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それぞれが持つ唯一無二の装身具

YLÈVE / BLOCK PRINT SILK PLEATS SK / 62,000+tax

草花のようにしなやかで、芯の強さがあり、けれど時々はかない表情を見せぐっと周りの人を引き込むような女性はとても魅力的であります。そんなしなやかな人が、幾何学的な模様を纏っている時、その人はきっとひらりとその表情を変えていて、柔和で繊細な顔は影を潜め、やや真面目できりりとした鉱石のような一面を見せるのでしょう。

あどけない表情の女性が、テーラードジャケットを羽織ったとたんにその視線は鋭く何かを見つめるようになった時、あるいは素朴な女性がきらきらと輝くジュエリーを首もとに輝かせながら現れた時など、その人自身が持つオーラとは少し離れたところにある衣服や装身具を纏った時に垣間見えるその意外性のある側面は、そのギャップが大きければ大きいほどおそらく周囲の人をはっとさせる勢いというものがあると思います。

普段のその人から全く新しい人に生まれ変わるのではなくて、その人の普段のオーラがあるなかに、普段とは違う側面が見えるという、少しの不安定さや異質感、不自然さは、マイナスの要素のように見えて実は大きくプラスに転じる言わば大逆転のツールなのです。

洋服そのものの雰囲気だけではなく、普段とは違う柄、違う素材、違うアイテム、または洋服に限らず普段とは違うジュエリー使い、シューズ選び、そしてメイクアップやヘアスタイル。少しの冒険で少しのギャップを作ってみるとありふれた日常の中に新しい光を感じられるような、そんな女性ならではの楽しみはいつどんな時代であっても忘れてはならない感性ですね。(守屋)

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裏の裏は表

BEAUTIFUL SHOES / MIDDLECUT SIDEGORE / 57,000+tax

生地にはいわゆる表と裏が存在します。織物では織り柄が表現される側が表とされますが、敢えてそれを裏返して洋服の表地として用いられることもあります。当たり前の話をしますが、革にももちろん表と裏があり、革はその用途によってどちらの面が表として使用されることも往々にしてあります。磨き上げられた銀面が美しいシューズもあれば、毛羽の立った表情が趣深いジャケットも存在します。

あるいは洋服に関しては、生地の表側を洋服の裏地として使うこともあります。キュプラがコートの裏地として用いられていることが多いですがそれは一つの例えとして挙げられるでしょう。その裏地として多用される素材を、敢えて表に出してもいいのではないか、と考えてその素材を主役に洋服を作っていたデザイナーがいました。裏を表に出すという逆転の発想は、他にも表裏を返してジャケットを羽織るといった着こなしにおける段階でも試されていたのは記憶に新しいのではないでしょうか。

靴はもちろん足を入れる入り口があり、地面を踏み締める底があるので上下を返して履くことは不可能ではありますが、裏の裏は表という理論で考えるならば、裏に「らしさ」という表情があってももちろんおかしくはない話でしょう。

昔とある器の作家さんが教えてくれたのですが、ある器が素晴らしい出来であるか否か、その作り手の技術が優れているか否かは、器の裏側を見て判断することもあるのだそうです。普通であれば見えないところに気を配る、自らの表情を映し出すということは、「表の顔だけで判断されない真髄」のようなものを留めておきたい作り手の強い意志のようにも感じられます。(守屋)

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静かに心を震わせるもの

molli / WIDE CARDIGAN IN ZIGZAG KNIT / 52,000+tax

クラフトマンシップ、手触り感、唯一無二の表情、手工芸などもっともらしい言葉を並べてものの持つ歪さや希少性にスポットがあてられる機会が増えました。トレンドワードのように簡単に吐き捨てられてゆくその言葉が形容するものそれ自体は、一方でその正しい価値を持っているのかさえ危ういものが増えているように感じます。

手工芸性を伴うものに求められる一方的なイメージはおそらく多少なりとも歪さを持ち、少なからずの人の手の痕跡を有するものではないでしょうか。この機械製品にあふれる市場の中でそのような唯一無二性を見出した消費者が、それらに価値を見出し、高い評価を与えているのでしょう。勿論、希少性そのものは価値であることに異論はありません。数が少ないからこそ競争原理は働きますし、価値は高まります。

その一方で、寸分狂わずに1mm幅程度の縫代を残して縫製されたシャツの裾には、ある意味では人の手の痕跡は勿論ないわけですが、そこに消費者は感銘を受けないのでしょうか。価値を見出さないのでしょうか。その縫製が可能な生産背景も同様に、希少性を伴うもののはずなのです。

偽物の手の温もり感や、プロではないものの作る歪さも時として心を温める素敵なものとなりますが、歪みなく淀みなく、無駄のない絶対的技術力を伴って作り出される精緻な美しい編み地にこそ、私の心は静かに、楽しく震えます。(守屋)

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どこかの香り

Barbour for BLOOM&BRANCH / Cruiser Jacket - Black / 66,000+tax

紅葉などの色彩変化によって得られる情報は非常に直接的で受動的なものであり、目が見える限りの範囲においては否が応でもそれらの情報は言葉通り、私たちの眼前に姿を表します。一方で、金木犀の香りが街中に広がって秋の訪れを知らせてくれるように、香りというものはそれらが持つ情報をとても控えめに伝えてくれるものです。無意識的にそれらの情報をキャッチできる人もいれば、意識しようともその香りが個人の記憶の中に存在するものでなければ全く何の情報すら持ち得ないものにもなるでしょう。

土の香りやハーブの香り、食べ物の香り、様々なもので記憶は呼び起こされ、それがある特定の季節を認識させるスイッチとなることもあれば、ある特定の場所を想起させるきっかけにもなり得るものが香りです。あるいは直接嗅覚に訴えかけるものでなかったとしても、「色香」という言葉のように、視覚情報とがスイッチとなって、色彩がある特定の香り=特定の場所や人や時間を想起させるものとなる場合もあるのでしょう。その場合香りというのは香りがもたらす誰かの記憶の結果の方を指し示す言葉へと変化します。

Barbourというブランドの持つ固有のチェック柄や代表的なコーデュロイの襟がついたジャケットをみたときに、「イギリス」という国を想起することがある人は多いと思いますが、その想起される「イギリス」というのは十人十色違う景色や大きさや色彩を持つイギリスなのでしょう。誰かにとっては昔過ごしたことのある懐かしい「イギリス」であり、またある人にとってはイギリス紳士なるものが存在する遠い国であり、誰かにとっては歴史的建造物の存在するクラシックな街並みが存在する憧れの土地であるのかもしれません。

そしてとても興味深いことに、このジャケットの出自はもちろんイギリスであるに違いないのですが要素としてアメリカを含んでおり、日本という国で作られているはずなのに、しっかりとイギリスの色香を纏っているということです。極々個人的な意見になりますが、アメリカの色香をいい意味で消して、イギリスという香りを丁寧に纏っているような気がします。(守屋)

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