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どこに何を着ていく?

m's braque / W4B COMFORT LOOSEN JACKET / ¥74,800

旅に出る時の持ち物を精査しているとき、旅先で着る服をどうしようかということが頭に浮かびます。普段生活している土地で自己表現として自分の着たいものを選んでいる時以上に、旅先ではいかに快適に心地良くあれるかということが大切な判断材料になり、そして滞在先の土地にいかに違和感なく馴染めるか、ということもそれなりに重視されてくるでしょう。

行き先によって身に纏うものが普段の等身大の自分とは少し離れることはしばしばあります。例えば自己表現としての自分よりも少し背伸びをしたパーティー服や、カジュアルダウンして機能性を重視してキャンプに出かけるとき、あるいは仕事に出かける時の服装も、取引先と顔を合わせる時なのかオフィスワークなのか在宅なのかでももちろん変化するでしょう。どれが本当の自分に近いかどうかは、人によって異なりますが、家ではカットソー一枚でリラックスして過ごすけれど外に出る時にはそこにジャケットを一枚羽織る、その時の自分が一番心が晴れて生き生きとする、そんな人ももちろん少なくないはずです。

ただ近所に夕飯の買い出しに出る、近くの本屋に参考資料を探しにいく、たったそれだけのためにもしかするとわざわざジャケットを着るなんて大袈裟かもしれないという気持ちになったりもするでしょうが、それで心がふわっと地面から少し浮くような気持ちになったり、歩き方がしゃきっとしたり、その行為が楽しみに変わったり、自分に自信が持てたりするのであれば大袈裟なんてものではなくそれが自分がそうするべき理由ですし、その時ジャケットを羽織る理由です。そうしたい自分がいたならば、それはその時の本当の自分の姿に他なりません。

肌馴染みのいいカットソーとショートパンツだけでカフェに出かけて友人と会うことが自分にとって最高に心地良い時もあれば、アイロンをぱりっと掛けたシャツを着て車に乗り込み海へ向かうことが最高に心地良い時もあります。どこに何を着ていくのが正解か、という問いに対してもっと素直に自分の心とだけ向き合ってみると、TPOにとらわれすぎない、本当に自分らしい在り方というの姿が見つかるかもしれません。(守屋)

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ワンピースを着なくなった日

PHLANNÈL SOL / Stand Collar Shirt Dress / ¥29,700

その一枚でスタイルが完成する、着るだけでさまになる、そんなワンピースのプラグマティックな役割を好んでいる人は少なくないはずです。私自身、春はシャツドレス、夏はカットソードレス、そして秋にはまたシャツドレスを着て、冬になるとその上にニットを重ねタイツを履き、長いコートを羽織っています。

スカートを好まない人にとってそれは羽織りものにもなり得るし、パンツをレイヤードしたスタイルを楽しむことだってできるのです。そんなワンピースを着なくなることを考えたこともありませんでしたが、生活スタイルが変われば当たり前に着るものも変化するもので、自転車での移動がメインとなったライフスタイルには全くもって適さないものなのだと、思い知ったのが最近の出来事です。

日常的に着なくなってからでも、やはりその都合の良い一枚の存在に頼りたくなる日はもちろんあり、そういった時には自転車に乗ることを諦めてワンピースに手を伸ばします。その一枚に身体を通し、靴を履いてコンクリートの地面をこつこつと鳴らして歩くことに、これほどまでに新鮮さを感じたことは初めてでした。

揺れる裾は、夏の太陽を浴びてその涼やかな影を私の歩く先に落とし、秋にはそよぐ風がふらりふらりと揺れる心をたなびかせ、風のない日には深く静かに思いを巡らせます。常日頃から当たり前にそこにあるものを、少しの間手放したりしてみるだけで、知らなかった姿を発見することができます。そんな一枚に手を伸ばさず自転車を漕ぐ日常のうちで、次にそれに手を伸ばす日が確実にやってくることを静かに楽しみに待つのです。(守屋)

