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考えることを辞めない

OUTIL / MANTEAU PIPILLIN PEPPER & SOLT / ¥83,600

BLOOM&BRANCH JOURNALの取材の際にOUTILデザイナーの宇多さんがおっしゃっていた話ですが、植物を染料として染めると一言で言っても、それが環境負荷になる場合もあるという話がとても心に引っかかっています。オーガニックコットンやエコレザーという言葉も同じように、耳障りがよく罪悪感がないために、多くの人にはそれらの商品を選択することが「正しいこと」として認識されているように思います。

植物で染めるということも、深く考えないでいればとても聞こえはよく、それがあたかもサスティナブルで正しい手段のように感じてしまいます。しかしながら、その方法にも様々あり、環境に大きなインパクトを与えるものもあるのだそうです。しっかりとそれを認識し、方法を模索し、時には利益を度外視してものづくりに励めば、そのインパクトを最小限に抑えながらもクオリティとしては妥協のないものは作り出せるのだろうと思います。

ファッション産業においてサスティナブルを語ることは簡単なことではありませんし、極論を言えばものをこれ以上作らないことが全ての結末なのだとも思う一方で、良きものを残すことや、素晴らしい作り手・技術・産地を守ることはそれと並行して考えるべきことでもあります。ものごとの一側面だけを見ているだけでは出てこない答えはありますし、時として正しいことは反対側から見ると悪にもなり得る。全方向からその正しさを問うという姿勢こそが、今私たちに必要なことなのでしょう。

甘い言葉で正義を振りかざすこともよくないですが、それ以上に、それらを傍観すること、考えを止めること、そして懸命に何かを考えてポーズをとっている人を批判することの方がよほど間違いであるような気がしてしまいます。少なからずとも考えてアクションを起こしたのならば、考えずにただ立ち止まって誰かの揚げ足をとっている人よりは余程前に進んでいると思うのです。その背中を多くの人に見せること、綺麗事を語るだけでなく実際に恥やプライドを捨てて行動を起こして先を行くことが、必要なのではないでしょうか。そんな背中を見せてくれる宇多さんのものづくりには、きっと理屈なしに多くの人が心を揺さぶられているはずです。(守屋)

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裏でも表でも

cantate / SUKA JUMPER / ¥330,000

例えば熱い討論を繰り広げることになった仕事の場や、仲の良い間柄の人との些細な喧嘩のとき、あるいはあまりの楽しさに全てをさらけ出せるほど心を許した食事の席などで、自身でも知り得なかった自分の一面というのを垣間見て、内側に秘めた思いや感情はこんなものがあったのかと驚くことがたまにありませんか。

普段はこんな姿を人に見せることなどなかったのにと思うほどの熱量のこもった感情を抑えきれずに吐露してしまったその時、自分の知らない姿を見た時、これは本来の自分の姿ではなく口から出てきたその言葉は本心ではないのだ、と誰よりも先に自分自身に弁明したい気持ちにかられたことが、誰しもにあるのではないでしょうか。

「表裏のない人」というのは良い人を指し、反対に「表裏のある人」は多くの人に嫌悪されるような声が多くありますが、少からざる人には必ずと言っていいほど「表と裏」はあるもので、時として表に、裏側に隠していた自分が顔を出すことだってあるのです。感情に任せてしまえば裏が途端に表に出ることだってあるのです。

表と裏をエゴによって使い分けるのはやはり首を傾げてしまうところはありますが、表も裏もあって自分だということを自分が受容し、表に見える部分をきれいに保ちたいと努力したりすることは悪いことではありません。時として見え隠れする裏側の自分の声にハッとさせられた時、意外にも自分自身で思いもよらない発見だってあるものです。(守屋)

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オーラを纏えるひと

Cristaseya / JAPANESE TRIPPLE GAUZE PATCHED JACKET / ¥143,00

シャツにジャケット、タイを締めてデニムを合わせ、少し短めの裾から覗くカラーソックスに、ビスポークと思わせるほどその人の足にしゃんと馴染んだ革靴。どこにでもいるような(今は少ないかもしれませんが)王道の着こなしにも関わらずどこか普通じゃない雰囲気がある人を見たことがあるでしょうか。

着こなしで言えば全く面白味があるわけでもないのに、どこか違和感というべきかその人らしいセンスのかけらがどうしてもその姿の中から見つかってしまうような人がいるでしょう。それは年齢や経験によって醸し出されることが多いですし、若い人がそうした着こなしをすると大きな大人は「洋服をわかっていない着方だ」と揶揄したりもするかもしれませんが、若い人にもそういった面白さやその人らしさを上品に持ち合わせている人もたくさんいます。

私が知る、合わせは王道でクラシカルなのにどこか面白さを漂わせるスタイルを得意としたある人は、逆にこういったどこの国にも属さない無国籍な洋服さえも、着こなしだけでイギリスにもアメリカにも出来てしまい、それなのに決して普通に収まらずに目を、会話を楽しませてくれる人です。そんな人が洋服屋であろうとなかろうと、洋服のプロであろうと趣味として楽しむ人であろうと、オーラを纏う力を持ったそんな人の姿が格好良いということには、変わりありませんね。(守屋)

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苦手を好きになる

KIJI / SUNA CHAMBRAY / ¥28,600

KIJIといえば生地と同色のステッチワーク。KIJIといえばコットンテンセルの光沢ある軽やかなデニム生地。という「らしさ」を持たない新作のシャンブレーシリーズが誕生しました。早速ですが、私はシャンブレー、特にウェスタンシャツというものは苦手です。

アメリカのウェスタンシャツの代名詞ともいえるブランドは、かつてプロのカウボーイと契約し、カウボーイのためのウェスタンシャツをデザインしました。誰かのためにデザインされているということは詰まるところデザインの意図が存在するわけで、その一つがタックインするために長めにとられた丈と、少しシェイプを持たせた身幅でした。

プロのカウボーイではなく、現代を生きる私たちにとっては、その長めの丈が時として不便を生み、細めの身幅は不自由を感じさせるものとなります。それはデザインされたもののターゲットが私たちでなかったのでもちろんものの欠陥などではなく、端的にいえば、当たり前の結果です。

四季のある日本で生活する私たちにとっては、着脱できる洋服は便利であり、羽織るためには適度な丈というものがあり、そして一枚着でも羽織でも不自由のない身幅というものが理想ではあります。それをデザインが叶えてくれる、それがKIJIらしさの一つの側面でもあるように私は思います。デニムがカジュアルで苦手な人にも履いてもらえる少し綺麗なデニムや、ウェスタンシャツが苦手な人にも心地良くフィットするウェスタンシャツがあるブランド、それがKIJIです。(守屋)

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