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リネンのシャツ

OLDMAN'S TAILOR / DOUBLE POCKET SHIRTS GREEN CHECK / ¥35,200

まだ洋服に興味が湧き始めたばかりの頃は、リネンシャツというのは大人の洋服だと思っていました。少なからず今でもその思いは持ち合わせており、洗い晒しの自然体な表情や、何度も水を通した事による落ち感ととろみの増した風合いは、なかなか若い自分には似合わないものだと思い、どちらかといえば敬遠していたかもしれません。

年齢が伴わないうちに着ようとすると何故だかだらしなく見えたり、大人びるどころか老けて見えたりするものがありますが、それが不思議と、自分自身が年を重ねたときに袖を通してみると、自然なシワ感のあるリネンのシャツやワンピースは上品で穏やかな印象をもたらしてくれたり、着古した素材の風合いはもうひとつの肌のように自分自身になじみます。

真っ白でない、コットンやリネンの素材の色を残した白いシャツやカットソーも同じように、若かった自分にはどうしても着こなすことができなかったはずなのに、いつしかそれを自分の中の余白のように洋服に取り入れることができるようになっていました。それは、年齢を重ねた人の肌の質感、目の色、体格、そして洋服を着続けてきた経験からなる言葉にできないオーラのようなものが、その変化をもたらしているのだろうと思います。

お世辞にも綺麗とは言い難い古着のアイテムをあれもこれもと盛り込んでファッションを楽しんでいた若い時の着こなしは、それはもちろんその時にしか表現できなかった自分であり、その時の自分でしか似合うことがなかった着こなしなのでしょうが、それを経た今だからこそ、リネンのシャツが似合うような自分になれているのかもしれません。そんな、自分の年齢や成長を測るアイテムのひとつが、私にとってはリネンのシャツです。(守屋)

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せっかくだから、という気持ち

elsa esturgie / elipse / ¥39,600

今日と同じ明日は来ないから、今日という日を精一杯に生きよう、精一杯に楽しもうと思うと、食事のひとつひとつ、着るもの、会う人、朝起きる時間もベッドで過ごす時間も少しでも満足いくものやことを選んでいたいとどうしても欲張りな私は考えます。せっかく今日という日を生きる私のエネルギーになるのだから、せっかく私といういきものを作る要素になるのだから、良質なものを、そして美味しいものを食事にとりたいという欲が働きます。

せっかく限られた時間に服を着るのだから、せっかく今日は晴れているのだから、心踊る洋服に、お気に入りの洋服に身を包みたいという欲が働きます。そんな私の時間は限られているので、少しでも自分が会いたい人のために時間を使いたいし、せっかく使った時間はより良いものになるように、全力でその目の前にある仕事や遊びやあるいは“無”に向かい合いたいという熱が自分の内から湧き出てきます。

せっかく1日を全力で生きたし楽しんだのだから、明日の自分もこうであれるように良い睡眠をとりたいし、今日の自分より明日の自分が少しでも大きくなっていられるよう、寝る前の時間に本を読んで少なからずの知識や経験や知恵を取り込もうとする往生際の悪さが1日の終わりに露呈します。そしてそんなことをしているうちにやってくる自然な睡魔によって明日の自分へと、今日の私は向かいます。

せっかくだから自分らしくないものではなくて、心躍る服を着ようとする気持ちとともに、ここに列挙した全てのシーンで、自分の身を包むものというのはその時の自分の気持ちを鼓舞するものでもあります。寝るときに着るパジャマでさえも、その時の自分の心をコントロールする大切な要因の一つです。1日のほとんどの時間を洋服は私たちを包んでいますが、その役割はきっと身を隠したり守ったりするためだけではないはずです。(守屋)

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どこからきてどこへ向かうのか

PHLANNÈL SOL / Summer Smock Gather Dress / ¥35,200

ある一定のレベル以上の日本製ブランドの大半にとって、高品質の素材を用いてものづくりをしているということはもはや当たり前となりつつあります。以前はそれほどまでに品質に拘ることや、それをわざわざ消費者に伝えることが必須ではなく、消費者もそれらの情報よりもまずは見た目の美しさやトレンド感、心躍るか否かのファーストインプレッションに体重をかけてものを見ていたように思います。

形はごくシンプルだからこそ、それをずっと長く愛することが出来るし飽きずに持ち続けることが出来るという、それまでの流れとは異なるものづくりのブランドが誕生した時、そこには「長期間の着用に耐えうる品質」であることが避けることのできないミッションとして同時に立ちはだかったのだと思います。そのミッションをクリアしたからこその、他の追従を許さないクオリティの商品は、ただ消費者に見てもらうだけではその言わんとすることがなかなか伝わりづらかったのでしょう。

ひとたびそうした商品クオリティに関する情報が開示されたならば、消費者はその素晴らしさにもちろん気づき、安価で消化するだけのものにも自然と違和感を覚えるようになり、一定以上のクオリティを求める消費動向が生まれていったように思います。作り手が正しいと思うものづくりを行い、そこから消費者は学び取り、自らの購買行動において正しいと思うものを選び取っていく、というのはごく自然発生的な流れです。

今ではそれが当たり前になってしまったからこそ、真実がなくクオリティを謳うものも決してないとは言えなくなりました。ただ耳触りのいい言葉だけ並べ、目に入りやすい写真を撮り、それがあたかも正しいように見せることは、決して一言で悪だと片付けられませんし、苦し紛れの販売促進活動なのかもしれません。それが街中にたくさんあることを肝に銘じながら、心に刺さった言葉や写真や商品が、本当にどこからきてどこへ向かおうとしているのかということまで、知ろう、学ぼうとすることを私たちは続けなければなりません。それが、自分が応援したいものづくりや好きなブランドを正しく支援する方法です。(守屋)

