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ふつうが普通でなくなった今

knitbrary / Two-tones Fisherman Sweater / 90,000+tax

欲しいコートを試着してみて、同行している友達やパートナーに感想を尋ねたとき、「ふつうだよ」と言われたりしたことはありませんか。恋人や家族と食事に出かけて、同じ皿を味わっている時に「ふつうに美味しいね」と感想を述べあったりしたことはありませんか。

私が接客業をしていた時に良く耳にしていたのは「ふつうのニットが欲しいのに探すとないんです」、あるいは「ふつうに使いやすいバッグでおすすめはありますか」といった声でした。「ふつう」とはつまり可もなく不可もなく丁度良い具合である様を表す言葉ですが、今日において「ふつう」が示すニュアンスは肯定的でポジティブな意味合いが強いように思います。

knitbrary / V-neck Cables Sweater / 110,000+tax

とびきり美味しいパスタではなく安心感があって幸福感が得られる「ふつう」に美味しいパスタ。品質が良く見劣りしない、袖を通した人だけが黙って肯いてしまうような満足感があり、そして長持ちするけれど特別目を引くわけではない「ふつう」に素敵なニット。要は何て事のなさを持ち合わせた「良いふつう」を求めているだけのことなのです。

少しのデザインや個性や利便性など思いつく限りの付加価値たるものを付加させようとこぞって社会が動き続けた代償は、どこにでもあったはずの「ふつう」が消えてしまったことなのだと私個人としては感じています。「ふつう」は今日では「ふつう」ではなくなり尊く稀な存在になってしまいました。なんて事のない、「良いふつう」はどこにあるのでしょうか。(守屋)

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「はずす」ための訓練

Le Yucca's / Le Yucca's Sneaker / 148,000+tax

「はずす」「着崩す」「抜け感を出す」など、近年消費されるようになってきた言葉がありますが、ともするとそれらの言葉達は勝手に一人歩きを始めていて、そもそも根元にあったはずである「はずす」ためのルールというものが全く見えていない着こなしを街で散見するようになったと私個人としては感じています。

ファッションにおける「はずす」という言葉は「ルールから外れる、逸脱する」ことを指しているのでしょう。つまりはずすということは、いわばバランスボールの上に真っ直ぐに立ち上がっている状態から、片足を持ち上げて立てるようになるというようなもので、勿論その難易度は上がり、そして卓越した体幹やバランス力が必要になるはずなのです。

ここで言うところの体幹とはつまり着こなしにおける「ルール」に対する理解度のことであり、スーツスタイルの原点的着こなしのルールやアイビールックの原点的着こなしのルールを心得ていることがその体幹の強さに当たります。そしてバランス力とはそこから外れる塩梅を見極める能力のことであり、適度にルールから逸脱するセンスのことです。

Le Yucca's / Suede Ghillie Shoes / 118,000+tax

それだけ洋服や着こなしに対する前提理解や、繊細で熟練した技もしくは先天的な能力が必要であるはずの行為を、その先端だけ掻い摘むことで達成しようとするのは少し横柄で強引で短絡的に過ぎるところがあるのではないでしょうか。着こなしとは本来コミュニケーションツールであり、自分がどんな人間でどんな価値観を持っているのかを一番外側で表現するものであるはずなのだから、そんなに簡単に小手先で完成させてしまっては非常に勿体無いと思わずにはいられないのです。

おそらくこのスニーカーやスエード靴も「はずし」のアイテムとして一役買ってくれることは間違い無いのですが、上記のように短絡的に考えていてはきっと「はずれ」ないままに終わってしまいます。バランスボールに片足で立ち上がって不自由なく読書でも出来るような技を身につけるくらいに、理解を深めて技を磨いた人に是非おすすめしたいと思います。それだけ、Le Yucca'sのシューズは単純なものでは無いといことだけをお伝えしたい次第です。(守屋)

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不要なパンデミックを起こさぬよう

KIJI / OUDO - Natural / 28,000+tax

次の秋冬シーズンに向けた別注商品のご相談をさせていただくため、先日あるブランドの方とお話をしていたところ「別注商品の依頼は多く受けるがBLOOM&BRANCHのように継続してリリースしているお店は決して多くはない」ということを伺いました。我々は何かを始めるときは必ず「継続すること」を意識しているので、そのお話は少し意外でした。

何かを続けるということは良く見える側面も、その反対の側面も勿論持ち合わせていて、例えば長期的な視野を持つためには流行だけを見つめることは不要になり、じっくりと腰を据えて安定的な取り組みを行うことが出来る良さがあります。生産者やどこかのブランドの協力を得てものづくりをする際も、お互いに消費されることを恐れず、長く続く良いものを作ることだけを考えて膝と膝を付き合わせて話を進めることが出来ます。

KIJI / SHIMA - Natural / 25,000+tax

反対に、「継続=変化がない」ということになるとどうしても市場からは飽きられてしまい、せっかく良いものを発信していてもそれを適切に伝える機会を逃してしまうことになります。変化がないことは惰性と取られてしまうことは往々にしてあるでしょう。それを逃れるためには、少しずつ少しずつ、変化させ成長させながら地道に何かを続けていくという、いわゆる忍耐力のようなものも同時に必要になります。大きな社会的影響は起こせなくとも、良いものを適切に伝えられれば良く、そしてその波及力は継続することで徐々に大きくなれば万々歳といったところでしょうか。

イノベーションは私たちの生活の余分な隙間に入り込んでせかせかと生活の速度を上げ、得られる情報量を圧倒的に増大させ、そしてそれらの及ぶ広さは想像も出来ないところまで広がっていますが、そんな経済やビジネスのダイナミズム主義のような感覚から程遠いところにいる我々の現在地について、先述のお話を伺い改めて認識するに至りました。

我々はこれからも少しの成長と変化を伴って少しでも長く継続させることをミッションとし、不要なパンデミックを起こさぬよう、地道な活動を続けていくことしか出来ないのだと思います。お陰様で継続しているKIJIのデニムシリーズも、見えにくくはありますが少しずつ成長をさせている商品です。そしてコットンそのものの糸の色を活かした新色のNaturalカラーをリリースする取り組みは、継続する為の少しの変化の証です。(守屋)

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肩書きというのは非常に曖昧なものである

TENDER Co. / COTTON MOHAIR TAMMY YOKE POCKET SHIRT #1 / 48,000+tax

洋服をデザインする人の中には、構築的なパターンと立体的なシルエットを作り出す建築家のようなデザイナーや、美しい絵画を描くように色彩と操り眼前にその表現を魅せる芸術家のようなデザイナーもいます。そしてウィリアム・クロール氏のように対象物に対しての溢れ出るほどの探究心を持って向かい合う研究者のようなデザイナーもいます。

もともと持っている彼の探究心の深さは言うまでもなく、その研究者としての眼差しは、きっと彼がセントマーチンでの教授職についているという彼自身の生き方が寄与するところが大きいのかと思います。学びの場に身を置くということは、実際的にも多くの文献に触れる機会が多いのではないか、そういった現実は彼の持つ研究熱心な姿勢をより加速させるのではないか、ということは容易に想像が出来ます。

そしてそういった研究者のような眼差しを持つデザイナーが生み出す服はアーカイブの単なるサンプリングに終始することは決してなく、例えば労働服としてデニムが機能していた時の時代背景、その時代の人々の生活、その土地の風景全てがしっかりと咀嚼されていて、彼の中で醸成され、彼のフィルターを通して、全く新しいものとして生み出されているのです。

また、いつも実験的な植物染料などを用いた染色は研究者としての実験の様子を想起させます。そしてそれによって表れる見たこともないような色彩は、化学反応を起こした実験結果のようです。良い結果がもたらされた際にはその染料は長く使用されますが、それが使用できなくなった際には新しい染料を求めて新しい実験がまた繰り返されます。研究と実験は終わることがありません。(守屋)

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Phlannèl Special Interview - 新たな挑戦の話

Phlannèl / Goat Suede French Army Vest / 70,000+tax

3回目を数えるPhlannèlデザイナーへのインタビューを2020SSシーズンアイテムの発売と共に掲載いたします。今シーズンより遂にレザーアイテムを手掛けるなど、これまで以上に深みを増し独自の色彩を帯びた新シーズンのコレクションを是非お楽しみください。そして、こちらの記事を通して現在のPhlannèlが見つめる視線の先を共有出来ればと思います。

 

生地は生き物

20SSシーズンのアイテムがリリースとなりましたが、今季のコレクションで新たに取り組んだこと、意識したことなどあれば教えてください。(守屋)
─この後の質問でも出てきますが、formeさんとのコラボレーションシューズの制作やレザーアイテムの制作が新たな試みです。あとはPHLANNÈL SOLのラインナップを増やしました。PHLANNÈL SOLだけでもよりブランドとして成立するようになったと思います。(Phlannèl 浅川)

