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隠れたヒーロー

POSTALCO / Carry ALL Proof Line Nylon / ¥29,150

特に目立つタイプではないけれど皆が一目置いていて、友達といつも楽しそうに遊んでいるわりに勉強ができて、スポーツも万能。誰も気がつかないようなところにさりげなく気づいてサポートをしてくれ、優しさに溢れ、とびぬけた個性はないものの静かに気品あるオーラを纏っているような、そんな人がクラスに一人いませんでしたか。誰も近づけないほどの存在ではないけれど、やっぱり皆がすごいと認めているような、そんな隠れたヒーローのような存在。

学校のクラスメイトでないにせよ、職場にも、あるいは取引先や同じプロジェクトメンバーの中などにも、ひょっとするとそんな存在がいるのではないでしょうか。POSTALCOってどんな存在だろう?と考えた時に浮かんだのはそんな人物像でした。決していつもふざけたり冗談を言ったりするタイプではないのですが、どこかユーモラスでウィットに富んでいて、でも持ち合わせる知性は決して冷たいものではなく人間らしい温かさがあり、困った時につい声をかけて頼りたくなってしまうような、そんな存在です。

いい意味で流行に敏感でないからこそ、どんなときにもどんなシーンにも、生活の中にすっと馴染み、悪目立ちせず、そして細かいところに気が利いていて、それらのギミックは押し付けがましさは全くなく、使い手の自由に委ねられている—だからこそ、これを旅で持ってもいいし、自転車に乗って近所に出かける時にもいい、通勤の際のサブバックにもいいし、週末のアウトドアにだって最適。とても失礼な表現ですが、誰も声高にPOSTALCOがすごいと褒めないのだけれど、密かに好きな人はずっとPOSTALCOを愛用し、心は強固な信頼関係で結ばれているのです。私自身もその一人です。会う人会う人全員にPOSTALCOが素晴らしいとは言わないけれど、きっと手にした誰もがすごいと感じるだろうなといつも強く思っています。今日はそれを声高らかに宣言したいと思います。POSTALCOってすごいのです。(守屋)

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朝の一杯のコーヒーのような存在に

KIJI / SCARF TIE BLOUSE / ¥28,600

BLOOM&BRANCH WEB SHOPやオフィシャルインスタグラムでもご案内させていただいておりますが、6月23日をもちましてBLOOM&BRANCH WEB SHOPはPAL CLOSET内ショップに完全移行する運びとなりました。BLOOM&BRANCH創業以来オンラインで商品をご案内しておりました旧WEB SHOPではたくさんのお客様にご愛顧いただき、個人的なご連絡も多数いただき私たち運営スタッフの日々の大きな励みとなっておりました。実際にお客様に対面し、商品を説明し、生地を触っていただきサイズを確認していただきながら、ご要望やご用途に合わせて商品を提案することが叶う実店舗とは勝手の違うオンラインというつながりの中にあって、このように深くお客様と関われたことは当ショップの大変大きな財産となっていることは言うまでもありません。

実際にご来店が叶わないお客様に対しても、いかに実店舗と同様のサービスを提供できるか、ご納得いただきご満足いただける商品をご提供できるか、その後のお客様の生活に商品や私たちBLOOM&BRANCHの伝えたい価値観がどれだけ馴染みかけがえのないものとなっていけるか—。システムの利便性も含め至らないことが多くあった中でも、そのように私たちのフィルターを通して伝えられるものを懸命に伝えていこうと日々取り組んでおりました。オンラインというつながりは物理的距離をゼロにでき、時間的制約も振り払うことができる便利さをはらみながらも、いつもそこには奥行きがないと感じていました。パソコンでもスマートフォンでも、ただ光を発する四角いものの中にあって、洋服という物も奥行きある魅力を伝えることは非常に困難なことであると感じています。

さらにいうならば、ショップとして伝えたい「今」を、実店舗ではディスプレイや季節の花を用いた設や空間全体を通して伝えることができる反面、オンラインでは商品を横に並べていくことはできますがどこまでも縦か横へと広がるばかりで、そこにはやはり奥がないのです。写真や言葉や実際のお客様とのやりとりを通して、その奥行きを丁寧に見せることができるようにと常々考えていました。奥行きとはつまり人の温度のことに近しいのではと感じますが、プロダクトの作り手の温度や届け手の温度を、余すことなく届けることで、きっとものたちは長く愛を持って誰かの生活に馴染み寄り添い続けるものになるのだと信じています。

プラットフォームが変化していきますが、私たちがどんな場所あれ伝えたいものは常に温かなひだまりのようなもので、それは普遍的なものです。そしてプラットフォームが変わることで今までとはまた違った多くのお客様との出会いもきっとあるのだろうと信じています。そのことはとても楽しみなことの一つです。一人でも多くの方が、私たちの伝えたい素晴らしい洋服や文化や価値観に対して何かを感じてもらえるよう、これからも努めていきたいと考えています。(守屋)

*6月23日よりWEB SHOPはパルクローゼット内ショップへ完全移行いたします

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常備したいトラウザーは夏のそうめんのようなもの

Phlannèl / Wool Tropical Easy Trousers / ¥33,000

食欲が減退する真夏にとりあえず口に運べるものにそうめんがあります。幼い頃から、夏に食欲がないお昼ご飯にはきんと冷えたそうめんを出されることが多かったように記憶しています。逆に、あまりによくそうめんを食べていたものですからとりわけ好きになれなかったのも事実。自分で食べるものを選べるようになった今でも好んで手を伸ばしていた記憶はありませんでした。

ところが夏の暑さが年々厳しくなりあまりに食べ物が喉を通らない日が続くとどうしても思い浮かぶのはそうめんで、そしてたまたま知ったそうめんが、きちんと素材が美味しく手作りのもので、それはこれまで食べたものとは別物に美味しかったことを発見し、それ以来私のそうめんに対する信頼はめきめきと回復し、今となっては家に常備するほどにまでなりました。

きちんと素材が吟味されたものであることは条件として、そうめんのいいところはそのシンプルさゆえに様々な薬味で好みの味に仕上げられるところでしょう。そしてつけるつゆも、出汁が濃く甘いものだったり、塩味が強くがつんとしたものだったり、気分によって何でも合わせることが可能です。定番のごまやねぎや茗荷や大葉だけではなく、例えばレモンをぎゅっと絞ったりしても爽やかな香りが鼻を抜けなんとも心地良いもの。色が白いところもとても良く、合わせる器と、薬味の色とでの食卓のスタイリングも美しく映えます。

