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続けること

KIJI / SUSU / ¥30,800

例えばルーティンワークとしているランニングやヨガ、テキストを書くことは、継続することで初めてデフォルトの自分の状態というものが明らかになってくるものです。あるいは仕事で毎日欠かさずチェックする店舗の売り上げや集客状況など、継続してデータを収集することで新しい発見があったり微細な変化に気がつくことものです。

日常的に継続はされず、気の向くままにランニングに行くのでは、普段の自分の身体の状態がどんなであり、今日の自分はそれに比べてどの程度なのかは測ることが難しいものです。それと同様に、毎日、毎月、毎シーズン、何かを作り続けることで、それに対する周囲の反応の変化や自分の技術の鍛錬によって何か思ってもみなかった知見が手に入ったり、続けることで誰かに認められたりもするものでしょう。

次々に新しいものを生み出すことはそれはそれで大変ですが、何かを継続せず、前に自分のしたことや制作したものを毎回毎回帳消しにして新しい何かにトライするのでは、やはりどこにも積み上がる経験や実績や名声もありません。何かを諦め、今目新しいと感じるものに飛びつくことは誰でもできますが、何かを続けることはそれを続けたその人自身にしかできない経験をすることができるのです。

KIJIはいつもデニムをリリースするけれど、いつもデニムをリリースするからこそ、そのデニムが今どれほどのクオリティを保てているのかが見え、積み上げた経験によってアップデートを行うことができ、それに対しての周囲の反応の変化にも気づき、そしてまた内省して次に向けて動くのみなのです。「継続は力なり」とは使い古された言葉ではありますが、物凄いスポードで動き続ける現代の中において、より一層何かを継続することの難しさとそれに対する価値を感じています。(守屋)

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スタイルは私だけのもの

R&D.M.Co- / CHAMBRAY BUGGY SHIRT / ¥31,900

スタイルは、いずれかのジャンルに属するためのいわば制服のような役割を担っていたことがかつてあったと思います。女性のスタイルでいうなら例えば赤文字系青文字系、渋谷系、原宿系、カジュアル、コンサバ、アウトドアなど。「自分はこんなスタイルが好き」という意思表示はつまり自分がそんなジャンルに属するタイプの人間であることを表し、そしてそれに共鳴する仲間とその価値観をシェアして楽しむものでした。

様々なことの境界が曖昧になりつつある今、スタイルのジャンル分けも細分化されていきその境界も例外なく曖昧なものになっています。「少しきれいめなカジュアルスタイル」、「メンズライクなコンサバスタイル」、「ややモダンなナチュラルスタイル」など、ネーミングにも窮するようなスタイルが様々に存在します。それほどまでに、スタイルとは自分がどんなジャンルに属するのかの表現ではなく、あくまで自分自身を映し出す表現方法としての役割が強まったことの証なのでしょう。

特定のジャンルを目掛けて発案される洋服や、トレンドに乗ったデザインももちろん今でも後を断ちませんが、それを選びとる私たちの趣向が自分の内側へと向かっていったように、自分の内側へと向かっていった結果現れる個性や意志のようなものが強固に投影されている服には、それ相応に熱量のある共感者が生まれていくように思います。個性を表すものが洋服ならば、さまざまな個性の集積を自分のスタイルとして、唯一無二のものとして、作り上げていけたらそれほど楽しいことはないでしょう。(守屋)

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早まる季節は私たちの手元をすり抜けるけれど

KIJI / SHIRRING SHIRT / ¥26,400

最近はどんなにおしゃれなものも、どんなにトレンドなものも興味がなくなり、やはり自分の内面の状態に目を向けることも増えました。じめじめと息苦しい梅雨のときも、汗だくになる夏の日も、まるでわたしの体の中から湧き出てくる湿度や粘り気を吸い取ってからりと外に吐き出してくれるような、そんな洋服を心が求めています。

心が弾む洋服というものは、必ずしもデコラティブでキャッチーでハッピーで、一瞬で心を掴むようなデザインが必要なのではないこともずっとわかっていながら最近になって本当の意味で理解してきたことですが、地味でも目立たなくても、それに袖を通す自分の気持ちは高揚する洋服がたくさんあるのだと私は知っています。袖を通している時にとどまらず、それはただ持っていることや持ち続けたことでもたらしてくれる高揚もあります。

着古した姿の美しい洋服は、クローゼットに収まっているところを見るだけでやはり私自身の心を穏やかにしてくれます。自然な経年しわや産毛が逆立ったような表情のシャツにアイロンをかけるときの特別感は、なんと表現できるでしょうか。その心の高まりはまるで、洗濯物が一日でからりと乾くことが嬉しいなと感じる程度の、日常にひっそりと花を咲かせるささやかなものではありますが、ささやかだけれど大切なものはたくさんたくさん日々に潜んでいることを私たちは忘れてはいけません。

四季の境も曖昧になり、それどころか季節は、追いかける私たちの手元をすり抜けるように、私たちを置いてけぼりにしながら先へと進んでいます。その一日一日に危機感を感じながらも、ものごとの良い方を見ることや、ささやかなことに目を向けることを忘れず、来る夏をより涼しく気持ちの良い季節にしたいものです。(守屋)

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美しさへの欲望をずっと

Phlannèl / Suvin Cotton Wide Collar Dress Shirt / ¥28,600

この世の生物のほとんどが、ただ生きることに留まり命を燃やしています。一方で私たち人間はより美的な生き方を本能的に求めていることも真理です。そのままでも食べることができる野菜たちをわざわざ料理し、テーブルに皿を並べ、あるいは素手の文化圏もあるでしょうが、多くはカトラリーを用いてそれらを味わうという行為をわざわざするのです。

服を着る生物もほとんどわたしたちだけで、身を隠したり防御のための道具として生まれた洋服という布製のものは、そこにより美的な役割を求められるようになりました。

綿花を紡ぎ、糸を拠り、一枚の布を作る工程の中に、“より着やすく”そして“より美しく上質なこと”を求めるようになったのは、文化や技術の発展と人間の成熟に依るところも大きいのかもしれませんが、私たちが持つ本能がその探究への燃料だったとも言えるでしょう。

時代は変わり、経験や知識を蓄え理性を働かせ、私たちは必要最低限を求めることができるようになり、作ったものをまた新たなものへと循環させていく術も得ましたが、より美しいものを求めるということ、美しいものに触れたいという欲望は決して消失していいものではないように感じます。その美しさへの欲望が消え失せない限り、美しいものは生まれ、その美しさという普遍の価値観はアップデートされていくのでしょう。(守屋)

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