意識的になのか、結果的になのか、今シーズンは前回よりもまた更に素材のクオリティの高さを感じました。展示会でどの素材のアイテムに触れてみても、すごく肌馴染みがよかったことが印象に残っています。
─19AWでもそうでしたがPHLANNÈL SOLが存在することで、Phlannèlコレクションの方は素材をアップグレードして制作しています。今季はそれに加えて、春夏のコレクションということもあり夏に快適な薄手の素材の使用を意識しました。軽やかさがありながら、その中でもテクスチャーなどではバリエーションを増やして、抑揚のあるコレクションに仕上げました。(浅川)

今シーズンのアイテムで特に作るのに苦労したアイテムはどれですか。(守屋)
─実は、洋服というのはデザインはあまり変えていなくても、そのデザインを新しい生地に乗せると突然何かしらの歪みが出てしまったりするもので毎回違う苦労があります。生地は生き物なのだなあと、そういった時にいつも実感します。ただ20SSは比較的作りやすい素材が多く、順調でした。敢えて挙げるとすれば、やはりレザーです。中々思うような仕立てにはなりませんでした。(浅川)

例えばどんな部分でしょう?(守屋)
─断ち切りの縫代始末のレザーは、なるべくその部分の幅が均一にいくように気をつけたり、前端や袖口カフス端などは特にですが、出来る限りフラットに仕上がるようプレスをかけたりなど綺麗に仕上げるのに細かく細かく注意して制作しました。これまでもお付き合いがあり信頼している先に縫製依頼をしていますが、また新たな課題も見えてきたりもします。(浅川)

そうは言ってもPhlannèlらしく無駄の削ぎ落とされた簡潔なアイテムの顔が見えて、とても素敵な仕上がりだと感じました。(守屋)
─同じパターンでも縫製工場や作り手によってやはり仕上がりの顔は全く別のものになります。日本人は良くも悪くも生真面目なので、綺麗に綺麗に仕上げることだけに気を取られると、悪くいうとつまらない、雰囲気のないものになってしまいます。例えばBLOOM&BRANCHにあるヨーロッパの服は、縫製が優れて美しい訳ではないものがあったとしても他にはない雰囲気を持っていますが、そういうバランスの取り方一つにも個性は表れます。(浅川)

すごく勉強になります。そんな中で今季どうにかリリースを叶えたレザーアイテムなのですね。(守屋)
─今季は今まで手を出してこなかったアイテムに挑戦しようと決め、Phlannèlらしいレザーアイテムを作ることに挑戦しました。素材は、ヌバックのようなゴートスエードを採用。Phlannèlらしい赤みのあるベージュ色をつけました。裏側をナッパラン加工という表革のような加工を施し、裏地をつけず、一枚仕立てにし、軽やかに着ていただけるように仕上げました。レザーアイテムはまだまだ開発模索中ですが、これから定番にしていきたいと考えています。(浅川)

Phlannèl / Cotton Cashmere Lily-yarn Knit Cardigan / 38,000+tax

「白」の明るさ

本来のPhlannèlらしさに立ち返ったとお話していた19AWのものよりも20SSはまたカラーパレットががらりと変わった印象ですが、今季はどんな気分や思いが反映されていますか。(守屋)
─大理石や鉱物などの石の色目を中心に据え、それを支えるベーシックカラーとして黄味の強い生成りを提案しています。 この「黄味の強い生成り」はベーシックカラーでありながら、全体のコレクションを明るく華やかにする役目も果たしています。ヴィヴィットな色を好まないPhlannèlとしては、白や生成りの分量を増やすことで明るさを表現しています。Phlannèlはどうしても渋めの色を好んでしまいますが、春夏のコレクションは秋冬よりも少し明るくなるような色目をつけたくなります。そのような中でPhlannèlらしさを保ちながら、とてもバランスの良いカラーパレットになったと思っています。(淺川)

Phlannèl / Cotton Cashmere Lily-yarn Knit Pullover / 38,000+tax

今季はバリエーションが増えたというPHLANNÈL SOLですが、定番アイテムのアップデートはありましたか。(守屋)
─Tシャツとチノパンをアップデートしました。まずTシャツの方は、今までは肌触りの良いスビンコットンをメインとしていたのですが、ある程度定着してきてリピートしてくださる方も増えたので、バリエーションとして真逆のジャージ素材を新しく作りました。空紡糸を度詰して、カリッとしたタッチのハリのあるジャージです。70年代のフルーツオブザルームのTシャツ生地をイメージし、それをPHLANNÈL SOLのフィルターを通して上品に仕上げています。特徴としてはシルエットが立体的に出ること、そしてハリ感によって身体から自然に離れるので夏に風通しがよく、涼しいです。今回はまだですがこれからリリースになるので楽しみにしていてください。

PHLANNÈL SOL / FW-128 / 22,000+tax

チノパンは新型を1型増やしました。20世紀初頭のワークパンツから着想した「FW-128」というモデルです。深い股上とゆったりした腰回り、裾にかけて緩やかにテーパードするシルエットなどベースの部分はそのまま活かしましたが、シルエットを現代的にアレンジしています。(淺川)

現実と非現実の均衡

19AWシーズンからPHLANNÈL SOLが始まったり、日本人モデルを起用したビジュアル制作だったりと、リアリティに寄り添う一方で非現実的なロケーションでのイメージビジュアルがあったりして、「リアリティ(=生活の一部)」というPhlannèlの芯の部分と同時に進む新しさのある独自世界の広がりが引き続き新鮮な20SSコレクションですね。(守屋)
─イメージビジュアルやカタログの作成は毎シーズン、アートディレクターの方を中心に更新し続けています。皆さんプロの方ですから色んな引き出しが沢山あり、毎回楽しみなお仕事でもあります。日常に寄り添う服だからこそ、ロケなどで非日常な空間と組み合わせることで、リアリティになりすぎない表現を用いたりというのも意識はしています。(淺川)

アンテナを張り続けること、インプット・アウトプットの継続を前回述べられていましたが、淺川さんご自身の中でそれらの方法の変化や意識の部分での変化などはあったのですか。(守屋)
─意識していることはこれまでと全く変わっていません。Phlannèlのデザインにおいても、長く着れる服を作りたいという根底の思いは変わっていませんが、ブランドに携わる時間が長くなればなるほど、それを忘れずにブレずにいることの方が大変になります。なのでそのブレを作らないよう意識しながら、それでもPhlannèlは自分自身の感性と感覚を頼ってデザインしています。一方でPHLANNÈL SOLは、より他にはありそうでないもの、そして長きに渡ってベストセラーになるような名品を生み出したいと考えながらの開発です。が、中々難しいです。頑張りたいですね。(淺川)

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ことばの箱から漏れた空気は

40's French Army Belted Pants / 30,000+tax

「ことば」という箱には全てを有形物のように見せる特殊な力があります。目の前にある絵画や耳に聴いた音楽、食べた料理などに関する一般的魅力や個人の主観、それ以外の付属説明などの無形の欠けらを集めて「ことば」という箱の中に入れると、多くの人にある程度の同一感覚でそれら無形のもの(=感情)を共有することが出来るようになります。

心の中にふわふわと浮かんでいる、色のついた空気のような無形のもの(=感情)も、「ことば」という箱に収めてみるとその色のついた空気は他人にも見えるようになって、それがブルーなのかピンクなのか、イエローなのかを共有することが出来るようになります。

ただ、その「ことば」の箱に押し込んでみようと思った色のついた空気は、空気なので少し漏れ出すこともあります。その漏れ出た部分の共有が難しいからこそ、他人へは自分の感情を言葉で全て伝えようと思っても、どうしても完全理解に至らないという難しさがあるのだろうと思います。そして実は、こぼれてしまった側の色のついた空気の方が濃度が濃かったりするのです。本当はこっちの漏れてしまった側が大切で、こっちを上手く言語化出来たらよかったのに、どうしてか空気は知らぬ間に漏れ出てしまうのです。

そしてその「ことば」の箱から漏れてしまっている部分への理解度というのは、相手がどれだけ自分と似た価値観を持っているかに起因していて、言葉を発した人と全く違うフィールドで生きていてきた人や価値尺度が異なる人にとっては、箱から漏れてしまった空気の色を推測することは非常に難しいと思います。だから特殊な力をもつ「ことば」の箱も万能ではなく、それほどに人間の感覚というものは複雑なのです。

French Navy Breton Shirt / 14,000+tax

どうしてこんな話をしているかと言いますと、ビンテージの良さというのはどれだけ”希少性”や”味わい深さ”や”面白さ”を「ことば」の箱に押し込めてみても、きっと箱の中身を共有出来る人とそうでない人とは二分されるものだろうと感じたからです。その箱から漏れた空気の色を言葉を介さず共有出来る人とでないとわかり得ない部分に、それらの良さと面白さの真髄があると思ったからです。けれど、そういった類の洋服は非常に面白くありませんか。どれだけ蘊蓄があろうと、情報があろうと、結局はそれらが届かないところに、真の魅力はあるのですから。(守屋)