夏のうっとうしさを思い、どんな服を備えておけばいいか考え、このパンツの便利さを思い出したところに同時に脳裏をよぎったのがそうめんの盛られたざると透き通るガラスの器でした。それ自体がもちろんしっかりと味を持って美味しく、どんなエッセンスをも受け取ってくれ、どんな色にも合わせやすく爽やかな様子を見せてくれ、なにより心地よくとりあえず常備しておきたいもの。ふざけたようなテキストですが本当に心から便りにしている存在の話です。(守屋)

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未来へ

AL / / ¥17,600

今日という日は昨日からみた未来であり、明日の過去でもあり、明日はいつかは今日になり、そして昨日へと流れていきます。多くの国では時間というのは一本道のような、流れる川のようなイメージで、常に未来は先にありそれがどんどんと今を生きる私たちの方へと流れてくると考えられています。

インドなど一部の国では、時間は円のような考え方をされていて、今日を起点とし、明日と昨日は同じ円周上にある時の輪のようなものと認識されるのだそうです。一昨年は、2年後の未来と同じ円周上にある時の輪にあるもの、50年前は50年後と同じ輪、といった形です。

過去のそれに代わる新しい何か、例えば素材やテクノロジーや価値観や視点。オルタナティブという言葉を文字通り読み取り考えた時、どうしてもそのように過去を置き去りに、新しいもので塗り替え刷新していこうとするような思いがありそうな気配がしますが、果たしてそれだけがオルタナティブという考え方でしょうか。

過去を見つめ、その過ちや欠陥を繕い、過去のそれらを活かしながら新しい要素を付加したり、あるいは過去のそれを削ぎ落とす形で新しさのある何かを生み出したり、そういった過去をも全て包括して考える新しいオルタナティブという考え方もあってよいのではないか、そんなことをこのバッグは提案してくれているように思います。(守屋)

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私にとっても、誰かにとっても快適なもの

PHLANNÈL SOL / American Sea Island Linen Pullover Shirt / ¥27,500

毎年7月か8月になると、「去年もこんなに暑かったんだっけ?」ということばが口をついて出るようになったのはここ数年のうちだったように思います。少し前までは、もちろん日本の夏は湿度も高くじめじめと厳しい季節ではありますが、その中で日を浴びる幸福や、海に身を委ねる快感や、夜風に吹かれる心地良さをもっと強く感じていたような気がしてなりません。

今年はどうなるのかまだ予想はできませんが、快適ではない日々がやってくることを想像するのは決して難しいことではないでしょう。その中でもどうにか心地よくあれる洋服を身に纏い、その場を凌ぐことはともすると自分のためにはとても大切なことのように思います。ただ、自分さえよければということが通用しなくなってきたのはいうまでもなく、その場さえしのげればまた来年も同じことを繰り返していいのかと問われると、首を縦には触れないほどの状況になりました。

選べるのならば、もちろん自分が快適であれるもの、心から高揚しささやかな幸せを感じられるもので身を包みたいです。そしてさらに選べるのならば、それはこれ以上地球を汚さないものであったらいいし、あるいはそれを選ぶことが誰かを助けることにつながるものであればいいなと思いませんか。100%それが叶わなかったとしても、少しでもその希望に近い方を手に取ることは、おそらくそんなに難しいことではありません。

近年の夏の日差しは、肌を晒している方が余計に暑く感じられるほどの鋭角さで私たちを捉えますが、それを避け、風を通し、そして長く着ることで風合いが増すシーアイランドコット×リネンのシャツは私の夏には欠かせない素材の一つとなりました。今年になり、そんなシーアイランドコットンが育つ土地の姿、働く人々の状況を知ることになり(JOURNAL参照)、より一層の感謝と愛情をもってこのシャツを手に出かけようと心に決めています。(守屋)

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壊れても捨てない、買い替えない

Tukir / Day Dress Khadi Cotton / ¥44,000

部屋着と外着の境目はどんどんと曖昧になり、ワンマイルウェアという言葉も生まれて久しい中、その多くが“外にも着て行ける見た目(デザイン)の部屋着”というアプローチがほとんどであったでしょう。その中に“外着に匹敵するクオリティの部屋着”ともいえるような立ち位置の洋服は稀有な存在であるように思います。

美しい手織りカディの柔らかな肌あたりはどんなシチュエーションにおいても私たちを心の底からのリラックスへと誘い、ビーツ染色の力強い色彩は着る人だけでなく地球全体を暖かく見守ってくれるようです。インドの伝統衣装から着想したデザインは男女という垣根を超えて誰もが自由に袖を通し包まれることを受け入れてくれる寛大さをもっています。

“長く愛用できるもの”としてタイムレスでノームコアなデザインや、上質素材を使うことが主流になる世の中において、そこから一歩進んだ“着るごとに風合いを増していく素材”というパースペクティブを持ったTukirというプロジェクト。誰にでも普遍的に、誰にでも容易に手に取り着こなすことができる洋服ではないかもしれませんが、手にとった人の人生への深いコミットメントが約束されているかのような一着です。

長く愛用することで風合いが増すというのは、より綺麗に見えてくる素材ともいえるかもしれませんが、そうではなく、毛羽立ち、ほつれや裂けがおきたときにも、繕ってまだまだ使いたいと思える思考をも育ててくれる素材である、という方がより正しいかもしれません。壊れたら捨てる、買い替えるという概念を取り払った世界を生み出してくれる、そんな洋服ではないでしょうか。(守屋)

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ロマンス

molli / ROMANCE / ¥63,800

ロマンスという言葉から連想させるものは叙情的なストーリー、恋物語。そこから派生するロマンティックという言葉には、どこか夢想的で可愛げのある少女のような印象があるからか、ロマンティックな洋服などと形容される場合には、やや強引ではあるものの可愛らしいものや繊細なもの、柔らかな印象のものを指し示す場合が多いような気がしています。

かつての価値観で認識されるロマンティックという言葉の形容に慣れてしまっていることが現代において窮屈さを伴うものであることはあるにせよ、ロマンスという名がついたニットのスカートは繊細な編み地で表現された少女やお花やどこか牧歌的な家々の様子が物語の世界のようでロマンティックという言葉はぴったり馴染んでいるように思えます。ただそれがモノトーンで表現されていることが、その意味を適度に排除し、ストイックな表情を浮かべながら、モノクロ映画のような幅をも与えてくれているように思います。

例えばこのスカートの下にブラックデニムを重ねて履いたり、トップスにはずるずるのビンテージのTシャツだったり、相反する要素を重ね合わせて新しい意味を付加できるような、そんな幅広さがこのスカートにはあります。そうしたときに、新しいロマンスの意味が生まれるかもしれません。(守屋)