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ある要素の新しい役割

Scye for BLOOM&BRANCH / Striped Cotton Popline Grandad Pullover H/S Shirt / ¥30,800

そもそもクレリックシャツというのは実用性から生まれたデザインであるそうなのですが、“ブルーストライプポプリン素材のクレリックシャツ”と聞くと、言葉だけで破壊力抜群の爽やかさを持ち合わせており、これこそ夏の一着だと思わせてくれます。

一見するとクラシックでトラッドな雰囲気の素材を用いていながら、サイジングと丈の長さによって生まれたアンバランスさがカジュアルで適度なリラックス感をもたらしてくれる不思議な一着です。クレリックシャツはカフスももちろん白地に切り替えられているものですが、5分袖の先には見えるはずの白が見えません。襟元だけに、その爽やかさを携えています。

以前に、『白いカットソーが襟元からのぞくことで抜け感というのは生まれる。シャツの襟元から素肌がのぞくことではそれは叶わない』といったことをディレクターがBLOOM&BRANCH JOURNAL内で語っていました。このシャツにおいて、クレリックの襟元はシャツ襟という役割ではなくて、そのインナーの白いカットソーのような役目を果たしてスタイリングを完成させてくれるのだと感じさせられました。

歴史的に見るこのシャツの成り立ちにおいても、素材においても縫製ももちろんどこにも抜け感の要素のない一着のシャツの襟元の、白という一つの色だけが、唯一の抜ける印象を作り出しています。元々そんな役割はさながらなかったはずなのですが、バランス一つで新しい役割を果たす要素がありました。視点を一つ変えるだけで、実はどこにでも、新しさは作り出せるのかもしれません。要素一つひとつを分解して解像度を上げてものごとを見つめて見るいいきっかけになりそうです。(守屋)

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刺激と感性

KIJI / MENS PULLOVER SHIRT / ¥22,000

若者がものを買わなくなったと言われて久しく、近頃はより一層、何か新しいものを一つ手に取りそれに代金を支払うその一つの行為に意味を求められるようになりました。それによって消費行動は以前にもまして消極的になったと言っても過言では無いかもしれません。

たくさん消費することを善とする考え方は資本主義経済においては避けては通れぬ思想であり背骨のような存在であるからこそ、これまで私たちはより多くのものを買い、それに代金を支払い、お金という概念を循環させることになんの疑いも持っていませんでした。今、より多くを消費する行為に疑問符がつけられる中、それでも世に生まれてくるものには、その横並びにある「いまあたらしく出てきたもの」以外の、この世に存在する全てのものと比較される土俵に上がることが必然になり、そこで軍配が上がらなければもちろん人々からの支持は受けることができません。

世にある全てのものの中でどれが最も美しいのか、どれが最も心地よいのか、どれが最も自分に必要なのか。大衆の意見に動かされる時代から自分の心の機微をいかに察知してものを選び取るかという選択のセンスが必要になっています。ものを買わなくなったからと言って人々の感性は落ち込むのではなく、そればかりかますますの鋭さを要するのです。

判断力を高めるため、そしてそれを鈍らせず常にセンサーを敏感に保っておくためには、日々考え続けること、そして日々新たな刺激を適度に取り込むことが必要です。それはもちろんお金を払ってものを買ってこそ磨かれるものもありますし、ただ多くのものに五感で触れることだけでも研ぎ澄まされることもあります。マンネリの上にあぐらをかくことをやめて自分の感性が喜ぶものを探しに行きませんか。(守屋)

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同じものを違うように

PHLANNÈL SOL / Light Suvin Cotton French-sleeve T-shirt / ¥12,100

一着の洋服を長く着続けることは一つの良識であり、変わらず同じものが好きでいられることは、変わらない信念や価値観を持った変わらない自分がいるということで、それもまた一つの美学があると言えます。お気に入りのシンプルなTシャツは、いつもどんな時も心を穏やかにしてくれ、つい手が伸びてしまうからこそ、去年買ったものを今年も買い足しておきたいと考える人は決して少なくないでしょう。

そしてずっと同じものを着続けていたいと思うと、そこには不思議とアンビバレントな感情が湧き上がってきませんか。去年同じTシャツを今年も着るのが楽しみな反面、去年それを着ていた自分とは少し変化していたいと、そうは思いませんか。変わらないことは善ですが、人は少なくとも生きている限り一つ歳を重ねますし、それによって体型も変化します。一年前の自分よりは確実に多くのことを経験しているからこそ、それによって目つき顔つきが変わることももちろんあります。

より大きな心をもち、より繊細な感性が育ち、より広い視野を得たからこその、去年とは違う今年らしさ、今の自分らしさがきっとあるはずですから、それを素直に身なりに落とし込みたいと思うのはともすればごく自然なことなのでしょう。それが出来てこそ、長くものを持つことでの楽しさも広がりますね。(守屋)

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ウィークエンド・バッグ

dragon / POMPOM DOUBLE JUMP / ¥28,600

大きなバッグが流行っていようと、小さなバッグを皆が持とうと、私は仕事の時にはパソコンや書類を常に持ち歩くので、否応なしに大きめのバッグが必須です。同じように、小さな子供と出かける母親は常に大きなバッグに子供の荷物を詰め込んでいる必要があるので、常に容量の大きなバッグが欠かせないパートナーになるのでしょう。