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あるべき場所にある美しさ

Bergfabel / Shearing Work Jacket / 280,000+tax

東京に住む人が京都や金沢や、そして北海道、沖縄に旅行に行くのは、きっと美しい景色を見たり美味しいものを食べたりして、東京では味わえないリラックスした気持ちと美意識を体感したいということが潜在的な理由になるかと思いますが、そこでふと思ったことは、東京に住むどれだけの人が、この東京の街を美しいと日々思っているかということです。そして私自身は、東京の街を「美しい」と思うことは控えめに言ってもほとんどありません。

古都金沢の街並みが美しいのは、その古き良き建築物や美術品があるべき姿でそのまま残されているからでしょう。そして新しく造られる建物やお店や道路にしても、ありとあらゆるもの、街の景観を作りあげているものたちはあたかも昔からそこにあったようにすんなりと街に馴染んでいます。その「あるべき場所にある」美しさが、長きにわたり人々を引きつける景観の美しさを保っている金沢の特色でしょう。

沖縄の海や北海道の緑が美しく感じることも同様の理由で、もちろん人間が作り出したものでは無い自然というものは、あるべき理由があってそこに存在しています。寒い国にはその土地の気候にあった緑が育ちますし、食物もその土地にふさわしいものが自然と育ち、その土地の名産となります。美しい海やサンゴ、そして色鮮やかな魚たちはその温暖な海の気候にあった生き物だからそこに存在しているわけで、それがそのまま寒い海に移植されることは決して不可能な話です。

Bergfabel / Farmer Coat / 155,000+tax

あるべき姿のまま存在している自然や、あるべき姿のまま残された景観に美しさを感じる人々は、不用意に作りあげられた景観や商業ベースの建築物には決して「美しい」という感情を抱くことはないと思います。便利で快適かもしれないけれど、それと美しさはもしかすると対極にあるかのように遠い意識の違いであるようです。

洋服についてもきっと同じで、着るべき人が着ていれば、どれだけ古いものでも美しいし格好が良く、視線を一心に集める存在になるであろうと思っています。そしてあるべきクローゼットに収まっている洋服の姿も同様に美しいものです。この洋服の隣にはどんなものが掛けられているか──それだけでその服の心地良さそうなオーラやそれが放つ美しさは変化します。お店ではあるべき場所に収まってその美しさを魅せてくれる服たちがここにはありますが、誰かのクローゼットの中でも同じように心地良さそうに収まっていて欲しいなと、そう願うばかりです。(守屋)

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今見ているもの

灰釉粉引花入(松) / 10,000+tax

自然のものが絶対的な善であるとは限らない。自然から採取される天然の塩は、ミネラル由来の旨味と塩味を持つが出汁のような複雑さを伴う味わい深さを増進させることは出来ない。バランスよく整えられて用意された人工調味料は、それだけで味の濃さや旨味、重層感全てを増進させることが出来得る。

青灰稜花六寸台皿 / 5,500+tax

利便性と手軽さを重視すれば、もしかすると自然のものよりも人工のものの方が理に叶っていると言える場合もある。ただ、本当に身体が心地よく健やかに感じるものはどちらだろうか。そこに正解はなく、全ては個々人の感覚に委ねられる。

灰釉粉引片口(大・淡緑) / 7,500+tax

自然のものが絶対的な善であるとは限らない。自然から採れるものだけを調合した釉薬は色が安定せず、思った通りの色彩表現をなし得ないこともある。同じものを複数生産するためには、化学に頼り、色を安定させて思い通りの仕上がりを叶えてくれる釉薬の方が適していることは言うまでもない。

思っても見ない仕上がりを自然物ならではの表情と喜ぶか、色合いの異なる対のマグカップに違和感を覚えるかは感性の違いでありどちらも正解や不正解の価値指標には則らない。全ては個々人の感覚に委ねられる。

淡緑三島大皿 / 30,000+tax

自然のものが絶対的な善であるとは限らない。人工物が絶対的な悪であるとも限らない。ただ、自分の持つものや当たり前に世間に広まっているものたちを全て手放してみると、そこにただ在る自然のありのままの姿を、そのまま受け入れることが出来るようになるのかもしれない。不便も歪さも何もかもが、心地よく手を取り合って自分の中で成立するようになるのかもしれない。全ては、個々人の感覚に委ねられている。(守屋)

【川口武亮 / 今見ているもの】
WEB SHOP個展会期:12月7日(土) - 9日(月)
個展作品ページはこちら

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knitbraryの良いところは何ですか

knitbrary / Chunky Cardigan / 125,000+tax

ライフスタイルやライフスタンス、いわば新しい価値観や文化というものは、誰かから教えられるものではなく、自らで情報を取捨選択し、拾った情報を自らの肉体と精神のフィルターを通して噛み砕きながら体得していくべきものであると思っています。その時に、決して忘れてはならないことは、まず素直に心動かされること。そしてそれがいいものだと感じるならば、自分もいつかそれを手に入れたい、理解したいと願う気持ちを忘れないことだと思います。

その純度の高い受容の精神があってこそ、そこで理解しようと試みた価値観やその後に手に入れた体験全てが、その人のフィルターを通ったその人だけのライフスタンスとして体得されていくのではないでしょうか。そしてそのような温度を持った誰かの価値指標なり情報だけしか、この情報社会の中においては価値を持たなくなっているとも思います。ここには、そのようにして何かを得たい、理解したいと願いそれを叶えた人々が体得した、knitbraryという一つのブランドに対する価値指標を掲載させていただきます。


− knirbraryの良いところは何ですか

 

− knirbraryの良いところは何ですか

エレガントに寄るか、手編み感のあるナチュラルに寄るかの二極に偏る“上質なニットブランド”というカテゴリーの中で、丁度良くバランスを保っているところ、そしてそこがBLOOM&BRANCHの洋服にも馴染むこと。あとは、デザイナーが丁寧に色の組み合わせや、日本人に合わせた袖丈や、お店に合わせたサイジングなどの相談に乗ってくれ、オリジナルなオーダーを可能にしてくれること。(Women's Director 中出)

人の手から生み出すものはニットに限らず個体差が出てくるし、どうしてもハンドメイドというとナチュラルだったりほっこりという土味的な印象が強く出てしまうと思います。だけれど、knitbrary はモダンさを兼ね備えていて、その調和が非常に上手だと思っています。職人さんが作っているにも関わらずその職人さんの色が付かず、静かに、でも主張のあるアイテムとして確立しているというのか。ちなみに、かぎ針編みのショートカーディガンは、編み地も素敵ですが、私の様な小柄な身長の人にはとても良い着丈バランスで、シンプルにデニムとユッカスと合わせるのが素敵です。(Press 西村)

− knirbraryの良いところは何ですか

デザイン面で言うと、手編みの物は古臭かったり普遍的な物が多い中で、どこか新しさを感じるというところ。それはシルエットも含めて言えますが引き算の中に垣間見える足し算の部分が良いです。手編みニットなのにほっこりせずに品格が漂うとか。あとアルパカの手編みってそうないと思います。その気持ち良さは格別です。(AOYAMA Shop Manager 伊藤)

肉厚のフィッシャーマンニットなどとは違って、柔らかく着易さに優れたところが良いです。素材自体のクオリティも高いので、シンプルなスタイリングでも上品に着こなせます。(AOYAMA Shop Staff 香村)

knitbrary / Crew Neck Lady Cardigan / 102,000+tax

− knirbraryの良いところは何ですか

極めてシンプルなデザインと風合いだからこそ、その人自身の個性が存分に出る品の良いニットだと思っています。(AOYAMA Shop Staff 安達)

ニットの入った箱を目にした時にまず、時計とかアクセサリーを手にしたような高揚感を覚えます。ただならぬオーラを纏ったその箱を開けて物を手に取ると、デザインやカラーは普遍的。だけど何故か滲み出る高級感や上質感は着ないと分からない良さです。「高級」とか「上質」という言葉は平易ですが、これに関しては沢山のニットを着てきて、良き物への判断基準が備わっている人にだけ分かるものかと思います。(TOKYO Shop Staff 粕谷)

knitbrary / Lines Pattern Sweater / 105,000+tax

− knirbraryの良いところは何ですか

日本人のような丁寧な心配りで海外で出会うラフなクリエイターの中でもちょっと異質。生真面目で温かくて、そんな2人を一方的に好きでいます。作りは手編み、手横機といった時間のかかることやってるんですが、完成したものもやっぱり温かい。体感的な温度もそうですが、ニットから伝わってくる幸福感が違う。(Director 柿本)

Text : 守屋

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パリでも、ニューヨークでもなく

Phlannèl / Baby Alpaca Multi Border High-neck Sweater / 34,000+tax

空気がすっと澄み渡って、頰をかすめる風の中にほんの一握りのひんやりとした心地よさを持ちながら、それでも太陽の温もりを目一杯抱え込んだ空気の柔らかさで溢れる秋の空気が、私は一番好きです。夏のくっきりとした世界の色は、一転してその彩度を下げながらも透明度を増してきらきらと輝き、全てがグラデーションの中で一体感を持ってすっぽりと在るべき場所に在るような、そんな心地良さがありませんか。