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日々を問い続けること

UNION LAUNCH for BLOOM&BRANCH / SAILOR SHIRT / ¥27,500

先日出会った、とあるショップを営むオーナーの方が話の途中でさらりと話していたことには、「私は考え続けるということがわりあい好きだから、いつでもこのグラスをいつ差し出したらお客様が喜ぶだろうとか、どういう料理にしたらもっと喜んでもらえるかとか、なんという一言をかけてあげたら心地よくなるだろうとか、常に考えているんです」ということでした。

毎日ルーティンのように行われる、自分の仕事について、慣れれば慣れるほど無考えにも言い慣れた言葉が口をついて出てくることもあれば、汚れた店内を見ると自然と掃除をすることができたりする反面、そのとき頭では何も考えていないという事実にすら気付くことができないでいるということは少なからずあるのではないでしょうか。これは何も現場仕事に限らず、デスクワークや商談や、フィールドワークにおいても同様のことが言えるはずです。

ファッションの世界には当たり前にシーズンという2つに区切られたシステムがあり、その2つのどちらかに入り込めるような洋服をデザインするものであるということは、ファッション業界に身を置く人間にとってはもう何の疑問も持たずに飲み込める事実である反面、その意味を問い、考え、自分やカスタマーや地球やありとあらゆることを包括的に吟味し、その2つに区切られたシステムに乗ることは果たして正しいことなのかを考えるという姿勢は、必ずしも多くの人が持ちうるものではないのでしょう。

あるいは、売れるためのデザインや、自己表現としてのデザインがある一方で、作り手が作りやすいことや機能・技術に見合うデザインをすることなど、180度方向転換された視線も往々にしてこの世には珍しいもののように感じます。日々に疑問を感じ続けること、誰かにではなく、自分自身に問い続けること、そして考え続けることの大切さというような、生きる上での本質を垣間見ることができる一着です。(守屋)

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波間を思う

i am dork / Wide BD Shirt / ¥53,900

それぞれの時代を生きてきたそれぞれの人が通る、それぞれのカルチャーが私たちの中にそれぞれ必ず存在します。海を隔てた遠く知らない国で起こっている出来事にキャッチアップする術を持ち合わせなかった時代を生きた人にとって、それが日本へと伝来してきたときの衝撃たるや今の時代とは比にならないものであったのでしょう。

大きな波はじわじわと情報の中心地から文字通り波及していき、その速度は緩やかで、ただしかし勢い故の影響範囲の広さはあったはずです。ムーブメント、カルチャーの発出する波間が短くなった今は、それぞれの持ち合わせるエネルギーというのはきっとかつてのそれよりは弱まっていると実感しています。容易に手に入る情報は、便利である反面その希少さは薄れていくのでしょう。

若者だれもが熱狂し、その波が日本に押し寄せ、そして日本でも同様に多くの若者が熱狂したスケートカルチャー。遅れてやってくる雑誌を破けるまで繰り、あれこれと友達と談議し、あれが欲しいこれが見たいと熱望し、そしてできる限りそこに映し出される“格好いい”同世代の少年少女を恋い焦がれて真似する行為—そこには、知らないからこそ自分なりの空想の世界を繰り広げながら自分が信じる世界を生きる熱い思いがあったはずです。

全てを理解し、知り尽くすことは優れた人間になるためにはあるいは必要なことなのかもしれませんが、知らないことがあること、そしてそれを知るために想像・空想を繰り返すこと、目の前に見えないものへ心を寄せることは、私たちが少なからず忘却している視座であり、失ってはならないものである気がしています。(守屋)

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洗濯機としわくちゃのシャツ

CASEY CASEY / VERGER BIS BOWLING SHIRT / ¥52,800

CASEY CASEYのシャツやジャケット、そのほか全てのアイテムについて、どんな瞬間が一番CASEY CASEYらしくあるだろう?と考えたことはあるでしょうか。春らしい暖かな太陽が降り注ぐ気持ちの良い朝、自分が所有しているシャツを洗濯機で洗ってくしゃくしゃになったそれを明るい太陽の下にさらそうとするとき、そのくしゃくしゃになったシャツを見て、私はそんなことを考えました。

CASEY CASEYらしさのひとつとも言えるペーパーライクな張りのある素材感は自然なシワの表情を携えています。それらは、かつてデザイナー自身が染めたり、洗いをかけたりという作業を全て手作業で行っていたときから続くチャームポイントであり、そしてデザイナーは使っているドイツ製の洗濯機の全てに固有の名前をつけて愛を持って接していたのだといいます。自由な創造と愛ある作業によって生まれたアイテムたちは、ひとつひとつが他にない個性をもったものになるのは必然でしょう。

そんなストーリーをかつて見聞きしたことがあったからか、やはり洗濯機に自分の持っているCASEY CASEYのシャツを放り込むときも、洗ったシャツを干すときも、なんだかあるべき場所にそのシャツが戻っていくような、そしてまた新たにさっぱりすっきりした清々しい表情で太陽の下にやってきてくれるような、そんなことを感じさせてくれます。(守屋)

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自分に似合うものはどこにある?

STUDIO NICHOLSON /  PEACHED COTTON TWILL PANTS - DEEP PLEAT WRAP FRONT / ¥49,500

自分に合うボトムスを探して果たしてどれくらいの金額を使い、失敗し、自分の身体作りに励んだり、あるいは諦めて“こんなもんだろう”というフィット感のパンツをお直しして履いてきたのでしょう。リラックスシルエットがトレンドになりはじめ、ある程度ゆるっとしたシルエットだったらそれなりに見えることを見つけてしまった途端、そんな努力はどこかへと追いやられ、なんとなく自分の好みに合うものを取捨選択して楽しむようになりました。

ウエストをなおさないで履けるパンツなど存在しないかのように思い込み、ベストパートナーと出会おうとする努力を怠って数年の月日が経ちました。何事も努力をしないと劣化していくもので、自分の体型への認識だったり、どんなものが“本当に自分に似合うのか”という判断力はその間にどんどんと鈍くなったと言っても過言ではありません。そんなときに頼りになるのが他者の声で、誰かが格好良く履いていたりすると自分もそうあれるのではないかと思い込み、同じものを買ってみては“こんなものだろう”というなんとも歯切れの悪い納得感で自分を満たしていました。

ある日ふと、こんなことではいけないような気がしてきて、パッと目が覚めたような感覚があり、再び自分に本当に似合う洋服探しを、自分の身体と二人三脚で繰り広げることになった結果、ようやく出会ったのがSTUDIO NICHOLSONのパンツでした。ウエスト詰めも、丈詰めもしなくていい。きちんとクリエイションの伴った洋服の中でそんな一着に出会えたことが嬉しく、そし着る当事者である自分をしっかり見つめることと、似合うを探し続ける努力があってこそ、洋服というのは素敵に着こなせるものなのだと再認識した出来事でした。

