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永続するファッションの楽しさ

JOHN SMEDLEY / C BOBBY / ¥35,200

洋服を着ることの楽しさ、ファッションの醍醐味の一つが着る人の心に働きかける作用。それはどういったときに発動するのだろうとじっくり考えてみると、例えば憧れの一着を買ってそれに袖を通すことによる高揚感、一歩大人になった自分への祝福の気持ちがその一つでしょう。あるいは、上質素材の洋服に身を包まれるときの言いようのない安心感。または、その洋服を着ることによって自分自身が普段よりも一層エネルギーに満ちて見えたり明るく美しく見えたりする洋服自体が持つデザイン的な作用もあるでしょうか。

洋服一つひとつにあたったフォーカスをもう少し拡大してスタイリングとしてみてみると、着こなしが一見難しそうな一着を自分にどうしたら似合うか思考を凝らしてオリジナリティなアイディアをぶつけてスタイリングが完成したとき、そしてその姿がまさに自分のなりたい姿だった時はきっとこれ以上なくエンパワーされた自分に気づくでしょう。

いつものシャツに合わせていたカシミヤのニットをシアーなウールのニットに切り替えたり、ウールのコートを脱いでコットンのアウターに袖を通した時、何気なく合わせていた10年もののデニムの良さにまた気づき、「持っててよかった私だけのデニム」に育っていることに気付ける喜びは、素材と素材の無限の組み合わせの中に見える発見の一つです。

コットンのシャツに合わせたコットンのチノパンと、リネンのシャツに合わせたコットンのチノパンとでは全くそのものが違って見え、合わせる素材を変えたがために見慣れたコットンのチノパンの新しい魅力に気付けること。それもファッションの楽しさの一つであり、そしてその楽しさは無限の組み合わせによって起こるものだから、尽きることなく感じ続けることができる楽しさとも言えます。(守屋)

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春を纏うには

R&D.M.Co- /  BLUSHED BACK BORDER CARDIGAN / ¥31,900

東京でも、2月も半分を過ぎた頃から朝日の昇る角度や日中に届く日差しの中に隠された匂い、温度の中に春を感じるようになりました。冷え込み手が悴む朝晩の厳しい冬の名残がありながらも、確実に時間は周りまわってまた次の季節へと足を踏み入れているのだと感じます。

体感として寒さを感じながらも、その中にあたたかな春を感じるちょうど今の季節は、心だけは先へ先へと急ぎ足で、毎朝のクローゼットとのにらめっこの中でついつい春の洋服に手をかけたくなってしまったりするものです。でも実際にそれを着て出かけた先を想像してまたウールのニットを選んだりもするのですが、ちょっとばかり残念というか寂しい気持ちにさせられるのはなぜなのでしょう。ウールのそのニットだってお気に入りなはずなのに、先に見えてきた季節への期待によって超えてきた季節が霞みはじめるようです。

冬の服も、春の服も両方を合わせたレイヤードにしたり、冬の服の中でも春の色を感じるカラーパレットでまとめたり、コットンやリネンの着こなしの下に、暖かなウールのインナーを仕込んでみたり、今の季節には今の季節にしかできない春のまとい方というのがあるのです。一見からりと春らしい、あるいはマリンで夏らしさすら感じるボーダーだって、裏起毛やレイヤードで今だから楽しめるアイテムに変わるのです。(守屋)

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m's braqueのジャケット

m's braque / S1B NO COLLER CARDIGAN JACKET / ¥75,900

ジャケットは、正装のための衣服としての歴史が長くありますが、それ以外にも多くの役割を持ち人々の装いを機能的に、かつ精神的にエンパワーする存在として支えてきました。一言にジャケットと言ってもテーラードジャケットのようなものからワークジャケット、MA-1、シャツジャケットまで、“羽織る”という機能を持った衣服の総称として実に多くのデザインを指し示します。

タキシードはいわゆる紳士の正装のジャケットですが、燕尾服よりはカジュアルなものとして着用されていたのだそうです。あるいは労働者の作業着としてワークジャケットがあり、それは人々の作業を損なわないためのタフな素材や、道具の収納などの機能を併せ持ったものになり、どこで着用するのかという以上に、何をするために着るのかということの方が重要視されるジャケットです。

ミリタリージャケットも同様のことが言えますが、またもう一つ、それはユニフォームとしての役割も果たしていたことは否めません。そして私たちがより個人の生活を自由に楽しむようになった時代に、会社に属して働く人たちがスーツを着用し出したことから日常にジャケットという存在が持ち込まれました。それがカジュアルになればシャツジャケットやカーディガンジャケットになり、仕事というオケージョンからは離れ、リラックスした休日の衣服として広まっていったのでしょう。

m's braqueのジャケットは紳士服の起源的な様相を呈したジャケットから、人々のデイリーユースに叶うような日常のジャケットまで幅広くデザインを手掛けており、毎シーズン必ず豊富なジャケットが揃い、そしてその素材もデッドストックを使用したりなど決して毎年同じものがあるとは限りません。フォーマルにもカジュアルにも、去年にも来年にも、その先10年後にでもきっと着るシーンがあり時代性も感じさせない、時間を超えたジャケットという新しいカテゴリーのジャケットを作っているブランドではないかと思います。(守屋)

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捉え方を変えてみよう

KIJI / HINOKI (SLIM HEMP DENIM) / ¥24,600

ヘンプは栽培過程において他の植物に比べ灌漑をほとんど必要とせず、少ない栄養の中でもよく育つ植物とされています。リネンやラミーが洋服に使われる一方でヘンプがなかなか繊維として使用されてこなかった理由としてはおそらく、その素材の短さによる紡績の難しさや、出来上がった糸を織り上げ生地にすることの難しさが障壁になっていたからなのでしょう。

ネップも多く表情が滑らかとは言えない糸で、さらに織り上げには強い力を加えると糸が切れてしまう扱いの難しさがあると知りました。一方で、その他の植物繊維にも言えることですが水を通すことで強度を増していくという特徴もあります。そしてぽつぽつと見えてくるネップの表情は、デニムにした時にはビンテージのような雰囲気を醸し出し、着用すればするほどこのネップがいい味わいを見せてくれるようになるのでしょう。

ものごとの短所を見ること、そしてその同側面で長所を捉えること。短所の反対側に長所があると考えがちな中で、“どう捉えるか?”という視点の変換だけをもってものの価値を変えることができるのだと、このデニムの仕上がりを見て感じました。

サスティナブルであるとか、より原初的なものづくりに立ち返ったとか、そういった言い方もできるかもしれませんが、そういった謳い文句的な魅力ではなく、その視点の変化にこそ私たちは注目し、思考の一端を私たちのうちにも手に入れるべきなのではないでしょうか。(守屋)

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