今年は関東をはじめ全国的に見てもなかなか紅葉が始まらなかったばかりか、夏の終わりと秋の始まりを行ったり来たりするようなどちらともつかない、よく言えば気持ちの良い暖かさが続く気候でしたのでなかなか秋の実感も湧かないままにとうとう11月を迎えてしまいました。ぽっかりと大事な季節を噛み締め忘れてしまったような不意を突かれたような感覚です。

そんな日々の中にでも少しずつ色づく街路樹の黄色やオレンジがあり、そしてそれを映し出すキャンパスとしての空は、青さを落ち着かせて街の色を引き立ててくれるような、薄いベールを纏った美しい青に変わりました。街のコンクリートも、からからと干からびてしまった素っ気なさから、本来あるべき潤度を取り戻したようにそこにある空気を集め、時折落ち葉のアクセサリーを纏って街にしっかりと同化しています。

Phlannèl / Wool Yak Cable V-neck Knit / 32,000+tax

夏にはきっぱりとそれぞれの色と個性と質感を主張しあって賑やかだった大地も自然も街も、秋にはそれぞれが調和し丸さを帯びて母のような寛大さと温かさを持ち、来るべき冬に備えているような、そんな感覚を覚えます。そのグラデーションを帯びる季節の色を目の当たりにし、日本ならではの秋の色と空気を感じながら、それらを忠実に再現しているPhlannèlのアイテムをふと思い出す。クローゼットを開けて、去年の冬に自分の身体を温めてくれていたニットを思い出す。

今年もようやくそんな季節がやってきました。このグレーを帯びた青は秋の空の色、もしくはグレーの濃さを思うとこれから寒さの増す季節の色かもしれません。ここにはパリの空の色はなく、ニューヨークもシアトルも、プーケットもハワイもリオデジャネイロもありません。ここには、確かな日本が表現されています。(守屋)

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流動的なファッションの中に「不変」を見る

POOL by CLASS / Calton Brown / 73,000+tax

基本的に洋服は大好きだが着道楽ではなく、洋服というプロダクトは好きだしデザインという領域の話は好きだけれどファッションは好きではなく、マーケティングなんて出来ることなら考えたくないという業界人として間違いなく失格の烙印を押されてしまう欠点が私にはあります。ちなみにこの考え方は、シンプルで長く使える洋服や上質な日常着をベースとして提案しているBLOOM&BRANCHの世界観が好きなお客様には少しは理解してもらえる部分があるのではないかと淡い期待を抱いています。

これは決して根拠のない自信や願望ではなく、その価値観に共感してくださるお客様がいるからこそ毎シーズンPhlannèlでは変わらない定番品をリリースするSOLというレーベルが誕生したわけですし、それらを求めてくださるお客様が沢山いらっしゃる事実があります。ですがそんなお客様にも、日常から少し距離を置いたようなファッションアイテムに是非触れてみて欲しいという一見矛盾する考えを今回はお伝えさせていただきたいと思っています。

POOL by CLASS / Manashiki / 43,000+tax

上質な日常着を基本とする店内では、ファッション性の強いアイテムやデザイン性の強いアイテムはより際立って見え、必要以上にそのファッション性だけが目に入って来がちなのですが、これらのファッション性の強いアイテムは、流行とは無縁ながらそのシーズンの中でデザイナーが表現したい世界観を強く反映している、その時のリアリティが凝縮されたアイテムなので、正直なところ次のシーズンになっても愛用していられるかと問われると私自身にも疑問が残ります。ですがこれらのアイテムの多くはファッション業界を第一線で長く引っ張ってきたデザイナーが作るものであり、そこに一時的な感情は多少含まれていながらも芯の部分では確固たる世界観をどっしりと構えています。「変化」の中に必ず「不変」を持っているのです。

この「不変」がしっかりとあるからこそ、1年目に飽きるほど着て2年目にはそっとクローゼットを温めるだけになったアイテムも、3年目になるとまたじわじわと袖を通したい感情が湧いてくる。その理由は時を経て初めて、そこに表現されていたのは流行や気分ではなく「不変」の拘りの世界観やメッセージなのだと気づく事が出来るからです。更に彼らの作る洋服には、経年により美しく変化する表情を持つものがほとんどです。彼らはファッション性の中に「不変」を表現する方法の一つとしてそのような経年の美しさを選んでいるのかもしれません。

そして、BLOOM&BRANCHにあるアイテムは全てにその「不変」の役割を求める事が出来ると断言できます。何故かというと、そのような信頼のおけるデザイナーの作るものしかセレクトしていないからです。その時流行っているだけだったり、信念のないマーケット重視のブランドのアイテムは、ここにはありません。ここにあるそれらのアイテムを多く買って、一定の時を経た今だからこそ、自信を持ってお伝え出来るようになりました。(守屋)

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信用を担保に

Phlannèl / Arles Wool Balmacaan Coat Womens/ 85,000+tax

エルメスやルイヴィトン、カルティエ、そしてメルセデスベンツなど、ヨーロッパにはもの作りにおける老舗ブランドがあまた存在し、世界中でファンを獲得し、その地位を揺るぎないものとしています。同じく、もしくはそれ以上に長けたもの作りの技術や職人気質の文化があるはずの日本では、残念ながら先述のようなブランドの発見や育成が出来ていないのが現状かと思います。

Phlannèl / Arles Wool Balmacaan Coat Mens / 85,000+tax

戦後の日本においては経済成長こそが正義であり、誇るべき希少な技術よりも生産性が、オリジナリティより市場ニーズが優先され、その結果ブランドらしからぬカラーの商品が売られていたり大量生産に向けて貴重な技術が望まぬ方向へ利用されていたりしたかもしれません。あくまで上記は個人的な仮説にすぎませんが、それらの市場原理と人々の視点が、本来あったはずの「老舗ブランドたり得る原石」をことごとく壊してしまっていたのではないでしょうか。

ヨーロッパで誕生し世界のマーケットを牽引する老舗ブランドには、そこに存在する職人技術への敬愛があり、市場ニーズよりも自分たちの作りたいものやブランド理念が優先され、薄利多売ではない適正価格で良いものを世に広めたいという心意気がずっと消えずに継承されていることでしょう。

需要に媚びないことが、逆に供給物へのニーズを生み出し、その繰り返しが長く続く歴史を形成し、その長い歴史という裏付けによって人々の信用を勝ち得て、その先にはその信用を担保として歴史を長く続けていくというパターンを作り上げたのだと思います。信用は何にも変えがたい無形財であるのだということに、どれだけのブランドが気づき、その発見のともしびを絶やすことなく継続していけるのでしょうか。

要するに、10年、20年スパンでブランドの未来を考えるのではなくて、100年以上のスパンで考えられる視点が存在するか否かがその分かれ目になるような気がします。日本はそんな世界に誇れる老舗ブランドを作り上げるマーケット作りから始めないといけないのかもしれません。本当に良いものは流行物ではないし、目立ったりもしない、だけれどその芯には揺るぎない信念があり他者への敬愛があり、それは持つべき視点を持った人には必ず見えてしまうものです。(守屋)

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便利の取捨選択

THE INOUE BROTHERS / Non Brushed Stole - Ecru / 17,000+tax

スマホカメラでさえ目を見張るほどの高画質な写真を写し出すことが出来るようになり、カメラの性能の進化は便利で自由な撮影環境や方法を提供するに至りました。そんな高性能カメラをかつてほどの高級品としてではなく手軽に手に入れられるようになったこの世の中において、素晴らしい写真がそこかしこに溢れかえるようになったかと言われると単純に首を縦に振れない現状があるように思います。誰にでも自由に良い写真が撮影出来る術が手に入った一方では、画一的で無個性で、均一化された量産型の写真が目につくようになったことは否めません。

Non Brushed Stole - Brown, Camel / 17,000+tax

話を食のフィールドに持っていっても同じ状況が目につきます。水耕栽培、ハウス栽培の技術革新や品質改良技術が著しい成長を遂げた今では、夏のトマトやなす、ピーマンなどの食材はどこのスーパーを覗いても11月になったこの季節であっても見つけることは容易です。それらがもたらした結果は、旬を味わう喜びの忘却であり四季による移り変わりのあったはずの食卓の風景の均一化なのではないでしょうか。

便利になることが均一化された社会を生み出し面白さや多様性の拡張の邪魔をすることは往々にしてあり、それは便利を求めすぎる人々への代償に他なりません。洋服に関してもそうですが、どこにいても、例えばここ日本でも容易にイギリスの老舗のシャツメーカーの生地を使用して製品を作れるような便利な世の中になりました。安価にカシミアを製造できるノウハウが構築され生産コストの現象により高級とされていた素材を使用したニットの製品化にも自由な選択肢が広がりました。その反面それらを使った製品は結果として画一化され流行に乗っただけの量産型の商品を生み出しただけになってしまっているのではないでしょうか。

そんな便利がはびこる世の中において、自らの価値観を表現出来るよう便利を制限したり自由を捨てたり、究極的には便利とは無縁のものへの拘りを捨てないことが面白さや個性や固有の価値を生み出すことになるのではないでしょうか。芸術家は限られたキャンバスの幅を与えらることで表現の自由度が増すのだと、どこかで読んだことを思い出しました。(守屋)