だからといって全ての人にこのブランドの洋服がおすすめなわけではもちろんありませんが、私が今まで決して似合わないだろうと思い込み試着も憚られていたブランドの洋服がぴったりきたような出来事が、他の誰かにも訪れることを願っています。そのためにはどれだけ現実に見える手のひらの中の世界よりも、非現実的に見える目の前の世界のほうが、実は本当に現実なのだということも知っておく必要があるかもしれません。(守屋)

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出会いのときめき

POOL by CLASS / CCAA16UNI / BIG WAFFLE / ¥86,900

なるべく長く一つのものを使い続けようと考える時、ことファッションに限って言えば私たちはなぜだか『長く使える物=流行に流されない物=シンプルなもの』という流れを組んでしまうことが多いようにも思います。私自身、出来るだけ長く愛用しようと考えた時、目の前にある2つの服のどちらかを選べと問われたらおそらく“無難な”色やデザインの方を選び取ってしまうような気がしています。

その考えに一石を投じるような意見をもらえたことをきっかけに以前にも似たような記事を書きましたが、シンプルすぎるものは結局飽きが来てしまうから、いかに作り手の個性をひっそりと汲み取れるような洋服であるか、そして出会ったときのときめきを忘れずにあれるか、ということが私たちがものをいざ使ったり捨てようと思い至った時の、最後の砦となるような気がしています。

自分の所有物のなかで、手にとってときめかないものは容赦無く捨ててしまえばすっきりと片付き幸せな生活が待っているということも言われてきた世の中ですが、“今”ときめきがもし仮になかったとしても、“出会った時”のときめきを今も忘れずにあれるのであれば、決して捨てる必要なんてないし、そういったときめきを絶やさないであろうものを買うこと、そしてその気持ちを大切に育てる姿勢も、同時に大切なように思います。

前回の記事もそうですが、そんなことがふと頭によぎるのはなぜか決まってPOOL by CLASSの洋服を見た時なのです。個性が強すぎるわけでもなく、かといって私がずっと憧れるほど追いかけているブランドでも正直ないのですが、やはりそこに滲み出るデザイナーの意思や、洋服としてまとめあげられたときの完成度の高さに感服の思いは抱かずにはいられないのです。そして、この出会いのときめきは、きっと十数年後に自分のクローゼットの中でこの服と目を合わせたときには絶対に思い出すであろうと確信することができるのです。(守屋)

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春のニットへの憧れはいつのまにか

NICENESS / SERGE / SVR-BORO CARDIGAN / ¥94,600

“品の良い大人たちはみんなニットをうまく着ているな、それも春に。”
それは男女問わず共通することで、パワフルな女性も、シックな男性も、エレガントなあの人もみんな春先には上質なニットをとても心地良さそうに素肌に近いところで着ていました。そんなことを、20代も終わりのカウントダウンを始める頃にふと思ったことがありました。それからというもの、春先に街中でコットンやシルク、その他上質そうなニットを着ている人を無条件に探してしまう自分がいます。

おそらく過去にもニットを着る大人への憧れについて書いたことがあったように記憶していますが、その気持ちは自分が歳を重ねるにつれ、憧れの気持ちからだんだんとパーソナルな悩みや嗜好に近いものへと変容していったように思います。今の私は、薄汚い古着のカットソーやスウェットに目がない反面、着るならどう着るべきか?ということをTPOを含め考えずにはいられなくなり、『この歳にもなって…』と誰かから注がれる冷ややかな視線をどうやって掻い潜ろうかを考えたりもしてしまうのです。

自分のファッションといいますか、自分らしさは壊したくないし、いわゆる30代相応の着こなしというものに興味があるわけではないものの、歳とともに出会う人の幅も広がり、自分が似合う服も変わっていきました。その変化の中で、ボロボロのスウェットを着るときは首元にパールのネックレスをあしらうようになったり、ボロボロのスウェットの代わりにニットを着て、ボロボロのデニムを履いてバランスをとったり、あるいは品の良いシャツにスラックスのスタイリングではシャツにアイロンをかけずにラフに着てみたり。

アイテム同士の相性が、一瞬で判断できるようになってきたことも歳を重ね経験を積んだことに起因するメリットでもあります。そんなこと全てを活かしながら、ぼろい古着も綺麗なドレスシャツもジャケットも、アンティークウォッチもジュエリーも、そしてヘアメイクも、その日その日を大切にしながら、楽しんで自分らしく選び取っていきたいと改めて感じた3月の終わりでした。(守屋)

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選ぶ基準は自分の中に

KIJI / KUWA / ¥27,500

最新のBLOOM&BRANCH JOURNALでは、Phlannèlデザイナーの浅川とKIJIのデザイナーでもあるディレクターの中出がデニムについての個人的見解を示しながら、今欲しいデニム、自分に必要なデニムについて話しています。常に時代を反映した素材や形や履きこなしがあり常にトレンドアイテムとして存在し続けるデニムは、同時にオーセンティックで普遍的なワークウェアでもあり続けます。

デニムを履きたい動機としては、単純にその時のスタイリングに抜けを出したり、色として、素材としてのデニムを取り入れたいというファッションの純粋欲求としてが一つありますが、あるいは子供と遊ぶ日だったり作業が多い仕事の日だったり、アウトドアアクティビティを予定している日に手に取るという実用の動機も存在するはずです。

動きやすさ、履きやすさ、耐久性、そしてなにより今回のJOURNALで二人のデザイナーが述べていたように、「自分の体型にいかに合うか」、「デニムというアイテムをいかに野暮ったくならずに自然に無理なく格好良く履けるか」という見た目の問題が、やはりファッションアイテムである以上無視できないものであることが再認識されました。どれだけトレンドの形があろうとも、サイジングがあろうとも、自分が格好良く履けないならばそれはいつかは箪笥の肥やしになるのみで、ずっと長く愛せないならばそれこそがサスティナビリティとは無縁の悪きファッションの姿を見せてしまうのみなのです。

デニムというのは衣服の中でも特にオーセンティックなアイテムだからこそ、選ぶ幅も広く種類も豊富です。だからこそ、いかに自分のニーズを満たすことができるものかを見定める力と、自分の体型や生活週間に対する高解像度の目を持つことが大切になるのでしょう。(守屋)

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春の日に

Phlannèl / Linen Cotton Guernsey Cardigan / ¥33,000

カーディガンは、とりわけ春先には様々な用途で活躍してくれる万能なアイテムの一つです。例えばジャケットのように、あるいはシャツのように。そしてニットとして防寒アイテムにもなり、シャツのように軽快に羽織れるものとして。冬のニットのそれと異なるのは、季節柄防寒性を強く意識する必要がないためでしょう。