小さなバッグを片手に、サブバッグには大きい荷物を詰めて仕事に出ることもあります。小さなバッグは休みの日のためだけのものではありませんが、それでも、大きなバッグを持たずに、お財布や携帯やコンパクトなポーチと、簡単な文庫本だけをバッグに入れて出かけることができるのは大抵休日で、そんな日は現実的物質的にも、精神的にも解き放たれた自由さを感じさせられるものです。

リラックスして品良く着られるドレスをさらっと纏って、このバッグをさっと片手にサンダルで、オープンエアーな近所のカフェでコーヒーを飲んだり、公園に行って自然の香りの中読書をしたり、そして夕飯の買い出しをして帰路に着く。重いバッグから開放されただけで、そんな時間がより一層贅沢なものに感じられます。心の切替スイッチは人それぞれだと思いますが、私はそんな些細な小物の変化によって、ばちんと、より大きな音を立ててスイッチが切り替わっているのかもしれません。(守屋)

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ヒールシューズが履けないとか、スニーカーが好きじゃないとか

BEAUTIFUL SHOES / SHALLOW / ¥46,200

オフィスで働く女性はヒールシューズを履いていることがこれまでは多かったですが、その名残で、今でも女性はヒールを履いているべきだとされる声も多いのだと聞きました。女性らしさの象徴の一つともされるヒール靴は、足を美しく見せてくれる反面、やはりどうしても足を痛めてしまう原因にもなりますし、どうしても履けない、履きたくないと感じる女性も少なくはないでしょう。

もちろん、そんなシューズが好きな女性にとってはそれを履く自分が美しさを携えたようで気分が上がったり気持ちが引き締まったり、ヒールシューズを履くことと脱ぐことで仕事のオンオフを切り替えられたりもします。どちらが良い悪いではなく、それは全て好みの問題であり、選択の権限は全て着用者にありそれは全てが自由です。

いつどんな時でもスニーカーを履いていたい人、コンフォートな靴を選びたい人、子供の世代にも残せる作りのいい靴を修理しながら大切に履きたい人。靴選びの軸は実に様々で、それは時流や用途を超えたところにすら存在します。誰にでもちょうどいい靴というのはなかなかないのが現実です。

コンフォートな履き心地で見た目も美しく、着用者の足も美しく見せてくれ、精巧な作りで修理も出来て長持ちし、どんなスタイリングにも合う、そんな万能選手はどこかにいるでしょうか。そして、そんなバランスの取れた一足はどんな人に求められるのでしょうか。強い個性や要望のない多くの人の狭間で、そんな一足は、実は静かに存在し輝いて、求める誰かを待っています。(守屋)

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アーバンとアウトドアを行き来する

KAPTAIN SUNSHINE / 43 Fatigue Denim Trousers / ¥38,500

都会でハイスペックなアウトドアウェアを着ている人を見るようになったのはいつ頃からでしょうか。スポーティーなムードがハイブランドのコレクションに見られるようになり、アーバンアウトドアウェアなる言葉も生まれ、都会的で洗練されていながら過酷な状況への耐性が充分に備わった洋服は、ファッションアイテムの一つとして市民権を得ていきました。

アーバンアウトドアウェアの持つ都会性は、それまでアウトドアウェアに多用されてきたカラーリングを排除し、シックなモノトーンやアースカラーで構築され、そして肝心な動きやすさは緩やかな可動域を考慮したパターンではなく伸縮性のある素材を使うことで担保されています。要するにアウトドアウェアらしい大きなシルエットではなく細身で、すっきりとした印象を持つものです。

KAPTAIN SUNSHINEの洋服にも、どこかアーバンとアウトドアを行き来するような、都会的な印象も自然やスポーティーな印象も感じるのですが、それは不思議と前出のアーバンアウトドアウェアとは異なるものです。その都会性は、古いアウトドアウェアやワークウェアのデザインを踏襲しているからこそ醸し出されるものであり、そしてアウトドアでは使わない上質な素材感によって表出するものです。アウトドアの要素はもちろんデザインから感じ取られるわけですが、それがどうしてか今っぽくなく、急いでいない時間の流れを感じるようで。それが特異な都会性とハイスペックなアウトドアウェアのちょうど中間をすり抜けるようなバランス感を持っています。

BLOOM&BRANCH JOURNALの取材の際に、クラシックアウトドア、古いものが好きと楽しそうに語っていたデザイナーの児島さんの作るものには、"かつてのアウトドアウェアらしさ"によって都会的な雰囲気が生み出されるという一見矛盾するような楽しさがふんだんに盛り込まれているのです。だからこそ、都会も似合うし、海や山も似合ってしまう、そんなバランスは新しいアーバンアウトドアウェアのようです。(守屋)

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慣れと距離を置く

Phlannèl / Cotton Silk Khadi Shirt Dress / ¥39,600

特に仕事において、慣れというのは最も危険で避けるべきだと私が考えているものです。どんな単純作業やルーティンワークであっても、慣れてしまい考えなくなった時、その仕事一つひとつの仕事の意味や自分がその仕事に関わっていること自体の意味さえもなくなっていくような気がしています。

毎日の通勤通学の道のりや、毎日のコーディネートや、パートナーや友人とのコミュニケーションも同じことで、慣れてしまうとその毎日がありふれたものに感じてしまうし、「またこれか」というその気持ちは日々楽しむことの活力さえ、自分自身で削いでいくことになりかねません。