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より自然に、よりおおらかに

スリップ板皿 中 / 5,000+tax

静かな水面に広がってゆく波紋のように不規則に美しいゆらぎを描くスリップウェアの絵柄は、どれを取っても一つとして同じものはなく、その不規則性を維持したまま卓上にその波を広げます。不規則的なこの美しさは自然界のそれと呼応するように、人為の排除を感じさせうるものです。

とはいえ、これまでの氏の作品には静けさと透明感を携えたスリップの絵柄の中には、ある一定のパターンを垣間見ることも出来たように記憶しています。自由で不規則的な表情をある種のパターンを持って律することで、氏の作風を形成していたのだと思います。その個性と美しさに惹かれた方は数え切れないでしょうし、私自身もその魅力に引き寄せられ多くの作品を自宅に持ち帰った者の一人です。

スリップ長方皿 / 6,000+tax

ですが今展示ではそのパターンのようなものが影を潜め、自然界に近づくように不規則性をより強めた作品の数々が広がっており、その不規則性が逆に氏の世界観をますます強固なものとして確立しているように感じることが出来ます。緩やかなフォルムはより緩やかに、おおらかに、優しげな曲線を描いています。そしてその上を自由に往来する釉薬の波が広がります。

スリップ板皿 細長 / 6,000+tax

こうして自然界に近づいていったように見える作品の裏には、しかしながら緻密に計算された石膏型があり釉薬があり、氏の技術があるのだということを考えると、全ては逆説的な構成要素として成り立ち、この美しさを形成しているのではないかと思います。(守屋)

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無駄なく生きるとは何のためなのか

Gallego Desportes / Mantear Burby / 60,000+tax

自分自身の身なり、着こなしに無頓着である人たちが強い味方を得たように「スティーブ・ジョブズのように」という合言葉を口にしてその無頓着さを正当化する感性が一種のトレンドのようにもなっている昨今では、いかに効率的に生きるか、無駄を省いて生活を豊かにするかという視点が重要視されているように思います。

これまでと比べて圧倒的に速度は速く、密度は濃い現代社会にあっては、効率を求めていかないと時代に追いつくことすら難しかったり、仕事の場面のみならずプライベートの時間も十分に謳歌することが難しい場合もあるでしょう。そうして効率性を追い求めた結果、毎日着る洋服に悩む時間を無駄と見なし、削減するべく「スティーブ・ジョブズ的な」着こなしをする人が増えたのだろうという背景も容易に想像が出来ます。

一方で、自分自身への配慮の一端を省略するという決断は、果たして誰の為に、何の為に生きているのかという本質的な部分への問いかけを残すものであるようにも思います。「衣服は一番外側に表れるその人の内面である」と言われるように、それは本来自身の内面をじっくりと見つめ、問いかけ、答えを出して表現するツールの一つであるはずなのです。

Gallego Desportes / Wool Coat / 72,000+tax

身なりへの配慮を排除することは、毎日の微妙な心境の変化をキャッチする機会をみすみす逃している、あるいは初めからないものと見なしていると考えることも出来ます。洋服を選ぶ以外に、自分を省みる方法なんていくらでもあると思っている人も多くいるかと思いますが、ではこんなに簡単に毎日の生活の一部として自身の内面の省察の機会があるのにも関わらずそれを排除することは、果たして100%の効率性を獲得する答えになっているのでしょうか。

全てはあくまで個人個人の価値観に委ねられた話にはなってしまいますが、自身を省みることをせずに日々効率を求めて生きることは、果たして誰の為なのでしょう。または何の為なのでしょう。考えたことはあるでしょうか。(守屋)

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ルーツのかけら

mii / WRAP SKIRT / 33,000+tax

物心がつく頃や青春時代に、どんな友達とどんな場所でどんな遊びをしていたか、どんなことに夢中になっていたかということは、その人が大人になる上で非常に大きな影響を与えるものであると思っています。いわばそれらは、その人の人格を形成する重要な「ルーツ」となることは間違いないと、言い切ってしまっても差し支えないでしょう。

私が中学生時代を過ごした街にはその当時古着屋がそこかしこにありました。少ないお小遣いでは到底買い物なんて出来ない時から友達とふらふら買い物に出かけ、ラックや棚にぎゅうぎゅうに詰め込まれた服たちを見て、自分だったらこれが欲しいとかあんな服を着てみたいとか言い合いながら過ごしたその時代に、私は古着というジャンルの面白さや洋服の楽しさを知ったのだと思います。

国ごとに異なる衣服の成り立ちや地域性のある織物の柄や素材の肌触りというその当時に得た知識や記憶は、自身の血肉となって知恵となって今の仕事を支えていますし、その時の芽生えた感覚が今の自分の感覚の芽の息吹であったのだと思っています。当時はアメリカ古着の全盛期がひと段落し、より自由度の高い着こなしに皆がファッションを楽しんでいた時代でした。その時に見た柔らかく美しい生地で織られたインド綿のビンテージドレスや、アフリカンバティックの鮮やかな発色とハリのある素材のスカートなど、記憶に鮮烈に残るアイテムも本当に沢山あります。

こんな風に、きっと一つとして同じもののない、人それぞれに全く異なるルーツですが、同じジャンルの人間という存在はきっといて、交換可能なルーツのかけらもきっとあるのではないか、と久しぶりに自分のルーツを掘り返すきっかけとなったインド生まれのアイテムを前に考えた秋の始まりでした。今でも趣味の時間やお金の多くを洋服に使う大人の方々の中には、私とも交換可能なルーツのかけらを持っている人がいるのではないかと、そう期待します。(守屋)

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期待を裏切れるか

Porter Classic for BLOOM&BRANCH / Fleece Shirt Coat  / 38,000+tax

コラボレーションという販売手法や取り組みがここまで盛んになったのはいつからのことでしょうか。その走りとなったブランドの言及はしないまでも、80年代にセレクトショップの業態が日本において誕生し、どこでも様々な海外ブランドのアイテムが手に入るようになってから、「ここにしかない」を求めた売り手と買い手両者の需要によってその勢いは加速していったのかと思います。

いつしかユニクロやH&Mなどの所謂ファストファッション業態が大手メゾンとのコラボレーションを仕掛けて大きな話題を呼んだこともありました。そして一度「話題になった」コラボレーションの取り組みは、「話題になった」過去のものとなりいつしか消費者の既視感と飽きと疲弊を招くことになります。

「もう飽きたな」と消費者が感じる所以はおそらく優秀な彼ら彼女らが、そこに商売の香りを敏感に嗅ぎとってしまうからではないでしょうか。彼ら彼女らの求める形や想像を遥かに超えていない商品が発表されていたのであれば、「また同じことをして売りに走っている」と安直に思わざるを得ないでしょう。実際に供給側にそのような思いがあるとないとに関わらず、彼ら彼女らが感じた思いはそこでは事実となってしまうのです。

では、飽きらることもなく続いていくコラボレーションは有り得るのかというと、もちろん可能ですしそのような美しいコラボレーションも世の中にはたくさん存在しています。そうなるためには、上記のように「商売の香り」がしないこと、常に消費者の期待をいい意味で裏切って期待以上を提供し続けること、そして生産者・ブランド・ショップ・お客様全てに利益をもたらすことが出来る構造であることが必要です。

今、4シーズン続いているこのコラボレーションも、生産者・ブランドの協力があって叶っていることであり、お客様が理解をし、共感をしてくださっているから続くものであり、そのために我々は常に期待の遥か上を目指していく必要があるのです。期待の遥か上を行くことは正直なところ容易いことではありません。今回も我々の力量をお客様みなさまに測っていただく機会を与えていただきました。是非、ご意見もお寄せいただけますと幸いです。(守屋)

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ファンであることについて、そして旅をすること

péro / Drop Shoulder Oversized Coat / 122,000+tax

洋服やジュエリー、そしてワインやコーヒ、アートなど芸術作品まで様々な分野において、私は土着的なものに憧れます。その憧れの眼差しは、あくまで生活者でなく訪問者であり、エキスパートでなくいちファンであるというスタンスに置かれているものです。いちファンはその地に詳しい訳でもなく、文化を知っている訳でもなく、住んだこともなければもしかしたらその地の空気を吸ったこともないかもしれない、だけれどファンとして心からの尊敬と憧れと興味を抱いてそれらを見つめる視点を持っています。

深くを知らないことの面白さは、知っていないことに対して責任を問われないことと、それらをファンとして享受することで遠い異国の地を旅している気分にさせてくれることでしょうか。そしてこれら土着的なものの何よりの価値は、そこにしかない、その土地でしか育まれてこなかった貴重な資産であることと、それらが未だどこの国をも旅をしていないという出会いの奇跡かと思います。

péro / Regular Collar Shirt / 58,000+tax

インドのローカルな人々のドレスからインスパイアされ、インドの伝統技術を用いたテキスタイルを用いて、インドの人々の手で紡ぎ出されるpéroの洋服たちは、インドから旅をしたことはなく、それらが買い付けられた− 例えば日本 −へ、インドの空気を、匂いを纏ったまま、初めて旅をしてここ日本へやってきます。