ジャケットほどにかしこまる必要がなければ、シャツのようにアイロンがけもいらずに手軽で、暑くなったら折りたたんでバッグにしまうこともできるし、肩に掛けるだけにしてスタイリングのアクセントとして使ってもいい、そして肌寒くなったらそのニットに袖を通すこともできる。利便性だけが洋服の全ての意義ではないですが、やはり一枚で出来るだけたくさんの用途を含んでいるもののほうが手元にあって安心するものではないでしょうか。

ただ一方で、ネイビーでもベージュでもグレーでも、何にでも合わせやすい究極の万能服が想定されますがそこには少しだけ個性や、キャッチーな明るさや、着ることの楽しさが感じられるものが心の充足度は高まるようにも思います。真っ白のシャツにぱきっとジャストサイズのデニムを合わせて、ネイビーのカーディガンを上品に羽織ることも素敵ですが、そこに柔らかなブルーのニットを合わせたならば、春のあたたかな光もより一層暖かく感じることができたり、ただの白いシャツが一層白さを増して見えたりすることもあるかもしれません。

ウールからコットンへ、そしてリネンへと、季節とともに移ろう素材軸も楽しみながら、毎日がなんてことのない日々であるよう願うのみです。何事もないいつもの毎日にささやかな幸せを見つけましょう。(守屋)

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旅の行き先はそれぞれ

Cristaseya / OVERSIZED CLASSIC COLLAR SHIRT / ¥77,000

人工的な新しさや刺激的を欲していた時期ももちろんあったはずなのに、最近はもっぱら自然的な色彩やテクスチャー、プロポーションのものを無意識に好むようになりました。時代性がその感覚にさせているのだろうと考えると合点がいきます。不安定であらゆる情報の波にのまれながら、何かに裏切られ、何も信用できないような気持ちになるとき、ずっとそこにある自然的なものに心を惹かれ信仰心にも似た安息を求めているのでしょう。

柔らかな陽光のようなイエローや砂を連想させるライトベージュ、土の色、空の色、草の色、海の色。自然には限りないほどたくさんの色彩であふれていますが、そのどれもが目に優しく自然な速度で私たちの目に吸い込まれるようにじんわりと歩み寄ってきます。Cristaseyaのコレクションは常に旅をインスピレーション源としているからか、広大な大地や海を見渡したときのようなおおらかさで包み込まれるような景色を見せてくれるようです。

一見刺激的に思われるようなグリーンやはっとするブルーや人工的な印象を受けるパープルやその他鮮やかな色彩たちは、よくよく見るとどこかで見覚えのあるような温もりある情景を連想させ、それでいてどこか新しく、まだ行ったことのない土地をあてもなく歩いて彷徨っているようなわくわくどきどきした気持ちを感じさせてくれるようでもあります。例えばこのグリーンは、もしかしたら青さが深まった真夏のどこかの木々の色かもしれません。それは決して春のうららかな気候に見る草原の緑とは異なります。

私たちが見慣れた花の色と違い少しの毒々しさを携えたピンクやパープルは、厳しい環境の中で必死に生きた花たちの花弁の色かもしれないし、ぎらぎらと燃えて今にも溶けて無くなってしまいそうな夕日に染まった街の景色かもしれません。どこにいてもどこへでも旅をさせてくれる新しい切符がまた、手に入りそうです。(守屋)

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永続するファッションの楽しさ

JOHN SMEDLEY / C BOBBY / ¥35,200

洋服を着ることの楽しさ、ファッションの醍醐味の一つが着る人の心に働きかける作用。それはどういったときに発動するのだろうとじっくり考えてみると、例えば憧れの一着を買ってそれに袖を通すことによる高揚感、一歩大人になった自分への祝福の気持ちがその一つでしょう。あるいは、上質素材の洋服に身を包まれるときの言いようのない安心感。または、その洋服を着ることによって自分自身が普段よりも一層エネルギーに満ちて見えたり明るく美しく見えたりする洋服自体が持つデザイン的な作用もあるでしょうか。

洋服一つひとつにあたったフォーカスをもう少し拡大してスタイリングとしてみてみると、着こなしが一見難しそうな一着を自分にどうしたら似合うか思考を凝らしてオリジナリティなアイディアをぶつけてスタイリングが完成したとき、そしてその姿がまさに自分のなりたい姿だった時はきっとこれ以上なくエンパワーされた自分に気づくでしょう。

いつものシャツに合わせていたカシミヤのニットをシアーなウールのニットに切り替えたり、ウールのコートを脱いでコットンのアウターに袖を通した時、何気なく合わせていた10年もののデニムの良さにまた気づき、「持っててよかった私だけのデニム」に育っていることに気付ける喜びは、素材と素材の無限の組み合わせの中に見える発見の一つです。

コットンのシャツに合わせたコットンのチノパンと、リネンのシャツに合わせたコットンのチノパンとでは全くそのものが違って見え、合わせる素材を変えたがために見慣れたコットンのチノパンの新しい魅力に気付けること。それもファッションの楽しさの一つであり、そしてその楽しさは無限の組み合わせによって起こるものだから、尽きることなく感じ続けることができる楽しさとも言えます。(守屋)

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春を纏うには

R&D.M.Co- /  BLUSHED BACK BORDER CARDIGAN / ¥31,900

東京でも、2月も半分を過ぎた頃から朝日の昇る角度や日中に届く日差しの中に隠された匂い、温度の中に春を感じるようになりました。冷え込み手が悴む朝晩の厳しい冬の名残がありながらも、確実に時間は周りまわってまた次の季節へと足を踏み入れているのだと感じます。

体感として寒さを感じながらも、その中にあたたかな春を感じるちょうど今の季節は、心だけは先へ先へと急ぎ足で、毎朝のクローゼットとのにらめっこの中でついつい春の洋服に手をかけたくなってしまったりするものです。でも実際にそれを着て出かけた先を想像してまたウールのニットを選んだりもするのですが、ちょっとばかり残念というか寂しい気持ちにさせられるのはなぜなのでしょう。ウールのそのニットだってお気に入りなはずなのに、先に見えてきた季節への期待によって超えてきた季節が霞みはじめるようです。

冬の服も、春の服も両方を合わせたレイヤードにしたり、冬の服の中でも春の色を感じるカラーパレットでまとめたり、コットンやリネンの着こなしの下に、暖かなウールのインナーを仕込んでみたり、今の季節には今の季節にしかできない春のまとい方というのがあるのです。一見からりと春らしい、あるいはマリンで夏らしさすら感じるボーダーだって、裏起毛やレイヤードで今だから楽しめるアイテムに変わるのです。(守屋)