また今日も同じスタイリングになってしまった、と思う中で、決して新しい洋服が必要な訳でも、一発逆転的な個性溢れる一着が必要な訳でもありません。それは単に自分の視点の問題なのです。ありふれた、着慣れた洋服一着でも、視点を変えて見ると今まで見落としていたその一着の魅力が見つかるかもしれない。

歩き慣れた帰り道をいつもと違う道に変えてみたり、いつもの帰り道の中でも普段目を向けない並木や道路や人々の行き交う姿に目を向けてみたり。ちょっとした視点の変化で日々の慣れから遠いところに自分を置いておきたいものですね。(守屋)

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たかがTシャツ1枚でも

NICENESS / BERNARD / NN Vintage T-Shirt / ¥19,800

Tシャツにデニムという一見シンプルなスタイルにこそ、その人らしさやセンスというのは滲み出るものです。無地のTシャツだったとしたらその色、サイズ、ウエストをタックインするか否か、あるいはスカーフや腕時計などのアクセサリーをどの程度つけるか。細かなセレクトの全てが全体のバランスを決定づけます。

もしそれがプリントTシャツだったとしても同じことで、さらに難しいのはプリントの配色と全体のカラーバランスがどうであるかであったり、あるいはそのTシャツがビンテージなのか新品なのかでも、全く異なる印象を与えるでしょう。ビンテージライクなプリントであったとしても、それが新品のカットソーであれば、素材特有のハリ感や洗練された雰囲気が全体をきれいにまとめ上げてくれるでしょう。

一方で本当のビンテージTシャツをきていたとすれば、経年がもたらすヤレた雰囲気や独特の抜け感、肌に馴染んでいる雰囲気は、他の人には全く同じ表現を許さない唯一無二のものとなります。Tシャツにデニムのスタイルだけでなく、セットアップスタイルのインナーに無地のカットソーを合わせるかビンテージTシャツを合わせるか、その選択でも出来上がるスタイルには雲泥の差が現れることは言うまでもありません。

その小さな選択の積み重ねがその人らしいセンスを凝縮した着こなしになりますし、その小さな選択を積み重ねて決まったその日の着こなしには、少なくとも自分だけは、心躍らされているはずです。やってくる毎日を当たり前の毎日にするのか、昨日とは少し違う1日にするのかは、そんな小さなチョイスが変えていくものなのでしょう。(守屋)

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好きなものの話

POOL BY CLASS / Arawak / ¥57,200

ファッション産業は大きなムーブメントを起こしやすいことが長所である反面、その大きなムーブメントは表層的なものに留まってしまうと、それは文化として根付くことはなく、一時の流行として風化してしまう、させてしまうという怖い側面を孕んでいます。どれだけ素晴らしいクリエイションであろうとも、どれだけ貴重なものであろうとも、トレンドという波に過ってのまれてしまったならば、あとは引くのを待つのみとなります。そんな恐ろしいほどの力を持つ「流行」というものは、多数の人の投票によって成り立っているのは言うまでもありません。

ただ、その「好き」という意思表示や投じる一票は、誰かが好きだから「私も好き」であるという類のものが多く、もしかすると「自分だけが好き」だと言い切れる人はほとんどいないのかもしれません。自分が好きだと思うものを列挙していき、その中には人が好きだと言わないものはどれだけあるでしょうか。

ファッションにおいてそのような選択肢があることは、時代遅れとして捉えられることがあるのですが、それはまさに誰にも邪魔されることのない、自分だけの波であり、それを心地良く乗りこなせるのも自分だけなのです。特別な波、そして自分だけの特別なサーフボードを手に入れたときの快感を是非味わってみたいものですね。(守屋)

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考えることを辞めない

OUTIL / MANTEAU PIPILLIN PEPPER & SOLT / ¥83,600

BLOOM&BRANCH JOURNALの取材の際にOUTILデザイナーの宇多さんがおっしゃっていた話ですが、植物を染料として染めると一言で言っても、それが環境負荷になる場合もあるという話がとても心に引っかかっています。オーガニックコットンやエコレザーという言葉も同じように、耳障りがよく罪悪感がないために、多くの人にはそれらの商品を選択することが「正しいこと」として認識されているように思います。

植物で染めるということも、深く考えないでいればとても聞こえはよく、それがあたかもサスティナブルで正しい手段のように感じてしまいます。しかしながら、その方法にも様々あり、環境に大きなインパクトを与えるものもあるのだそうです。しっかりとそれを認識し、方法を模索し、時には利益を度外視してものづくりに励めば、そのインパクトを最小限に抑えながらもクオリティとしては妥協のないものは作り出せるのだろうと思います。

ファッション産業においてサスティナブルを語ることは簡単なことではありませんし、極論を言えばものをこれ以上作らないことが全ての結末なのだとも思う一方で、良きものを残すことや、素晴らしい作り手・技術・産地を守ることはそれと並行して考えるべきことでもあります。ものごとの一側面だけを見ているだけでは出てこない答えはありますし、時として正しいことは反対側から見ると悪にもなり得る。全方向からその正しさを問うという姿勢こそが、今私たちに必要なことなのでしょう。