そして私と、あるいは誰かと奇跡の出会いを果たした時、その土着的なものへの憧れは単なる憧れであり尊敬で、純粋な感動のみが湧き上がってきます。そしてそこには、日本にいながら未だ訪れたことのないインドの土を踏みしめる足や、ラジャスターン州の空気を吸い込む鼻や喉の渇きを感じられる、行ったことのない旅の記憶がどこからかやってきます。(守屋)

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シンプルなフォルムはどこから来るのか

forme / Side Zip Boots / 64,000+tax

突然ですが、シンプルなフォルムについて敢えて逆説的に考えるとするならば、それは自然発生的に現れるものでもなければミニマリズム的でもなく、手軽で簡素なものでもない非常に神聖でダイナミックなフォルムなのではないかと思います。formeというブランドについて考えた時に浮かんだのは、「シンプルなフォルムはどこから来るのか」という問いでした。

formeのシューズや革小物は一見するとシンプルで端正で奇をてらったようなデザインの物がありません。それらのフォルムを生み出す要素は、デザイナーのミニマリズム的な価値観の表れでは決してないはずで、あるいは複雑性を削ぎ落とした安直なデザインの結果でももちろんないはずです。よくよくformeのシューズを観察すると、足首に沿うようにカーブした美しい曲線や、かかとから足首をしっかりホールドするような柔らかな後部の曲線が見て取れます。

装飾のない足入れの筒の始まりには、丁寧な革の始末のあとと職人の手仕事の美しい痕跡がちらりと顔を覗かせています。ただ真っ黒に静かに存在感を放つ革そのものさえも、シンプルでいながら高度技術を駆使したタンナーの手によって、生々しい革の表情を持つ素材そのものから、神秘的な輝きや品格を持つ重要な構成要素としての素材へと変身を遂げています。

それらの要素を眺めた時にふと思った問いに対する私なりの回答は、「シンプルなフォルムはデザイナーの自由なアイディアと素材が課せられる物理的制約の間で生まれるのではないか」ということです。制約と機能とがぎりぎりのバランスを保ちながら、その結果としてシンプルなフォルムへと全ての要素が集約されていく—シンプルなフォルムとは偶然の産物でも近道を辿って行き着く目的地でもなく、調和から生まれる非常に自然的宇宙的産物なのです。(守屋)

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1%にさえ

Phlannèl / Wool Yak Cable Knit Short Cardigan / 38,000+tax

異素材を組み合わせるという方法論は、現代の環境変化に対応出来るような快適な着心地を求める市場のニーズや作り手の欲望と、その願いを叶えることが出来るようになった技術の進歩に支えられています。その二軸によって、古くから衣服に使われてきた天然素材の持つ利点は最大限に引き出されるようになりました。

高級素材といわれるカシミヤには敢えてウールを掛け合わせることで、カシミヤ特有の毛玉を抑制し、ウールが持ち合わせるハリのある表情を生み出すことを可能にします。それでいてカシミヤ本来の柔らかな質感を損なわないままに仕上げられたニットは、お互いの弱さを打ち消し、強さを引き出し合うという最良の結果を生み出しています。

ヤクとウールの組み合わせも同様に、ヤクの柔らかな肌触りは得てして型くずれの原因にもなり、ウールは単体だと肌触りではヤクに劣りますが、そこで両者を組み合わせることで耐久性のある柔らかな着心地の衣服が誕生するのです。このように、異素材を組み合わせる方法論は市場ニーズに応えた商品を生み出す結果をもたらしてきましたが、そこに映し出されるのは、どんな思いや意図を持ってそれらの方法を選択したのかという、作り手の価値観に他なりません。

ウールを掛け合わせた理由は、もしかすると単純に、ハリのある強い表情を表現したかっただけかもしれません。もしくは、長く使うことを想定して耐久性を優先した結果かもしれません。ただのその結果の中にも、ベースをカシミヤでなくヤクを50%にした理由や価値観があります。ウールを45%合わせた上でモヘヤを5%追加した意図もあります。もしくはリネンを60%にした思いがあります。

Phlannèl / Arles Wool Linen Wrap Skirt / 34,000+tax

素材の1%にさえこめられている作り手の思いを感じてみることは、衣服を纏う上では少々過敏な感性かもしれません。ただ、それを持つ人と持たない人が作り手との間に感じる距離はきっと違ってくるのだろうと思います。(守屋)

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見えない未来の話

SEEALL / HAND LOOM TELAR COAT Brown Mix / 105,000+tax

あらゆる物事を正確に予見するテクノロジーの進歩は驚くべきスピードで進んでいます。台風の進路予想は数日前から正確に把握できるようになり、それによって電車の臨時ダイヤのアナウンスがあり、労働時間の調整さえも前もって行われる、そんな時代になりました。

SEEALL / HAND LOOM CARDIGAN JACKET / 93,000+tax

様々なものごとが先読みできるようになった現在において、見えない未来はほとんどないと言っても良いくらいで、予想外の展開はなかなか起こり得ないものになりました。

本来であれば、未来は予見することが難しいものであったでしょうし、だからこそその見えない未来に人間は不安を抱くのであって、それ故に発展してきたのが情報テクノロジーです。その素晴らしい武器を片手にして今思うことは、見えない未来に不安を抱いたり、期待したり、わくわくしたりする純粋な人間としての感覚の繊細さと尊さです。

見えない未来があるからこそ、その未来にいるお客様を想像してお店に並べる商品をセレクトすることが楽しいでしょうし、見えない未来があるからこそ、自分自身の更なる飛躍や店の発展に期待を掛けて努力することも出来ます。あるいは、見えない未来に不安を抱くからこそ、現状に満足しない危惧の念を持ち続けることが出来ます。

SEEALL(全てを見る)というブランドがこれから歩もうとするまだ見えぬ未来に期待しながら、「見えない未来」の儚さを慈しみ楽しむ感覚を久しぶりに味わうことが出来ました。ファーストコレクションとなりました19AWシーズンのアイテムを、そんな今、是非見ていただきたいと思います。(守屋)

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纏う時には聴覚を働かせて

MARIA RUDMAN / SAMI Series / 48,000〜

日本より遥か遠く、緑豊かなラップランドの地にも文明は着実に歩を進めています。多くの人の想像を裏切るかのようですが、伝統を重んじるサーミ族の生活の中にもガソリンで走る自動車や一般的な電化製品は当たり前のように存在しているといいます。電波も、その及ばぬ地を知らないかもしれません。

(Top)SAMI M 5 / (Bottom)SAMI M 6 / 68,000+tax

そんな土地で、今はかなりご高齢になった女性が少しずつ制作を進めているというMARIA RUDMANのジュエリーは、どんな音に包まれているのでしょう。想像してみたことはありますか。

ジュエリーが生まれるアトリエは、街の中心地にあるのでしょうか、それとも少し離れた土地にひっそりと佇んでいるのでしょうか。そこには、風のそよぐ音、雪のしんしんと降り積もる音、動物の鳴き声は聞こえてくるのでしょうか。はたまた、車の走る音が日本のようにどこにいても空間を揺らし、響き渡ってくるのでしょうか。

SAMI L 1 / 102,000+tax

アトリエの扉を開いて中に入ると、そこにはコツコツと制作を進める静かな時間の流れる音があるのでしょうか。それとも、仲間同士の語らう声が聞こえてくるのでしょうか。あるいはラジオから流れる音楽が聞こえてくるかもしれません。トナカイの革にピューターを刺す時、その糸を抜く時はどんな音がするでしょうか。「シュー」、「ポツリ」と心地よいリズムでそれは続くのでしょうか。

知らないことを知ろうとする時、服やジュエリーを纏う時、調べる前にまずは目の前にあるものを触覚、視覚、嗅覚を使って全身で感じて理解しようと試みてください。そして聴覚までもをフル稼働させ、想像力を働かせてそこに隠れたストーリーを読み解いてみてください。そうした時、現実には存在しないかもしれないけれど、誰もが体験でき得ない新たな世界が広がり、思ってもみなかった素晴らしい体験が出来るはずです。(守屋)

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解像度を高める

THE INOUE BROTHERS / Funnel Neck Sweat / 18,000+tax

THE INOUE BROTHERSのお二人は、ペルー、中でもアンデスの地に熱心に通い、そこに住む原住民とアルパカに出会いました。彼らはその地図上の一点に対する視点の解像度を高めることで、アルパカという動物の生み出す素材の素晴らしさを理解し、育て、それをファッションを通して世界に発信することまでを実現しました。

標高4,000mを超える辺境の地は、南米の中でもワーストクラスの貧困問題を抱える地域でもあります。その地での活動を続けることで彼らは、ここに住む原住民の人々の生活を助けることまでも可能にしただろうと思います。そしてその高められた解像度は、アンデスの森に眠る天然のピマコットンを発見するに至りました。