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m's braqueのジャケット

m's braque / S1B NO COLLER CARDIGAN JACKET / ¥75,900

ジャケットは、正装のための衣服としての歴史が長くありますが、それ以外にも多くの役割を持ち人々の装いを機能的に、かつ精神的にエンパワーする存在として支えてきました。一言にジャケットと言ってもテーラードジャケットのようなものからワークジャケット、MA-1、シャツジャケットまで、“羽織る”という機能を持った衣服の総称として実に多くのデザインを指し示します。

タキシードはいわゆる紳士の正装のジャケットですが、燕尾服よりはカジュアルなものとして着用されていたのだそうです。あるいは労働者の作業着としてワークジャケットがあり、それは人々の作業を損なわないためのタフな素材や、道具の収納などの機能を併せ持ったものになり、どこで着用するのかという以上に、何をするために着るのかということの方が重要視されるジャケットです。

ミリタリージャケットも同様のことが言えますが、またもう一つ、それはユニフォームとしての役割も果たしていたことは否めません。そして私たちがより個人の生活を自由に楽しむようになった時代に、会社に属して働く人たちがスーツを着用し出したことから日常にジャケットという存在が持ち込まれました。それがカジュアルになればシャツジャケットやカーディガンジャケットになり、仕事というオケージョンからは離れ、リラックスした休日の衣服として広まっていったのでしょう。

m's braqueのジャケットは紳士服の起源的な様相を呈したジャケットから、人々のデイリーユースに叶うような日常のジャケットまで幅広くデザインを手掛けており、毎シーズン必ず豊富なジャケットが揃い、そしてその素材もデッドストックを使用したりなど決して毎年同じものがあるとは限りません。フォーマルにもカジュアルにも、去年にも来年にも、その先10年後にでもきっと着るシーンがあり時代性も感じさせない、時間を超えたジャケットという新しいカテゴリーのジャケットを作っているブランドではないかと思います。(守屋)

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捉え方を変えてみよう

KIJI / HINOKI (SLIM HEMP DENIM) / ¥24,600

ヘンプは栽培過程において他の植物に比べ灌漑をほとんど必要とせず、少ない栄養の中でもよく育つ植物とされています。リネンやラミーが洋服に使われる一方でヘンプがなかなか繊維として使用されてこなかった理由としてはおそらく、その素材の短さによる紡績の難しさや、出来上がった糸を織り上げ生地にすることの難しさが障壁になっていたからなのでしょう。

ネップも多く表情が滑らかとは言えない糸で、さらに織り上げには強い力を加えると糸が切れてしまう扱いの難しさがあると知りました。一方で、その他の植物繊維にも言えることですが水を通すことで強度を増していくという特徴もあります。そしてぽつぽつと見えてくるネップの表情は、デニムにした時にはビンテージのような雰囲気を醸し出し、着用すればするほどこのネップがいい味わいを見せてくれるようになるのでしょう。

ものごとの短所を見ること、そしてその同側面で長所を捉えること。短所の反対側に長所があると考えがちな中で、“どう捉えるか?”という視点の変換だけをもってものの価値を変えることができるのだと、このデニムの仕上がりを見て感じました。

サスティナブルであるとか、より原初的なものづくりに立ち返ったとか、そういった言い方もできるかもしれませんが、そういった謳い文句的な魅力ではなく、その視点の変化にこそ私たちは注目し、思考の一端を私たちのうちにも手に入れるべきなのではないでしょうか。(守屋)

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両極端の間の話

NICENESS / ADAMS KHADI SILK PRINT SHIRT / ¥45,100

現代において仕事と呼ばれるものの幅はぐんと広がりを増しており、新しい肩書きを作って新しい仕事の形を創出し、自分の役割を言語化している人も少なくはありません。あるいは、二足の草鞋、ないし三足、四足の草鞋を履いて現代に既にある仕事を並列させて小商的に仕事をこなす人もいるでしょう。

デザイナーをしながら書き物をしたり、企業PRをしながらインフルエンサーであったり、販売員をしながらスタイリストであり、かつイラストレーターでもありカメラマンでもあったり。様々な仕事や専門分野(と呼ばれるものがあるとしたら)の領域の間で左に右に、ときには斜めに移動しながら自分の役割を全うしている人を見ると、実に柔軟に世の中に適応しているなと感嘆します。

他方、やはり専門的に一つのことをこなす人ももちろん重要で、ものごとが両極端から発生するとしたらそれこそが専門領域と呼ばれるものなのではないでしょうか。そこがあるからこそ、両極端のバランサーとしての役割が発生し、自由に左右へと往来できる人がそこに仕事という自分自身の役割を見出せるにすぎないのでしょう。

ファッションにおいても同様で、両極端的プロフェッショナル、秀でたクリエイションの間で、バランスをとるように生み出される洋服の役割も十分にあります.NICENESSはきっと両極を担っているブランドの一つであることは否めませんが、端と端をつなぎ合わせるようなブランドの洋服を取り入れたり、間を取り持つ役割を着用者自身が担うなどして、自分らしくスタイルを表現するのは実に心躍るものですね。(守屋)

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Sight

Phlannèl / Summer Twist Wool UK Ceremony Trousers (Check) / ¥50,600

Phlannèlの22SSコレクションのテーマカラーとなる青。毎日見上げる空は青く広がっていて、そこには海の青が反射されているかのようです。空はなぜ青いのか、というのは多くの子どもたちが一度は思い浮かべる疑問のひとつでしょう。太陽の光によって私たちの目に青が届くという事実は、大人になったいまでも、それを思い返すことで世界を見る目を一度リフレッシュさせてくれるような気がします。

青は、空や海を想起させるためか、緩やかにたゆたう自由さを感じさせてくれます。これがネイビーに近くなればなるほど、ユニフォームや正装のイメージが強くなっていき、その自由さは少し減退するのではないでしょうか。芯の強さや統率力を意識させる強い青とはまた違う、自由な青。

そこにトラッドな要素やワークウェア の要素が加われば、意識していた青とはまた違った表情をもった洋服たちが顔を覗かせます。色彩による私たちの心理変化や、洋服のデザインがもたらす印象操作というものの不思議さを改めて感じさせてくれるでしょう。そしてPhlannèlの洋服はそこに正解を示さず、理解を着用者に完全に委ねてくれますし、理解したあとの表現についても、完全に私たちの自由意思に委ねられています。

Phlannèlの世界について、写真とテキストで表現されるコンテンツ、「Sight」がPhlannèl HPにて隔週更新されています。ぜひこちらも見て、ブランドの世界を広く体感していただけましたら幸いです。(守屋)