甘い言葉で正義を振りかざすこともよくないですが、それ以上に、それらを傍観すること、考えを止めること、そして懸命に何かを考えてポーズをとっている人を批判することの方がよほど間違いであるような気がしてしまいます。少なからずとも考えてアクションを起こしたのならば、考えずにただ立ち止まって誰かの揚げ足をとっている人よりは余程前に進んでいると思うのです。その背中を多くの人に見せること、綺麗事を語るだけでなく実際に恥やプライドを捨てて行動を起こして先を行くことが、必要なのではないでしょうか。そんな背中を見せてくれる宇多さんのものづくりには、きっと理屈なしに多くの人が心を揺さぶられているはずです。(守屋)

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裏でも表でも

cantate / SUKA JUMPER / ¥330,000

例えば熱い討論を繰り広げることになった仕事の場や、仲の良い間柄の人との些細な喧嘩のとき、あるいはあまりの楽しさに全てをさらけ出せるほど心を許した食事の席などで、自身でも知り得なかった自分の一面というのを垣間見て、内側に秘めた思いや感情はこんなものがあったのかと驚くことがたまにありませんか。

普段はこんな姿を人に見せることなどなかったのにと思うほどの熱量のこもった感情を抑えきれずに吐露してしまったその時、自分の知らない姿を見た時、これは本来の自分の姿ではなく口から出てきたその言葉は本心ではないのだ、と誰よりも先に自分自身に弁明したい気持ちにかられたことが、誰しもにあるのではないでしょうか。

「表裏のない人」というのは良い人を指し、反対に「表裏のある人」は多くの人に嫌悪されるような声が多くありますが、少からざる人には必ずと言っていいほど「表と裏」はあるもので、時として表に、裏側に隠していた自分が顔を出すことだってあるのです。感情に任せてしまえば裏が途端に表に出ることだってあるのです。

表と裏をエゴによって使い分けるのはやはり首を傾げてしまうところはありますが、表も裏もあって自分だということを自分が受容し、表に見える部分をきれいに保ちたいと努力したりすることは悪いことではありません。時として見え隠れする裏側の自分の声にハッとさせられた時、意外にも自分自身で思いもよらない発見だってあるものです。(守屋)

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オーラを纏えるひと

Cristaseya / JAPANESE TRIPPLE GAUZE PATCHED JACKET / ¥143,00

シャツにジャケット、タイを締めてデニムを合わせ、少し短めの裾から覗くカラーソックスに、ビスポークと思わせるほどその人の足にしゃんと馴染んだ革靴。どこにでもいるような(今は少ないかもしれませんが)王道の着こなしにも関わらずどこか普通じゃない雰囲気がある人を見たことがあるでしょうか。

着こなしで言えば全く面白味があるわけでもないのに、どこか違和感というべきかその人らしいセンスのかけらがどうしてもその姿の中から見つかってしまうような人がいるでしょう。それは年齢や経験によって醸し出されることが多いですし、若い人がそうした着こなしをすると大きな大人は「洋服をわかっていない着方だ」と揶揄したりもするかもしれませんが、若い人にもそういった面白さやその人らしさを上品に持ち合わせている人もたくさんいます。

私が知る、合わせは王道でクラシカルなのにどこか面白さを漂わせるスタイルを得意としたある人は、逆にこういったどこの国にも属さない無国籍な洋服さえも、着こなしだけでイギリスにもアメリカにも出来てしまい、それなのに決して普通に収まらずに目を、会話を楽しませてくれる人です。そんな人が洋服屋であろうとなかろうと、洋服のプロであろうと趣味として楽しむ人であろうと、オーラを纏う力を持ったそんな人の姿が格好良いということには、変わりありませんね。(守屋)

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苦手を好きになる

KIJI / SUNA CHAMBRAY / ¥28,600

KIJIといえば生地と同色のステッチワーク。KIJIといえばコットンテンセルの光沢ある軽やかなデニム生地。という「らしさ」を持たない新作のシャンブレーシリーズが誕生しました。早速ですが、私はシャンブレー、特にウェスタンシャツというものは苦手です。

アメリカのウェスタンシャツの代名詞ともいえるブランドは、かつてプロのカウボーイと契約し、カウボーイのためのウェスタンシャツをデザインしました。誰かのためにデザインされているということは詰まるところデザインの意図が存在するわけで、その一つがタックインするために長めにとられた丈と、少しシェイプを持たせた身幅でした。

プロのカウボーイではなく、現代を生きる私たちにとっては、その長めの丈が時として不便を生み、細めの身幅は不自由を感じさせるものとなります。それはデザインされたもののターゲットが私たちでなかったのでもちろんものの欠陥などではなく、端的にいえば、当たり前の結果です。

四季のある日本で生活する私たちにとっては、着脱できる洋服は便利であり、羽織るためには適度な丈というものがあり、そして一枚着でも羽織でも不自由のない身幅というものが理想ではあります。それをデザインが叶えてくれる、それがKIJIらしさの一つの側面でもあるように私は思います。デニムがカジュアルで苦手な人にも履いてもらえる少し綺麗なデニムや、ウェスタンシャツが苦手な人にも心地良くフィットするウェスタンシャツがあるブランド、それがKIJIです。(守屋)

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それぞれ

Phlannèl / UTO×Phlannèl FRANCE APRON / 15,000+tax

人の生活は千差万別なので、「こんな生活に馴染むように」、「こんなシーンで使ってもらえるように」と生み出される商品は、その目指す姿を消費者によって正しく達成されることはそうないことだと思います。良くも悪くも、予想だにしなかった姿をもって誰かの生活の中に存在していることの方が、きっと多いのでしょう。

