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月明かりさえも味方にするものたちを見逃さないように

Mimi / HEBE / 48,000+tax

まだ太陽の明かりが微かに残る夕暮れの空に月がぼんやり見えた時、その周りにある雲たちはほんの僅かながらの月明かりに照らされて、雲自らが光を放っているような、くっきりと白い輪郭を持った不思議な雲の姿を浮かび上がらせてくれます。地球を照らす太陽の光は、月に対しても平等に光を与え、そしてその月は、地球やそれを覆う雲たちにも平等に光を与えます。

自然の光は誰にでも平等に降り注ぐこと、そしてその光をどれだけ吸収し受け止め、自らが放つ光の如く活用して自分自身を光り輝かせることができるかは、もちろん受け止める側によっても変わってくるのでしょう。

照らす方向を選択して制限し、必要以上の光を与えて無用にものごとを照らすLEDライトの明かりと異なり、その自然の光の公平性や必然性には人々に無条件の正しさなるものを教えてくれるようにも思います。誰かの意図により導かれる「正しさ」らしきものに惑わされることが多い昨今で、何を指標に正しさを問えば良いのか迷う時、全ての答えはきっと身近なものが教えてくれるのではないかと、私自身は信じています。

意図的に市場原理によって照らされる煌びやかなブランド名に左右されることなく、名もなきファクトリーが立ち上げたブランドや、あるいはブランド名すら持たないクラフトアイテムにさえも、月明かりは僅かな光を与え、本当に力のあるものはその光を存分に反射させながらきらきらと輝くことでしょう。そして私たちはその光を決して見逃してはならないのではないでしょうか。(守屋)

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美しい選択を伴ったプロダクト

COMOLI / Hand Turtle Neck Knit / 82,000+tax

非常なまでの不確実性と不安定性を容認し、それらの包含された世界を常として、今を生きる我々は誰もが予想をし得ない未来に向かって常に様々な選択を迫られています。その選択の正しさは、誰もが知る由もなく、不測の未来がやってきた時に初めて誰かが「やはり違った」と、揚げ足を取ることしかできないのです。

言うなれば決断をしなければならないその一瞬の時に、出せる答えに正解はないのでしょう。そこにはきっと、決断する者の心に「その選択が美しい」と思える意識があること、そしてその選択が「真実である」と胸を張れる正直さでしか、判断の良し悪しを憶測することができないように思います。

「こっちの方がより美しいと思ったから」、「自分が美しいものや世界を生み出せると判断したから」という選択にはきっと、そこに醜さや嫌悪を感じる人は少ないはずです。

そしてそこにある真実味のある選択に人々の心は動かされ、例えそれが来る未来において「誤った判断だった」と決めつけられてしまうものであったとしても、それを取り立てて指摘する愚か者は少ないのではないでしょうか。決断の時、多くの人の心を動かし、納得させ、美しさを共感したのであればそれこそ正義なのではないでしょうか。(守屋)

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繊細さは時として不自由を招くけれど

R.ALAGAN / SIGNET RING ONYX / 45,000+tax

感覚が鈍い方がいいとは決して言えないまでも、繊細な人ほど時として不自由に生きることを強いられる場面の増加というのは、ここ数年その勢いを止めることなくもはや増すばかりではないでしょうか。繊細な人にしか感知できない誰かの機微や空気の流れの移り変わり、距離的には遠く離れた世界のどこかで起こった出来事について、考えなければそれまでですが、何かを感じ取ってしまうことが出来る人は果たしてどこに心の落ち着く場所を求めれば良いのでしょう。

ある程度の鈍さを持つか、“鈍いふり”をして見過ごすことも、ひとつの方法として挙げられるでしょう。あるいは、自らで内に籠る時間や、外をシャットアウトして、今感じてしまったことや考えていることについて、自分一人で他者の意見を無視してじっくり考え、自分に問いかける時間を持つというのもあるいは大切なのかもしれません。

繊細な人ほど生きづらいのかと問いかけてみると、決して鈍い感性の方が得をしたり楽しく生きられるとも言い切れないのですが、それはつまり繊細な感性を持った人に感じ取られたあれこれについて、内に籠もって苦しみながらも出された答えや、出せない答えにもがく様を誰かにぶつける形で表出されるその人の感情などは、やはり多くの人の心を動かす力があるように感じるからです。

その人にしか感じ得なかったこと、見ることのできなかった景色を、その人の心や目を通して擬似体験出来たことへの感動というのはやはり、誰にでも生み出せるものではないなと感じます。そしてその繊細な感性というのは、大小の差やこそあれ誰にでも心のどこかには持っているものなのだと思います。(守屋)

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#15

Cristaseya / WOOL AND CASHMERE RIBBED RAGLAN SWEATER / 85,000+tax

実際にデザイナーが日本を訪れた際に受けたインスピレーションから構成されているというEdition 15。私たち日本人にとっての当たり前の日常の風景が、日本を生活拠点にしていない人の目を通すと非常に非日常的であり違和感があり、面白さや発見があるのだろうということはとても理解出来ますが、それをさらに逆輸入する形で受け取る私たちは、果たしてどのような視点を持ってこれらのアイテムに対峙することが叶うのでしょう。

私たちにとってはいつも変わらぬ空の色、風の香り、湿気。そしてどこにでもある捨てられたビニール傘や、無造作に停められた自転車。店先で、今にも雨に溶けてなくなりそうになりながらどうにか形だけは留めている手書きの張り紙。いつ開くのか判らないシャッターや、朽ちたペンキの色。

普段それらを目にしたところで立ち止まってその存在について思考をするどころか、目にも入っていないのではないかというほどの当たり前が、新しい役割を与えられたかのように写真におさめられているのを見ると、なんとも言い難い矛盾を孕んだ歯痒さや、思いがけず行き違ってしまった時の切ない気持ちになりませんか。

このEditionで生まれたアイテムは、世界中の名だたるショップで取り扱われているでしょうが、それらを世界のファッショナブルな人々が享受することと、日本を拠点に生活を営むファッション好きの私たちが享受するとでは絶対的にそこに生ずるものの意味合いや持ちうる感情は異なるはずです。ほとんどのアイテムがお客様の手に渡っておりますが、手にした人にこそ、是非その感情を教えていただきたいなと思います。(守屋)

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