そしてそれらを身に纏った人には、その人の個性との相互作用もあってまた違った個性と印象を爆発させる化学反応が起こります。

控えめで一見個性がなさそうに見えるPhlannèlのストライプは、頭でっかちなデザイナーの思考回路の複雑さがぎゅっと詰め込まれ、計算しつくされた理性あるデザインを優れた感受性による独特のセンスでまとめ上げられています。柔和だけれど真面目で、更にファッショナブルだけど昔からあったような気もする不思議な感覚は心地よく今の感覚にフィットします。そしてこれを誰かが着ることで、新しい価値が加わるその化学反応が楽しみな一着です。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

例えそれが高度性を要するものであったとしても

KIJI / URUSHI SWEAT SHIRT / 17,000+tax

デザインが先行するか、利便性の追求が先行するか、はたまたその程よいバランスの均衡を求めるか、終着点の違いによって同じものをデザインするだけでもその姿形は千差万別に表情を変えます。その中でも日本のプロダクトには特に「アイディア商品」などの便利なもの、使いやすいもの、高度技術を集結させた完全無欠のものへの希求が他国に比べて強いと感じることが多いです。

アウトドア商品など、利便性が死活問題にまで重要性を帯びるもののデザインにおいてそれは顕著にその特性を表し、とにかく「ダサくてもハイスペック」なものが(求められているのかどうかはさておき)多く生み出されていることは事実です。でもどうしても、いかなる場面においても、例えその利便性が圧倒的優位性を持つものであったとしても、私にとっては「デザインとして優れているか」という視点は、たとえその重要度が10%に満たなかったとしても捨てることは出来ないもの選びのファクターであり続けます。

日本の優れたもの作りを誇りに思いその目線を海外へと移してみると、例えそのスペックが日本のものに届かなかったとしても、そこには必要最低限のスペックをクリアしながらより良いデザインを兼ね備えたものたちがキラキラと輝きながら我々の目に飛び込んできます。少なくとも、私にはそのような体験が数多くあります。

同じ思いを、KJIのアイテムにも思います。ただここで言う「同じ思い」というのは「日本のプロダクトに感じること」と同じなのではなく「それと比較した海外のプロダクトに感じること」と同じということです。日本の素材の頂点を極めるような高度技術や高級素材を求めず、ただ決して格を下げない程度の塩梅に仕上げ、それでいてデザインはオーソドックスやベーシックに収まりきらないちょっとした格好良さを諦めないデザインの付加価値を必ず備えていることはバランスの良さの他の何者でもありません。

頭でっかちになり高度な技術や希少性だけを探求することは長い道のりを要するものの決して難しくはなく、執念深く続けていれば誰しもが到達出来る終着点であると思いますが、その努力をしながら程よいデザイン性とのバランスを保つことは持って生まれたバランス感覚やセンスがものをいうでしょう。だからこそ「バランスの良いプロダクト」はありそうでない希少な存在であると私は思います。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

コートの中は春

Needles / Round Collar EDW Gather Shirt - Liberty Print / 22,000+tax

桜の木が満開の花を咲かせる姿を見ることができるのはまだまだ先のようですが、都内でも少しずつ春の芽吹きを感じられるようになりました。とは言っても太陽が顔を出す前の窓の外にも、風の表面にも、温めたはずの部屋の隙間にも、寒さはまだしぶとくこの街に残っています。

季節の境目が感じられる頃の悩みといえば、前の季節に着ていた服をいつしまうのか、先の季節用にと買っておいた一着をいつ卸すのかの見極めが難しいことがあります。早まって季節を先取りしてしまったならば、心は浮き足立っていても体が無理をしてしまうこともあります。冬の終わりは、いつからウールのニットを着ることを辞めるのか、いつからコートの素材を春用のものへとシフトするのかが問題です。

ただその前に、季節の境目ならではのコーディネートも絶対に楽しんでおきたくなるのが洋服好き達の宿命でしょう。今の時期ならば、冬のコートの中には春爛漫の陽気を閉じ込めたスタイリングを纏って、コートの着脱でがらりと変わる雰囲気を楽しみたいものです。

シャツとコートの間には、コットンのニットを挟み込んだり、ウールリネンのからりとした表情のジャケットを合わせたり、異素材同士の組み合わせを楽しむのも一つです。いつから、どこに、春を忍ばせようか、考えるだけで少しだけ心は陽だまりに当たったように柔らかな温もりに包まれます。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

素材の使い方とその調理法についての考察

AURALEE / LINEN WOOL SILK SHARK SKIN SLACKS / 34,000+tax

昔、ある有名フレンチレストランのメインシェフを務めている方が「フレンチが高額になる理由の一つとして、最高の素材を使うことは勿論、更にそこに不必要なまでに高級食材を掛け合わせるからだ」という旨のことを語っていたのを思い出しました。その後そのシェフは、せっかく拘って使用している最高の食材の味をお客様に知ってもらえるようシンプルに調味・調理され、そして最適な価格設定をされたフレンチを提供する為に独立開業をしていました。