陶器のコップはある人にとっては湯呑みであり、ある人にとってはカトラリースタンドとなるように。ランニング用のシューズがある人にとってはファッションアイテムとなるように。今回発売されたワークウェアとしてのエプロンは、もちろんキッチンで使う人もいれば工房で使う人もいるし、毎日洗って清潔に使う人もいれば、汚れるものとしてたくさん汚し、定期的にしか洗濯をしない人もいるでしょう。

腰紐をぎゅっと縛る人、そこにクロスを挟み込む人。胸前部分を折って腰下のエプロンとして使う人もいるでしょう。正解を押し付けるような商品に、否応なくその指定の型にはめ込まれるのが苦手な私にとって、そんなふうに手にした人それぞれが、思い思いの生活の知恵を付け足しながら、ものを生活に馴染ませていく姿を見れたことは非常に幸せなことでした。

SNSでそういった日常はいくらでも切り取られシェアされやすくなったため、その共有はありがたくもある一方で、それぞれの姿には囚われることなく、自分自身の生活に心地よい姿を見出せることができたら良いのではないかと思います。それこそがものの存在する意義であり、私たちがきっと心から幸福や満足を感じる方法でしょう。(守屋)

商品の再入荷に関するお問い合わせはこちらから「お問い合わせボタン」よりお願いいたします。

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服の寿命を考える

KIJI / SHU / 23,000+tax

ファッションが民衆化することによって、洋服の寿命というのは圧倒的に短くなりました。早く、安く生産して届けられるトレンドのアイテムは、言わずもがなトレンドと共に着倒されることもなく捨て去られていきます。トレンドはより瞬発的になり、熱狂はより短期間になり、買い物はますます衝動的になり、そして洋服の寿命はこれでもかと短くなっていきました。

まだデニムがファッションではなかった頃、それは労働者のものであったため、デニムが求められることはいかに長く着られるか、という耐久性でした。ここ数年までファッション産業において、長く着られるかどうか、というのはほとんど考えられておらず、一部のエシカル消費者が考えていたにすぎないことのように思います。長く着られるものである以前に、洋服には、ファッションには、トレンドが求められていたからです。

そんなデニムもファッションアイテムになり、トレンドの形というものが数年おきに切り替わるようになり、その生産には大量の汚染水を伴うことが指摘されていますが、数十年前のデニムを今でも「王道」として多くの人が求める様子はどうでしょう。デニムというアイテムが悪いのではなく、トレンドとして消費するためのファッションアイテムになることが悪いのであって、一着のその洋服が数十年着ることが叶うものなら、それはある意味では正しい姿なのではないでしょうか。(守屋)

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梅の花が咲く頃は

R&D.M.Co- / HICKORY FRONT OPEN DRESS / 72,000+tax

いつものように通り過ぎる公園の片隅で、梅の木がふくふくと膨らむ蕾を抱えており、これからやって来るであろう春の生き生きと希望に満ちた空気をその中にたっぷりと詰め込んでいるのだろうと思って眺めていました。

気がつけばそんな梅の木は見頃というべきほどに美しい花を咲かせており、行き交う人々は一様に足を止め、入国審査を通過するためにパスポートを取り出すかのごとく、皆ポケットからカメラを取り出して梅の木にそれを向けています。季節は平等にやっては来るものの、どうしても縮こまる冬からの開放と包み込むようなその温かさから、春は特別な季節として多くの人が待ちわびているものなのでしょう。

ただ忘れてはいけないことは、春は冬があるからこそこんなにも温かな気持ちにさせてくれるものなのであり、春があり夏が来て、秋を通過して冬が来るからこそ、春は春なのです。冬がなければ、夏も秋もなければ、春は春でもなく、ずっと続く365の連続でしかありません。

暦と実生活との季節の巡り方が乖離し始めて久しいですが、今一度、春たる春を考え、その季節をしっかりと享受したいものです。そのために、私たちができることは何なのでしょう。ただ春を待っているだけでは、いつかやってこなくなってしまうかもしれません。(守屋)

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観察しよう

Christian Wijnants / PARIA / 52,000+tax

商品をオンラインで閲覧したり情報をインターネットで収集したりした後に、そのまま実物を見ずに購買行動に至ることは悪いことでは決してないと私自身は思っています。今の世の中の情勢を踏まえてもなおのこと、出来るだけ人と対面しないことを社会的に求められているのであればそれに従いながら自身の用事を満たす最善の方法だとも思っています。

そんな中での実店舗の存在意義については、勿論議論されて然るべき問題だと思います。オンラインでは叶わない体験があるから。コミュニケーションが取れる、そして知識を教えてくれるスタッフがいるから。色々と店舗の優位性について挙げられますが、私は、店舗で実際にものを手に取ることはつまり、何かを「観察する」ということが出来るという価値を持ち合わせているような気がしています。

出かける時間がないからクイックに買い物ができることがオンラインショッピングにおける利点である反面、出かける時間すら削がれた生活の中で、ゆっくりものを観察するという時間は絶対に取れないでしょうし、そういった時間を大切なものだとも判断しないのでしょう。ものをじっくり観察することで初めて発見される自分自身の視点や、ものの価値はきっとあり、それに気付けることこそ新しい自分の発見や世界の発見や、そしてそれらによる買い物の満足度につながるのではないでしょうか。じっくり観察することで見えてくる新しい世界はきっとあるはずです。レオナルド・ダヴィンチが木を観察してフィボナッチ数列を発見したように。(守屋)

