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楚々

SOSO / REBUILD SWEAT / ¥22,000

新レーベルSOSOの語源は“楚々”。清らかで美しいさま、可憐でたおやかなさまを表す言葉で、そのような人をイメージしたものづくりをしています。さらに、“楚”ということばの語源を調べてみると、『いばらしば、また草木の茂みの根の張ったところをいう』(常用字解 p389『礎』解説より)、あるいは茨や人参木という中国を原産とする低木そのものを指すのだそうです。茨や人参木は夏頃、小さな淡い色をした花を咲かせるので、その様を表し“楚々”ということばが生まれたとも言われています。

特に茨はバラ科の植物ですが、他の一般的な薔薇と違い幾重にも重なる花弁を持たないため華やかさがなく、静かで控えめな印象を持ちますが、茂る緑の草の中に姿を見せる白い小さな花たちの姿は、鮮やかではないものの持つ強さをたたえた美しさがあることを教えてくれるようです。

ちなみに、いばら(草木の茂みの根の張ったところ)に建物の柱の土台となる石(礎石)が置かれるさまから“礎”という文字が生まれたのだそうです。礎石そのものの意味から、“礎”という文字はそのまま、あらゆる物事の土台や基礎という意味を持ちます。楚が石を得て礎になる様子は、デザイナーがトラッドというファッションのベースを得て自身のものづくりの礎を築いたことに通ずるようで非常に面白さを感じました。

美しさというものは、時代によって多様に変化していく概念であるがゆえ、清楚なさまが美しさとされたり、豪華なさまが美しさとされたり、力強さこそ美しさとされたり、一概に捉えることができないものであると思います。現代においては一方的に押し付けられる『一般的な美』というものはあくまで商業的な美であるにすぎず、本当に美しいものというのは、美しいものを美しいと感じる人々の心にあるはずです。あくまでその美しさの一側面として、楚々があるのではないかと思います。(守屋)

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ズームアウトして世の中を見てみる

POOL by CLASS / MUKU / ¥81,400

長く着る服はシンプルであっては飽きが来てしまうからそこに少しの個性や主張が欲しい。それがあってこそ愛着が湧く服となり、長く手元に残しておきたい服になるのではないか。そういった話を先日のJOURNALの取材で伺い、サスティナビリティという言葉が一人歩きを始めているように見える世界への私自身の視線の狭さを知りました。

サスティナビリティー:持続可能性のために、再生繊維を使うこと、化学繊維を極力使用せず環境汚染を最小限にとどめること、生産過程においても環境へ配慮した方法を積極的に採用すること。そういったアプローチであればものを限りなく作り続けることができるのかと問えばもちろん答えはNOであり、そうやってできた素晴らしいプロダクトを、いかに私たち消費者が捨てずに長く使うのか、という最終的な着地点を見誤ってしまっては元も子もないのではないでしょうか。

もちろん、そうした取り組みの必要性、そして取り組まれている個人や企業の努力は計り知れません。ただ、再生繊維であれば“素敵なもの”であり、それを消費し、また新しいものを買うのではなくて、いかに“捨てないもの”を選べるのか、という私たちの姿勢があってこそ、この社会のサスティナビリティーは有効に作用していくように思います。一つの単語にクローズアップされた視点をズームアウトして、その周りにある状況をしっかり把握する目を、私たちは忘れてはいけません。そしてこのアイテムのように、ぐっと心を引き込むようなシンプルではない個性を放つものを見た時のときめきを、私たちは大切にしなければなりません。(守屋)

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楽しい冬に向けて

Bergfabel / Ludwig Coat / ¥165,000

朝のひりっとする空気と静けさが、どんどんと早まる夕暮れの時間の、薄紫色に染まる空の高さが、夜の星空の清らかさが、間近に迫った冬を知らせてくれています。今年は少なからず去年に比べて外へ出かける機会も多そうです。機能を重視し、とにかく防寒できて使い勝手がよいアウターが欲しかった去年の私の思考回路は少し変化していて、ちょっと背伸びもできるような、とはいいながらカジュアルに羽織ることができる汎用性もあるコートが欲しくなっています。

お洒落をしなくても日々を乗りこなしていけると思っていた時期を経てもなお、やはりお洒落をしたいし、自分らしい服に袖を通したいと望むのはかつての私たちが心の底から楽しんでいたファッションの熱を忘れられずにそこにしがみついているからでしょう。一瞬忘れていたかもしれない純粋な欲望は静かながらに私たちの心の奥では火を絶やさずしっかりと燃え続けていたのかもしれないと思います。

今年の冬はだからこそ、ちょっとフォーマルな格好良いコートを羽織って、でもあくまでカジュアルに、スニーカーでも革靴でもいいからさくっと履き古したシューズを履いて、襟を立てたりマフラーを巻いたりして、心を暖かくして街を歩きたいものです。

クラシカルなツイード生地やラペル、エポーレット、ダブルブレストのデザイン、それらは少し前の私たちだったら、もういらないかもな、と幾ばくか感じていたファッションの形、デザインであり、言い換えるならば“かつてあったファッションのかたち”のかけらのようなもの。それが今は懐かしくもあり、新しくもあり、こういうものを手にとって、それを今の自分らしく、気張らず、かといってなんでもない服装ではなく少しお洒落をしているぞと思えるような、そんな着こなしに身をおさめたいのです。(守屋)

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オリジナリティを探る

YLÈVE / WOOL CASHMERE SHAGGY KN P/O BIG / ¥35,200

オリジナリティとはなんでしょうか。アパレルブランドにおいて圧倒的なオリジナリティを発揮しものづくりを続けているブランドはどれほどあるのでしょうか。洋服作りは、創作活動とは異なり、あくまで買い手・お客様があり、その少し手前で、作り手が作りたいものやこと・オリジナリティというべきものを付与させながらクリエイションをしているわけです。

市場に寄り添いすぎたり、流行に対して機敏になりすぎていれば当たり前にオリジナリティたるものは薄らいでゆく一方ですが、そうすることなく作り手が表現したい世界観や追求したい素材、デザインなどを追い求めて行ったところで、これまで先人が世に送り出してきたクリエイティビティの堆積が目の前にはあるわけで、さらにここまで溢れかえった情報の中で“どこにもない”ものを生み出すことは非常に難しくなっていると言えるでしょう。

どこの超長綿であるとか、どこのバージンウールであるとか、どれほど高いランクのカシミヤであるとか、そういった希少性を追い求めたとて、世界には、日本には同等の素材を使うブランドや、それを謳い文句にしているブランドはいくらでもある世の中になりました。そんな中でも、良い素材をどう調理して一つのものを完成させるかという過程には、やはり一人一人の作り手のオリジナリティは色濃く出てくるわけで、素材選びもデザインも技術もクオリティも、色や質感も全てをひっくるめて一つのものを完成させたその過程こそが、一番私たち消費者が見つめるべきところのように感じます。

そして結果的に生まれたものに対して、「このブランドらしいな」などの感想はあまりにも短絡的であり、そのものがどのように自分の目に映ったのか(可愛いのか、美しいのか、特に気に留めない程度のものなのか)をしっかりと自分自身に問い、それに袖を通した自分がどう見えるのか、それを纏った自分の気持ちがどうであるのか、それを手にした自分の生活はどのように送られていくのか、ということにこそ視線を向けてじっくりと考えるべきではないでしょうか。そうして実際に使われてこそ洋服のもつオリジナリティが文字通り肌に感じられるようになるのではないでしょうか。(守屋)

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