AURALEE / LINEN WOOL SILK SHARK SKIN SHIRT JACKET / 49,000+tax

接待の場面などにおいては、もしかするとロケーションや格式が必要な場合もありますが、気心知れた仲間や会社の同僚、上司、恋人と過ごすかけがえのない時間のためには、「本来の素材の良さが楽しめる職人の料理」の提供場所は十二分にその目的を実現してくれ、期待以上の満足をもたらしてくれることでしょう。

いい素材、旬の素材だからこそ過度な調味を加えずそこに更に質のいい塩やビネガー、麹、出汁を使って素材を活かすこと。これはきっとプロフェッショナルの鍛錬された舌と味覚、そして培ってきた生産者との調達ルートなどがあるから可能なことであり、そこには否応無しに素人に入り込む余地はありません。

AURALEEにもこのシェフのようなプロフェッショナルの気概とアプローチの方法と魅せ方をいつも感じます。最上の素材をどう調理したら素材の良さを活かせるのか、デザイナーの経験と審美眼と、磨かれたセンスと、時代を掴む敏感なアンテナの全ての融合によって、シンプルながら多くの人を魅了するフルコースが完成しているように思います。今19SSのコースのおすすめはこちらです。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

自己追求へのアプローチ

Phlannèl / Anonymous Shirt / 19,000+tax

海外に出てみて改めて日本の魅力を再発見することがある人は少なくないでしょう。日本にいては近すぎて自分自身がその中に埋もれてしまうけれど、そこから一歩抜け出すことで、しっかりと自分自身や日本を、見つめることが出来る「第三者の視点」が自然に備わるということの結果がそういった形で現れているのだと思います。

洋服へのアプローチでも、海外コレクションを動画や写真で見たり実際にアイテムを手にとって見ることでそれらとドメスティックアイテムとの違いや国内ブランドの持つ魅力を再発見することが出来る場合があります。私自身も、日本から脱出して検証することは不可能ではありますが、仕入れのタイミングだったり実際に店に商品が入荷してくるタイミングで洋服と対峙する際には、「海外から見た日本」という構図でそれらを見比べてしまうことが多いです。

そうした際に現れるのは、縫製技術や素材のクオリティにおける日本の優位性であるということはこれまで飽きるほど語られてきたことではあります。それに加えて今シーズンのPhlannèlコレクションから発見したことは、日本の色表現の魅力です。日本に親しみのある藤や菫、そして桜のスモーキーでエアリーで、儚げで静謐な発色は、たとえ海外に同じ植物があったとしても、日本の柔らかく表情豊かな四季のある風土だからこそ現れる特徴であり、それも得てして日本の優位性と言えるでしょう。

日本から脱出をしないと必ずしもその魅力を見つけることが出来ないというわけではなく、外に出ることはあくまでその手段の一つに過ぎません。逆を言えば、日本という渦の中、台風の中に巻き込まれてその「台風の目」に入り込み、中心の奥深くへと潜り込んでいくことで表面に現れることのない何かを掴むことも違う方向性からの日本の理解へ向けたアプローチの一つです。

Phlannèlという、日本生まれの洋服に対してどんな視点を持って触れてみるかは、消費者にその多くを委ねられています。ただきっとどのようなアプローチにせよ、そこには日本特有の美、日本らしい価値観、そして日本らしい表現を再発見できることを保証します。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram

共感の数は必要か

Phlannèl / Double Cloth Colaless Coat / 58,000+tax

見栄を張らない、着飾らない、驕り高ぶることのない「静かな贅沢」を提供してくれる、信頼できる店は果たしてどれくらいあるでしょう。捨てずに長く愛用出来、なおかつ箪笥の肥やしになることなく毎年新しい服を買った時のような楽しさを提供してくれるブランドがどれくらいあるでしょう。そしてなおかつそんな物や場所を知っている人はどれくらいいるでしょう。

都心にいると街ゆく人の多くは上品に着飾りつつもこれでもかとブランド服を寄せ集め、流行のカラーやデザインで身を固め、すれ違う人々の姿を目で追いながら自分との差を心の中で定規で測り、あくせくした気持ちで大通りを闊歩しています。その横を、決して最先端とは言わないけれど質の良さそうなコートをさらりと羽織り、まるで自分の庭を散歩するように何気なく歩く人がいたならば、きっと私は後者の姿を見え得る限り目で追いかけてしまうでしょう。

思うに、後者は真の贅沢を知っている人で、そんな服を提供してくれる信頼出来る店を知っている人で、固執することはないけれど自分にあったサイズや価値を提供してくれるブランドを知っていることでしょう。誰もが他人の評価と共感の数だけを気にする街ではそんな「静かな贅沢」を楽しむ人の数は少ないのだと、久しぶりに歩いた銀座の街で考え込んでしまいました。そんな街にはそぐわないし多くの人の心には響かないかもしれないけれど、それでも自分が良いと思える物を知っている人は今とても貴重で、だからこそとても目立つように思います。きっと、得られる共感の数は少ないかもしれないけれど、とても、目立ちます。(守屋)

BLOOM&BRANCH WEB SHOP
BLOOM&BRANCH Facebook / Instagram
BLOOM&BRANCH SHOP Instagram
KIJI Instagram
Phlannel Instagram
THE BAR by Brift H Instagram
COBI COFFEE Facebook / Instagram