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境界

manuelle guibal / THEME ARZA H TRENCH / 100,000+tax

生活の中には時間の切れ間というようなものがいくつも存在しています。寝ると起きるの間、自宅でのオフモードから通勤電車、そして会社でのオンモード。お風呂でのリラックスタイム、団欒の食卓、そして眠りにつくまでのささやかな読書のひととき。

manuelle guibal / THEME TINO H MAO CHEMISE / 42,000+tax

一つひとつの時間の境目を意識し、一つひとつの塊の時間へ深く没入していくということが、近年では非常に難しくなり、時間と時間の間にデジタルデバイスが介在し、全てを細切れにしていきました。通勤電車という一塊の時間は、SNSで情報収集をする時間となり、そうかと思えばポップアップされたメール受信の情報を見てビジネスメールの返信時間へと変わり、そうかと思えば気になっていた洋服をリサーチし、という具合に、ひとつづきであったはずの時間は、どんどんと細分化されているように感じます。

一つ、何かに深く没入していくという時間が少なくなり、長い時間読書に興じたり、アイディアを練るための脳のストレッチ時間を十分に持てなくなり、気がついたらあの人と会話をし、この人とメールをし、という時間の消費は、長く、そして深い時を過ごすことを難しくしました。

あっちを見てこっちを見て、画面をスクロールしてあれこれタップしているうちに、ただでさえ見分けづらくなった季節の境目を全く気にも留めることなくやり過ごしてしまうのでしょう。意識的に時間の切れ間を少なくしたり、何かに没入したり、顔をあげる努力をしながら、本来気づくべきものや向き合うべき自分の姿というのを、見失わないようにしたいものです。(守屋)

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情緒と道具の間

Le Yucca's / Loafer / 125,000+tax

私を構成する上で欠かすことのできない要素として、軸足を置く土台として、生活というものをこれまでになく強く意識するようになりました。生活を差し置いてでも、仕事で成し遂げたいことがあるとか、生活が苦しくなっても手に入れたい靴があるとか、つまりはそれこそが幸せの形だったわけなのですが、果たしてこれは空想なのではないかと、疑いの目を向ける人は増えたはずです。

毎日安いコンビニのパンを買って空腹をしのぎながら手に入れる十数万円の服や靴は、その物質的価値以上の情緒をもたらす一着や一足となったことは、明らかなる事実であり決してそれを美化したりあるいは後悔することもありませんが、では今の自分も変わらずにその意識で物事を成し遂げたり手に入れたりしたいのでしょうか。

どれだけの情緒的価値を手に入れようとも、生活は私たちの前に横たわり、そして生活とは情緒と道具の間に存在するものだと、現代を生きる私たちは感じているはずなのです。情緒だけの夢物語も、道具だけの修行の日々も、満足ではなく、その間にある、生活というものこそが、私の心を満たし、幸せとは何かを考えさせる機会を与えてくれるもののように感じます。(守屋)

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じっくりと味わうことの幸せ

Phlannèl / Organic Cotton Over Sized Hooded Sweatshirt / 22,000+tax

Phlannèlが目指すのは“並外れた普通”、“最高級の普通”。決してPhlannèlの服に袖を通した人全てをファッショナブルな印象に仕上げてくれることはなく、良くも悪くも、目立つことなく自然に上品な雰囲気を醸し出される程度でしょう。服を纏っている人自身も、急激な気分の高揚があるわけではなく、ちょっとした嬉しさや安心感がある程度のはずです。

例えるならばそれは、白いお砂糖をふんだんに使った甘い甘いケーキと、素材の持つ自然な甘味を活かしてこっくりと仕上げられた栗きんとんの違いのようなものでしょうか。頭の先から足の先まで甘い幸せに包み込まれる白砂糖の魔法は、急激な幸福とともに不足感を同時にもたらします。一方蜂蜜やきび糖のもたらすものはゆるやかな坂を登っていくように訪れる幸せと共にそれが長く長く続く余韻です。

刺激的なものや目を惹くものについ目線を奪われてしまうことの多い昨今ですが、その一瞬の満足や目眩しに翻弄されることなく、自分の生活をより豊かにしてくれるものを、自分の目でしっかりと選ぶことが、長期的な幸福をもたらしてくれるのだと、私は信じています。(守屋)

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同質化ではなく一体化を

Phlannèl / Summer Loop Yarn Collarless Jacket / 48,000+tax

シームレス、ボーダーレス、ジェンダーレス。様々なことやものの境界線が非常に曖昧化されている昨今において絶対的なもの、局地的なスタンスというのは受け入れられづらくなりました。「女性らしい服」が絶対的支持を受けづらくなった一方で、「ジェンダーレスな服」が一定層の支持を得ていることは明白な事実です。

あるいはメンズライクな服を女性があえて纏い、元来女性的とされているアイテムと掛け合わせることで、自分のスタイルのうちに「ジェンダーレス」や「ボーダーレス」を作り出すことも可能ですし、実際にそういったスタイリングの人を街中で散見するようになりました。

物事の中間を取ること、境界をなくすことはフレキシブルで自由な選択を可能にする一方で、両極にあったはずのそれぞれの個というものを潰し、ありとあらゆるものを同質化・均質化させてしまうという可能性もはらんでいます。同質化が決して悪いとは言いませんが、ファッション領域において私が考えることには、やはり同質化されたものは単調で退屈に感じやすいのではないでしょうか。