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知性と個性

PHLANNÈL SOL / Stand Collar Pullover Shirt / ¥23,100

日本古来の言語意識の一つに、「縦には正しさを、横には不正をみる」考え方があるようです。正誤という判断とは異なるにしろ、確かにストライプは正装の場でも着用を許させることがある一方でボーダーはカジュアル着として認識されることが大半です。そういった意識が影響しているわけではないにせよ、ストライプのシャツはどこか着る人を端正に、そして知的に魅せてくれる力があるように感じます。

知性を漂わせるストライプシャツはおそらくその多くが寒色系で、そして織りなす線は細くしなやかさを携えていることが多いのではないでしょうか。これは完全な私見ですが、細いストライプの知性の一方で、太いストライプ模様の大胆さは、着る人の意思の強さや芯の太さを感じさせ、とてもファッショナブルに見え気がしています。

PHLANNÈL SOLのストライプシャツの面白いところのひとつが、その細さと太さ、要するに知性と個性を両方持ち合わせていることです。遠目にこのシャツを着ている人を見てみたとき、淡い白とブルーのストライプの柄を認識しますが、その人に近いてみるとその淡い白の間には繊細なブルーが顔を表します。

知的で繊細で個性もあり、意志の強さをも感じさせる人がもしいたとしたら、きっと魅力的な人に違いない、とこのシャツを眺めながら感じ入るとともに、そんな人物への羨望の気持ちもあってこのシャツを是非自分のクローゼットへ迎え入れたいと思うのです。(守屋)

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一つの楔

PHLANNÈL SOL / Motorcycle Pants / ¥35,200

OUTILの宇多氏に素材開発を依頼した特別なモーターサイクルコートとモーターサイクルパンツ。ものづくりにおける姿勢についてはJOURNALでご紹介しておりますが、そこにおいて印象的だったことは、作る場所による土地の個性や空気は必ず出来上がったものに表れるということです。

東北で生産されることの多いPhlannèlの作るものは、たとえ同じ生地を使って作ったとしても多くを西日本やフランスで作っているOUTILのそれとは保つ空気が全く違うのです。もちろん、肌感覚ではそれを身に着ける私たち自身にも伝わっているものなのでしょうが、言語化されて初めてその空気の違いを認識することができ、洋服に対するとても新鮮な視点を得ることができたように思っています。

だからと言ってもちろんのこと、「フランスで作られるものが好き」とか「新潟で作られるものが肌に合う」などと言ったことには決してならず(そうした判断は正しさからはずれているとも思います)、誰がどのように考えてどのようなものをどのようなアプローチで生み出したのかという過程全てを無意識下で感じた上でただ好きか嫌いか、心が動くか動かないかでものを選択することがファッションの楽しみ方の全てであることには変わりはありません。

そのものづくりの過程に打たれた楔のようなものの一つがただ生産する場所であるだけなのですが、ただ、その楔の一つを知っていることと知らないことで見える世界の彩度の違いは、きっとあるのではないでしょうか。是非多くの人に、直接見て触れて感じて、そのあと見える世界の違いを楽しんでみていただきたいと思っています。(守屋)

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違和感を大切に感じること

PADMORE&BARNES×KAPTAIN SUNSHINE for BLOOM&BRANCH / Arran Exclusive / ¥46,200

外へ外へと放出される人間の気持ちや興味関心が、様々な制限のおかげで内へと向かうことが多くなった昨年だったように思います。“内向的”という意味ではなく、“内省”するような視座を、少なからざる人々がこれまでの人生経験において最高潮に持ち合わせたのではないでしょうか。

人と違う服を着たいと思う人が個性的なファッションスタイルを確立していたり、あるいはトレンドから逃れまいとする人がファッショントレンドを支えていたこれまでの流れから一転し、内側へと向かう人々の視座により、他者と比較するのではなく、「自分にとってどうであるか」という価値観でものは選択されるようになりました。

自分が好きかどうか、自分の生活スタイルに合っているかどうかが、他者との違いよりも大事な要素になりました。ただそれは決して自分の周辺環境への興味がなくなったということではないと私個人は感じています。これまで知らなかったような自己の深い感性を自分でよく理解してこそ初めて、他者との違いを正確にと言いますかより高い解像度で認識できるようになることだと思っています。

だからこそ、今の自分は他者に対してどのようなスタンスを取っているのか、違いは、オリジナリティは何なのかを、おそらくですがより深く考え、理解することができるようになった人が多いのだと思っています。そうなってきたときにまたファッションはより一層、自分のものさしで考え表現でき、より一層、楽しいものになると思っています。(守屋)

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どこにも、誰とでも、どんなときも

Barbour for BLOOM&BRANCH / Stand Collar Jacket / ¥72,600

冬の空気がぴりりと緊張感があるからなのか、気温が下がり本格的な冬の到来を感じると何故だか身なりをしっかり整えていつもより少しぴしっと決めたくなるときがありませんか。特段、誰かと食事にいく予定や、大事な商談があるわけもない普通の日常の中のありふれた1日でも、何故だかふと、今日はちゃんとした服装をしたいな、と思うのは、夏より圧倒的に冬が多い気がします。

アウターを着なければ寒いし、コートというアイテムはどこかフォーマルな印象があるからそういった思いつきが自然発生してしまうのかもしれません。あるいは、年の瀬に向けて今年1年の自分を振り返って来たる1年を迎えられるようけじめの気持ちがあるのかもしれません。

外出の機会が減り、着飾る機会も今までよりは少なくなって、誰と会うわけでもない日に“丁度いい”服を求める傾向がより一層強まった中で、日常にも“丁度いい”し、着飾りたいときにももってこいの、そんな万能なアイテムなんてあれば最高なのにと思って見渡してみると、思ったほど理想に当てはまるものは多くありません。

歴史あるBarbourだからこその質実剛健な面構えと、どんな天候にも対応し得るスペックを備えた素材使い。スタイリングによってマフラーや革の手袋を足して革靴を合わせれば大抵のところには胸を張って出かけられるし、デニムにスニーカーでアウトドアアクティビティにも似合ってしまうし、ちょっと近所まで買い物に出かけるにも、おおよその洋服にはばっちりとはまる。中にニットも着込めるしインナーダウンなんてあれば真冬もへっちゃらで…と、地味なようでいいところを挙げればキリがない一着です。良い年の瀬をお迎えください。(守屋)