大量生産されるコットンは、大量の農薬が撒かれる畑で生まれ、奴隷のような労働を強いられた人々の手によって育てられていますが、このアンデスのオーガニックコットンは、生まれる場所は畑ですらなく、自然に囲まれた森の中なのです。その森で育つ植物との共存により、コットンは自らの敵である虫たちから身を守ります。そして花をついばみに来る動物たちが生み落とす糞によってコットンの生きる土地は健全に育まれているのです。人間たちの介入を許さない、完全な自然のサイクルの中で、ピマコットンは密やかに生き続けていたのです。

世界は今、モノも人もそして情報も全てがありとあらゆる手段を使って「移動」し続けており、世界の豊かさをどこにいても享受出来る世界へと変化を遂げています。その素晴らしい世の中に生きる我々が次にするべきことは、THE INOUE BROTHERSのお二人のように、一点への視点の解像度を高めること、そしてその世界を一瞬でも立ち止まってしっかりと見つめることのように思います。そうすれば彼らのように、世界の深くに眠る素晴らしい宝を発見することが出来るかもしれません。その発見が誰か、もしくは自分を助けることになるかもしれません。(守屋)

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情報とロマンスを一手に

Le Yucca's / Ghillie Shoes (Womens) / 118,000+tax

船でしかたどり着けない最果ての南の島で営まれる小さなホテルだろうと、田舎の山の上でひっそりとあかりを灯すレストランだろうと、今の時代はそれを求める人がいる限りにおいてはどんなものでも必ず発見されます。情報発信なんてしないで、ただその静けさや異質性をそのままの姿で保ち続け、そこに密やかにおいておけば良いのです。

知らず知らずのうちにそれを必要とする誰かが何かの拍子に見つけ、口伝いなのかインターネットというフィールドなのかの形をとって求める人の所に更に発信されていくでしょう。そして媒介方法は数多あれどそれを必要とする誰かに伝搬していきます。溢れかえる情報の波に飲み込まれまいと必死に舵を取り、疲弊してしまう世の中ではありますが、そんな今だからこそそのようにして物体や場所の情報はその所有者が発信せずとも誰かの手により発信され、巡り合わせでそれを必要としている人の元へたどり着くのだという面白さはあります。

私自身も、Le Yucca'sとの出会いはそのような必然なのか偶然なのかの情報との巡り合わせによるものでした。こうして今度はBLOOM&BRANCHという東京に2店舗しかない店の発信する、誰の元へ届くか分からない小さな小さな情報が、きっともしかすると、それを必要とする人の元へ届くのではないかというロマンを抱きながら、私もその伝達役の一役を務めています。

巡り合わせという面白さを味わっていただくためにも、そんな巡り合わせによりリアリティのある気持ちを抱いていただくためにも、単なる情報発信ではない生の人の声を届ける限定コンテンツも立ち上がっています。8月31日までのLe Yucca's Size Order Event期間中、毎週水曜日と木曜日に新しい記事をご覧いただけます。是非ご覧ください。(守屋)

Stories of Le Yucca's

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総動員させるのは知識ではない

TENDER Co. / Long Sleeve Boomerang Shirt / 48,000+tax

青写真をテーマに染め上げられた鮮やかなブルーは絵画や図面にも採用されるプルシャンブルーの染料で染め上げられ、さらに斜めにストライプ柄の入る変わったパターンはブーメランのようなパーツを中央で縫い合わせて作られていたり...というようにTENDER Co.のアイテムは「語ることの出来る」要素がふんだんに盛り込まれています。

このことを販売員の目線から考えてみると、悪い言い方ですが「語り口が豊富で有難いアイテム」だということです。もし仮に自分にコーディネート提案力が欠けていたり、ブランドの世界観への理解が浅かったりしても(そんなことはあってはならないのですが)、服自身が、語るべきお題を自らで発信してくれるので、接客の際に完全に服に寄りかかってしまうことも出来てしまうのです。

勿論私は、それは服のプロフェッショナルとしての販売員という仕事を全うする上では間違った方法であると思っています。ましてや当店をご利用いただくお客様に対しては特に、買い物経験や洋服に対する知識が豊富なのでそんなごまかしは通用しないでしょう。そんな中で知識に頼った接客やご紹介をしたところで、お客様の買い物のサポートなど出来るわけがなく、満足いただく体験を提供することなど不可能なのです。

私たちはプロフェッショナルである以上、知識以上の付加価値を提供することこそが、遂行するべき「絶対的な職務」であるのですが、ではそれは何を持って示すべきなのでしょうか。

私たちは日々圧倒的な量の衣服に触れ、試着をすることで肌感覚に裏付けされた経験と知識を持ちます。そして私たちは、十人十色なスタイルを持つお客様の着用のサポートをすることでサイズ感や似合わせる色に関する経験と知識を持ちます。また、それらの経験の中で培った独自の美意識や価値観を持ちます。

私たちはそれらを総動員させて、お客様と衣服との出会いの場に立会い、サポートをすることで、与えられた職務を全うします。だからこのブログにおいても、インターネットで検索すれば簡単に手に入るウンチクや商品情報を書くことは何の付加価値も生まないと思っています。このブログを見たお客様に、あるいは紹介したアイテムを欲しいと思っていただくことは出来ないかもしれませんが、洋服選びのサポートが出来る指針のようなものとして機能すればいいなと思っています。(守屋)

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既視のデザイン

KIJI / 2WAY COLLAR LEATHER JACKET WOMENS / 95,000+tax

革を身に纏うという衣服の形態はおそらく狩猟時代からあったのであろうと想像できます。食物の副産物として手に入るそれは高い保温性、防風防水性を発揮し、人々の身体を自然の猛威から守ってきたことでしょう。ですがそれが発展し誕生したレザージャケットというものの起源については、その痕跡を辿るための資料などが乏しく幾分不明瞭なところがあります。それはレザージャケットというものがフォーマルウェアとしてのスーツやシャツ、はたまた軍用のアーミージャケットとは異なり商用の消費物として生まれたことに起因しているのでしょう。

では、そんな消費物として誕生したレザージャケットは、その時の流行の産物として廃れていき、時代に置いていかれてしまったものであるのかというとその答えはもちろん“NO”です。バイカーのためのジャケットとしてハーレーダビッドソン社が生み出したとされるそれは、革本来のもつ高い耐久性を存分に生かしたものであり、それは当時のバイカーのみならず世の人々に広く受け入れられ発展を遂げてきました。

時代を超えたその発展とアイテムの存在の継続は、本来持ち合わせたその圧倒的な有用性があったからこそ成立したものであると同時に、デザインの寄与するところは非常に大きいのではないかと思います。

KIJI / WWⅡ LEATHER JACKET MENS / 110,000+tax

無から有を生み出すことこそ最も創造的なデザイン活動であると思われがちですが、それと同時に、既存のものに価値を見出すその再発見の視点や感覚もまた忘れがたく創造的な活動であって、その創造活動の連続によって、既に存在していた「レザージャケット」というものが、大きく形を変えることはなかったにせよその時代時代にフィットするように価値を柔軟に変容させながら生き延びてきたのではないかと、私は思っています。

KIJIから新たにリリースされたそれらも、既視のものを全く新鮮な目で見つめ直し、新たな価値を付与したデザイナーの創造力の賜物ではないでしょうか。こうしてまた一つのアイテムが次の100年も消えることなく存在していくことになるのです。(守屋)

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機能とデザインの共存するところ

Porter Classic for BLOOM&BRANCH / Fleece Shirt Coat Exclusive / 38,000+tax

アウトドアウェアの前提条件として、ごく控えめに言っても「過酷な環境下での使用」は絶対でしょう。0℃を下回る外気や、それを伴って吹きすさぶ雨や風、かと思えば照りつける太陽が酷暑を誘い、汗の滴る身体は己の力のみならずその外に纏った服に解決策を求めます。そんな状況の中で着用されることを踏まえて生み出されるアウトドアウェアを街で着用するとどうなるのでしょう。

勿論、たとえ山の上でなくてもその持ち前の機能美はいかん無く発揮されることでしょう。そして圧倒的な快適性を提供してくれることは目に見えています。それでも何故ほとんどの人々は、街でそんなに便利なアウトドアウェアを着用していないのでしょうか。私自身も、登山用のウェアを買いに出かけた店で、「これは街で着用しても最高の着心地なので是非デイリーに使ってください」と言われた経験があります。この時スタッフの方が発したその言葉は疑う余地なく100%正しいものだと分かってはいたのですが、やはり街で着たことは今のところありません。

それは、街で着るには過剰すぎるスペックや街にそぐわないデザインに依る所が大きいでしょう。白い雪山の斜面や暗い山道の中での視認性を重視した赤や黄色の目を引くカラーはデイリーな場面では着用場所を選ぶ場合もありますし、ワードローブに馴染ませることは容易ではありません。止水や防風を最低条件として考案されたディティールのデザインも、街で着るときには「不要な飾り」と化してしまいます。

とはいえ驚くほどの軽量化を実現しながら保温性や通気性の優れた機能を持ち合わせた素材は是非とも街でも活用したいしその快適な着用感を日々体感していたいと思うものです。そのための解決策として一つ言えることは、アウトドアウェアに対して「機能とデザインとの共存可能性」を最大限に探って行くべきなのです。