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服を着ることで価値観を昇華したい

KIJI / COTTON VENETIAN SAILOR SHIRT / ¥25,300

作り手がいて、ものが出来上がり、そこに表現される世界観には、控えめに言っても必ず作り手のパーソナリティがどこかに反映されているもので、その極々私的なアイデンティティのようなものを消すようにものを作る人もいれば、それを恥ずかしく思いながらも今の自己として惜しみなく出し尽くす人もいる、その違いだけなのでしょう。

作り手が、通ってきた道、見てきたもの、訪れた国や聞いた音楽、食べたものや心を揺らして涙を流したものたちのかけらが、少しずつ少しずつ、洋服の中にあることを思うと、これはプロダクトであると同時にやはりアートにも近いような、そんな曖昧な立ち位置を思わせます。人の体に流れる血液と同様、きっと洋服の糸の中をそういったエッセンスが流れているのかもしれません。

メンズ服もレディース服も、分け隔てがなくなってきたこの時代において、それ以前の世の中でそれらの別のカテゴリーとされていた洋服たち全てをフラットな感覚で見続けてきた人の作る服には、やはりそのフラットな感覚が反映されているように思えてなりません。それがパーソナリティだとまでは言えないにせよ、そういった作り手の足跡というものが見えた時、そこに私たちは何を感じるでしょうか。個人の価値観とどうすり合わせ、どう自分の中へと落としこんでいくでしょうか。(守屋)

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シャツの襟元のように気分が巡る

Christian Wijnants / TAJ / ¥26,180

着る人を選ぶとか、スタイリングが難しいとか、トレンドがあるので長く楽しめないとか色々と懸念をし、避けてしまうことが多いのが柄物。柄物のスカートを買うなら、無地の方が使いやすいかもしれない、長く飽きないかもしれないといつも同じような選択をしてしまう私はあまり冒険を得意とはしていません。

素敵に柄を着こなしている人には憧れるけれど自分がどう着用したらいいのかピンとこないものが多いのですが、考えてもみれば柄も一つのデザインの表現であって、無地のカットソーのネックかクルーネックか、Vネックか、モックネックか、あるいはシャツの襟がワイドスプレッドかボタンダウンかという違いと同様のことでしかないのです。

たとえ無地の白いカットソーでも、ネックがVだったら今の気分ではなく、しばらくクローゼットで眠っていることもあります。逆にこのカットソーが一つあれば、気分から遠ざかっていたり着映えせず眠り続けていた黒のスラックスに久しぶりに手を伸ばしてみたい気持ちにさせてくれます。巡り巡っていつかの未来には、また違うドレスとこのカットソーがお互いを輝かせ、新しい風を私のクローゼットの中に吹き込んでくれるようになるのでしょう。(守屋)

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良いものは誰にとっても良いものなのか

NICENESS / ANTHONY / ¥64,900

インディアンアーミーカモフラージュ、M43フィールドジャケット。洋服に興味を持った人ならばどこかで一度袖を通す経験があったであろう定番の品。ベースとなるデザインは誰も見たことがないほどの希少性の高いものではないにも関わらず、NICENESSの手にかかればそれは今まで見たことのないような新しい一着となります。

カモフラージュを職人が手染めすることによる不規則性がこれほど新鮮に目に映るとは誰が思ったでしょうか。コンクリートジャングルを生きる私たちにはグリーンやブラウンのカモフラージュは必要ではなく、都会に溶け込むためのカモフラージュの色彩がこれほど高揚するものだと誰が思ったでしょうか。

そしてただ新鮮だったりただ懐かしかったりするものではなく、ものはものとしての良さを最大級の屋台骨として携えています。どんなものでもとにかく素材が良い、作りが良い、染めや加工の工程が良ければ玄人はもちろんそれらの生産背景を聞いてたまらずに引き込まれるでしょうし、そこまで洋服に興味のない人にとっては、蘊蓄を無視して「ただなんとなくよさそう」という無意識下での納得へと漕ぎ付けられるのです。

良いものは良いし、それに引き込まれた私たちは、これらをいつまで経っても良いものだと純粋な心と目と肌でそれを感じ続けるのでしょう。鮮度だけではない本質的な良さというものを私たちに教えてくれるような一着です。(守屋)

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