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白いコート

NICENESS / CRMSO / ¥248,600

冬の空はどこまでも高く高く私たちから遠ざかりながら雲の姿をどこかに追いやって究極まで澄み渡り、そして空と私たちとの間には果てしなく澄み切った空気が広がります。冬の晴れ間は、夏のそれのようにエネルギーを放出するような晴れ間ではないものの、どこまでもじんわりと、幸せという見えないオーラのようなものを地上まで届けてくれる静かな包容力があります。

陽光は、限りなく透明の空気を通過して白く柔らかく降り注ぎます。緑から茶色に変化した木々、落ち葉が積もったコンクリート、あるいは雪が積もっているところもあるでしょうが、徐々に彩度を落としていく街の中で、真っ白のコートはそこに広がる空気と合わさり、混じり、そしてそこに溶けこんでいくのでしょう。色彩を欠いた世界では、ものは白か黒かのどちらかに近づいていくもので、黒は暗さを、白は明るい光を含みます。

明るい光の満ちた白の安心感と温かさは大きく腕を広げて私たちを包み込んでくれるようです。その頼りがいある姿に、私たちはきっと、つい身を委ねてしまうことでしょう。どんな色を纏っていても、どんなところに向かおうとも、あるいはどんなに心が暗くても、安心できる頼もしい相棒が一人いれば、きっと大丈夫だと、そう思えるような存在です。

白のコートには、黒のコートにはないそんな魅力が詰まっています。どんな素材でできていて、どんな形をしていても、白のコートは白のコートとしての不思議な力を持っているはずです。そして何より、色を持たない白は、ここからどんな色にも染まりどんな色にも変化し、どんな色とも仲良く手を取り合うことができます。(守屋)

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人間的な時間を意識することで見えるもの

Phlannèl / Arles Wool Tweed Gown Coat / ¥96,800

ギリシャ語において、時間を表す単語にはクロノスChronosとカイロスKairosという2つの単語が存在するのだということを私は最近知りました。クロノスとは一定の速度で一方向にのみ進んでいく、いわゆる時計的な時間を指します。一方でカイロスとは、出来事の連続性や重なりによる時間、主観的な時間を指します。

例えば、明るい時間から楽しく友人とお酒を飲み交わしていると一瞬で夜がやってきてしまうことや、退屈な講義が永遠に長く感じられる時間のことです。カイロス時間は人間時間であり、その長さは感じる人によって自由に伸び縮みします。

私たちは主に仕事において、人によっては生活全体において非常に効率を好んで現代を生きています。いかに一定時間にたくさんのタスクをこなせるか、いかに無駄を省いて必要なことに専念できるか、ということを常に考えて生活しています。かと思えば自分以外のことには非効率をとても好む側面もあります。一針一針丁寧に縫われた手仕事の生きる洋服に価値を見出し、工場生産ではない、顔のわかる誰かが作った温かい料理に幸せを噛み締めながらお腹を満たします。

どちらが良い、悪いの問題ではありませんが、無意識に生きていると世の中はクロノス的時間軸で進んでいき、本当に自分が豊に感じられることや幸せを見出すきっかけを失いかねません。意識的に目を向けるべきはカイロス的時間。バスケットボールの試合中、シュートをするために飛び上がった一瞬は、本人にとっては全てがスローモーションに見え、相手の動きも、ボールの動きも、そして自分の体もコマ送りに見えるときがありますが、そんな一瞬を見るように、私たちの生活を囲む環境の一つ一つをゆっくり見つめてみることも、時には大切なのではないでしょうか。(守屋)

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快適以上

COMOLI / Sheep Skin Flight Jacket / ¥264,000

近年のファッションの潮流としては快適性、機能性を追求したデザインや素材使いが主としてあるのではないでしょうか。それだけが全てではなく、快適でなおかつ美しく見えるとか、心地良くてなおかつオケージョンにも対応できるデザインであるなどアプローチは数多あれどものごとの軸足として強く存在している価値観かと思います。

快適以上のものが存在するでしょうか。心地よさを突き詰めた服以上に“良い服”というのはあるでしょうか。袖を通した時、手に触れた時に気持ち良さを感じる服がもたらす幸福度はおそらく、着ることで気分が高まるような類の洋服以上に生理的な階層においての、人間のかなり根本的な心地よさへと繋がるものだと感じます。

着心地さえよければ通念スウェットでいいのかといえばもちろんそんなことはなく、季節に応じた素材使いの洋服を、作りのいいものや作り手の理念のある洋服を着たいものですが、それでもやはり快適性には抗いきれません。COMOLIのシープスキンジャケットにひとたび手を伸ばしたならば、私たちは心の底から、身体の軸のさらに芯の部分から湧き上がる幸福感を感じることができます。

ひとたびそれに体を預けたならば、幸福感は身体中に満ち満ちていくでしょう。なんとも言いえないじんわりとたしかな暖かさを肌に感じながら、快適性に勝るものはないのだと、つい口から言葉がもれてしまうはずです。(守屋)

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楚々

SOSO / REBUILD SWEAT / ¥22,000

新レーベルSOSOの語源は“楚々”。清らかで美しいさま、可憐でたおやかなさまを表す言葉で、そのような人をイメージしたものづくりをしています。さらに、“楚”ということばの語源を調べてみると、『いばらしば、また草木の茂みの根の張ったところをいう』(常用字解 p389『礎』解説より)、あるいは茨や人参木という中国を原産とする低木そのものを指すのだそうです。茨や人参木は夏頃、小さな淡い色をした花を咲かせるので、その様を表し“楚々”ということばが生まれたとも言われています。

特に茨はバラ科の植物ですが、他の一般的な薔薇と違い幾重にも重なる花弁を持たないため華やかさがなく、静かで控えめな印象を持ちますが、茂る緑の草の中に姿を見せる白い小さな花たちの姿は、鮮やかではないものの持つ強さをたたえた美しさがあることを教えてくれるようです。

ちなみに、いばら(草木の茂みの根の張ったところ)に建物の柱の土台となる石(礎石)が置かれるさまから“礎”という文字が生まれたのだそうです。礎石そのものの意味から、“礎”という文字はそのまま、あらゆる物事の土台や基礎という意味を持ちます。楚が石を得て礎になる様子は、デザイナーがトラッドというファッションのベースを得て自身のものづくりの礎を築いたことに通ずるようで非常に面白さを感じました。

美しさというものは、時代によって多様に変化していく概念であるがゆえ、清楚なさまが美しさとされたり、豪華なさまが美しさとされたり、力強さこそ美しさとされたり、一概に捉えることができないものであると思います。現代においては一方的に押し付けられる『一般的な美』というものはあくまで商業的な美であるにすぎず、本当に美しいものというのは、美しいものを美しいと感じる人々の心にあるはずです。あくまでその美しさの一側面として、楚々があるのではないかと思います。(守屋)

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