"コンクリートジャングル"の中に馴染むシックなカラーやミニマルなデザインを、ポーラテック社製のフリースという頼もしい生地が下支えしているこの一着の、細かなデザインの拘りはここでは取り上げませんが、「機能とデザインの共存可能性」について究極まで考え抜き一つの答えを出した一着の存在自体に、まずは注目していただきたいと思います。先行予約は7月31日を持って締め切りとなります。(守屋)

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Phlannèl Special Interview vol.2 - 生活とデザインは繋がっているということ

Phlannèl / Cool Cotton 2B Sack Jacket / 58,000+tax

じわじわと実感する良さ

ご自身でいつもPhlannèlのアイテムを良く着られているのを見ますが、それはやっぱり作る服が好きだからでしょうか。それとも検証のためでしょうか。(守屋)
--両方です。この職業の醍醐味の一つは自分でデザインした服が着られることです。自分が生み出す服ですから、好きということは当然ですし、何より自分が一番の味方でいないとお客様に勧めることも失礼になってしまいます。
そしてもちろん検証も大事です。着ることでその時の気持ちや着心地、そして経年変化などがわかります。素材がベースにあってそこから製品を企画しているので、特に着心地と経年変化には興味がありますね。

私は、初めて着た時がベストの状態の服ではなく、着るほどに良さを感じられる服を作りたいと思っています。実際、Phlannèlの服を着ると、2回目以降からじわじわ良さを実感します。(Phlannèl 浅川)

Cool Cotton Balloon Tapered Trousers / 34,000+tax

洋服というのは着るという行為を通して、着る人の気持ちを上向きにしてくれたり、着飾ることの高揚感を楽しませてくれるものですよね。でもPhlannèlの服は私にとってはそうではなくて、生活の軸になるものであり、不可欠性の強いものです。デザイナーとして、Phlannèlの服が担う役割についてどう考えていらっしゃいますか。(守屋)
--道具のように、使えば使うほど馴染んで、良さを感じ、日常になくてはならない存在になっていく。そんな役割です。そして、日常を豊かにしてくれる服と言いますか、例えば体調がなんだか優れないけれどお仕事へ行かなければならないときがあったとして、その時にPhlannèlの心地良い服を着用することで癒しを得ることが出来たり。シンプルで、地味に見えてしまう洋服ですが、先ほども言ったようにじわじわと良さを感じられるのがPhlannèlの服です。(浅川)

健全な身体と精神と、デザイン

聞けば聞くほど、Phlannèlへの愛情と洋服への一貫した視点があるなあと感じます。こうして好きなことを追求し、自分にとってのアイデンティティーや自分のSOL(土壌)となるものを育んで来られた過程で、そのSOLを豊かにするためにやって来られたことってあるのでしょうか。(守屋)
--私の場合はとにかく洋服が大好きで、デザイナーになりたい!と中学生の頃に決めてからは、ぶれることなく、たとえ才能がないと言われようが諦めずに粘り続けて、今でも大事な家族以外は仕事一筋です。(笑) ですのでこの職業を豊かにするために、それにまつわることにずっとアンテナを張り、インプットとアウトプットを繰り返し実践してきました。
それに加え今企画を練るために大切にしていることは、日常をなるべく丁寧に過ごし、また、心と身体を健全に保ち、デザインを考えるときの勘みたいなものを鍛えることです。以前、ベルリンにあるバウハウス資料館へ行った時に、「健全な身体と精神を持たないと良いデザインは生み出せない」という考えからバウハウスの校舎の横には運動場が設けられていたと聞き、感銘を受けました。

日常を丁寧に楽しく過ごし、日々の生活の中にデザインのヒントが沢山潜んでいると思うのでそれを見逃さないということです。つまり、生活とデザインは繋がっているということ。(浅川)

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Phlannèl Special Interview vol.1 - 繊細で真面目な日本人の気質

Phlannèl / Cotton Pin Tuck Dress Shirt / 29,000+tax

今19AWシーズンより新たなレーベルも立ち上がり更なる世界観の追求を続けるPhlannèl。そんなPhlannèlの変わらない価値観や、洋服の持つ役割についての独自の解釈など、幅広いお話をデザイナーに伺いました。

決まりごとと、それを貫くことで見える独自の個性

19AWシーズンのPhlannèlのテーマや試みについて教えてください。(守屋)
--毎シーズン特にテーマは設けていませんが19AWは本来のPhlannèlに立ち返って、シックで渋めな色合いで組み立てました。また、昨今の気候変動が今までとは変わってきていることもあり、シーズンレスで長い期間活躍する素材とアイテムを提案することを意識しました。(Phlannèl 浅川)

19AWにPHLANNÈL SOLが新たにローンチしましたが、それによってPhlannèlのコレクションラインの立ち位置や役割に変化はありましたか。(守屋)
--SOLは日常の道具に近い立ち位置のアイテムで、よりプロダクト的な意味合いが強いです。そんなSOLがあることでコレクションラインではこれまでより一層上質でスタイルのあるPhlannèlの表現が出来るようになったと思います。実際に、コレクションラインで使用する素材のクオリティーはアップグレードしています。(浅川)

より一層スタイルの表現が出来るようになったとのことですが、それでもPhlannèlの服にはどこかいい意味で無個性さや無名性を感じます。そんな印象の中に「Phlannèlらしさ」を成立させることが出来る所以はどんなところにあるのでしょうか。(守屋)
--Phlannèlの企画をする上でいくつかの決まりごとを作りました。例えば「天然素材しか使わない」など。その決まりごとを守り、貫くことで、ブレない「らしさ」を保っています。かといってこれを一寸違わず守り続けるだけでは新鮮さもなくなってしまうので、新しい挑戦をいつも試行錯誤しながら繰り返しています。もしPhlannèlらしからぬアイテムを見つけたら、その挑戦と思ってください(笑)(浅川)

Phlannèlらしさ、日本人が作ることの意味

そもそも「Phlannèlらしさ」についてなのですが、いつもこうしてブログ記事を書く時や人に伝える時などに言語化するのが難しいと感じます。「日本人に馴染むニュアンスの色表現」とか「職人並みに拘り抜く素材」がPhlannèlの良さだという個人的な解釈はあるのですが...(守屋)
--よく「どこの国の服ですか」と外国の方にも聞かれますが、色はヨーロッパをベースに日本人なりの解釈で組み立てています。素材については、新人時代から国内外問わず本当にたくさんの素材を見せていただける環境にいましたので、その中で素材を選ぶ基準やテイストが培われてきました。今はそれに裏打ちされた感覚や勘を大切にして、こだわる部分は拘り抜いて素材選定をしています。ただ、拘りが強すぎても逆に伝えたいことが伝わりにくくなったりもするので、やはりバランスが大事だとは思います。(浅川)

そんな「らしさ」のあるPhlannèlを一言で表現するならどんな言葉を使いますか。(守屋)
--「生真面目な日本人が作る服」、「日常を品良く丁寧にしてくれる服」...。
Phlannèlはユーロビンテージなどヨーロッパをベースに日本人がデザインし、日本人が作ることで、繊細で真面目な日本人の気質が出ている服です。日本人でも勿論いろんな気質の方がいて、大胆でパンチの効いているデザインもあります。良くも悪くも真面目なデザインは 面白みが足りないとも思われてしまうかもしれません。でもそれくらい、着る人の個性を大切にし、そっと寄り添う服、でもなくてはならない存在でありたいと思っています。(浅川)

(後半へ続く)

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Tシャツとノスタルジー

NICENESS / GEE / 10,000+tax

ある程度の年齢の方ならこれを見たらぱっと頭に浮かぶものがあるかと思います。オリジナルのそれからはかなりアップグレードされたNICENESSのTシャツが感じさせてくれたのは、そのオリジナルのTシャツと自分だけのノスタルジーです。そしてそんなTシャツとのノスタルジー体験は、誰にも共有不可能だけれど誰にでも起こる普遍性を秘めたことのように思います。

「ゴツナイキ」の存在を知ったのは、中学3年か高校1年生くらいの時だったと思います。お金もないのにフラフラと立ち寄っていた近所の古着屋さんで、当時何も知らない私はボロいのに万の値段がつくTシャツを見つけるたびに何故こんなに高いのかと、生意気にも店の店主を質問攻めにしていたことがありました。

それでも、生意気で何も買わない客に対していつもにこにこと何でも教えてくれていたその店主から「ゴツナイキ」のことも教えてもらったように思います。その後私がアルバイトを始めた古着屋さんにも、その店主はちょこちょこと遊びに来てくださって、それこそ万単位の珍しいTシャツを見つけた時にはきらきらと目を輝かせて買い物をしていました。

IBMやMicrosoftの企業デザインのTシャツや、どこかの国のどこかの店のオリジナルTシャツや、今は存在しないバンドのツアーTシャツや、得体の知れないメーカーの宣伝Tシャツ。2019年の今に出会ったそのTシャツの先には、誰かにとって特別な「私だけの」桃源郷が広がっていくでしょう。(守屋)

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