ふと目に留まる着こなしの人は、決して派手ではなく、ともすると当たり障りのないフラットな服を纏っているかもしれませんが、そこには「個」が潰されることなくしっかりと残っているのではないでしょうか。中間のもの、境目のないもの、均質化されうるものを着るときにこそ、どこかに局地的なものを取り込んだり、あるいは自分という「個」を発揮する必要がありますね。(守屋)

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研ぎ澄ます

児玉美重  露華 52,000+tax / 露華 白 32,000+tax

昨年はこれまでになく、家での食事を意識することを余儀なくされ、更に言うと生活空間そのものを見つめ直すのに絶好の機会を与えられたように思います。空間に花を活けることが新しいルーティンとして日常に加わり、身の周りを整えることがいかに自分の心の整理になるかを改めて認識することになりました。

花を活けることは空間を設えることではなく、花を活けるという行為をもって自身の心を整え、空間に向き合う視点を新しいものにセットし直し、そこに居ることを快く引き受けるための準備をするようなものでしょうか。

食卓に並べる器を選ぶのも同じことでしょう。お世辞にも美味しいとは言えない自分の手料理を少なからず良きものに見せる、見立てるための器としてではなく、その皿を用いて供する食事の場を整えるということへの自分自身の意識づけや、食事を少しでも美味しく楽しいものにしたいという自分自身の向き合い方をセットするようなものではないでしょうか。

水垣 千悦 / ウズ福皿 / 3,000+tax

そんなに難しく考えずとも、自分の感性に引っかかった気に入りの皿や心がときめいた花器や、それに活けるための好みのお花など、心地よいと思えるものに囲まれた空間を用意することは、自分の感覚が常に穏やかに整うための環境整備であり、ささやかなことに美しさを見出す視点を常にフレッシュに保つことができる重要なチューニングのようなものなのではないでしょうか。去年得た新しい感性は忘れず今年も持ち続け、慎ましやかに毎日を過ごしていきたいものです。(守屋)

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月明かりさえも味方にするものたちを見逃さないように

Mimi / HEBE / 48,000+tax

まだ太陽の明かりが微かに残る夕暮れの空に月がぼんやり見えた時、その周りにある雲たちはほんの僅かながらの月明かりに照らされて、雲自らが光を放っているような、くっきりと白い輪郭を持った不思議な雲の姿を浮かび上がらせてくれます。地球を照らす太陽の光は、月に対しても平等に光を与え、そしてその月は、地球やそれを覆う雲たちにも平等に光を与えます。

自然の光は誰にでも平等に降り注ぐこと、そしてその光をどれだけ吸収し受け止め、自らが放つ光の如く活用して自分自身を光り輝かせることができるかは、もちろん受け止める側によっても変わってくるのでしょう。

照らす方向を選択して制限し、必要以上の光を与えて無用にものごとを照らすLEDライトの明かりと異なり、その自然の光の公平性や必然性には人々に無条件の正しさなるものを教えてくれるようにも思います。誰かの意図により導かれる「正しさ」らしきものに惑わされることが多い昨今で、何を指標に正しさを問えば良いのか迷う時、全ての答えはきっと身近なものが教えてくれるのではないかと、私自身は信じています。

意図的に市場原理によって照らされる煌びやかなブランド名に左右されることなく、名もなきファクトリーが立ち上げたブランドや、あるいはブランド名すら持たないクラフトアイテムにさえも、月明かりは僅かな光を与え、本当に力のあるものはその光を存分に反射させながらきらきらと輝くことでしょう。そして私たちはその光を決して見逃してはならないのではないでしょうか。(守屋)

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美しい選択を伴ったプロダクト

COMOLI / Hand Turtle Neck Knit / 82,000+tax

非常なまでの不確実性と不安定性を容認し、それらの包含された世界を常として、今を生きる我々は誰もが予想をし得ない未来に向かって常に様々な選択を迫られています。その選択の正しさは、誰もが知る由もなく、不測の未来がやってきた時に初めて誰かが「やはり違った」と、揚げ足を取ることしかできないのです。

言うなれば決断をしなければならないその一瞬の時に、出せる答えに正解はないのでしょう。そこにはきっと、決断する者の心に「その選択が美しい」と思える意識があること、そしてその選択が「真実である」と胸を張れる正直さでしか、判断の良し悪しを憶測することができないように思います。

「こっちの方がより美しいと思ったから」、「自分が美しいものや世界を生み出せると判断したから」という選択にはきっと、そこに醜さや嫌悪を感じる人は少ないはずです。

そしてそこにある真実味のある選択に人々の心は動かされ、例えそれが来る未来において「誤った判断だった」と決めつけられてしまうものであったとしても、それを取り立てて指摘する愚か者は少ないのではないでしょうか。決断の時、多くの人の心を動かし、納得させ、美しさを共感したのであればそれこそ正義なのではないでしょうか。(守屋)

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繊細さは時として不自由を招くけれど

R.ALAGAN / SIGNET RING ONYX / 45,000+tax

感覚が鈍い方がいいとは決して言えないまでも、繊細な人ほど時として不自由に生きることを強いられる場面の増加というのは、ここ数年その勢いを止めることなくもはや増すばかりではないでしょうか。繊細な人にしか感知できない誰かの機微や空気の流れの移り変わり、距離的には遠く離れた世界のどこかで起こった出来事について、考えなければそれまでですが、何かを感じ取ってしまうことが出来る人は果たしてどこに心の落ち着く場所を求めれば良いのでしょう。

ある程度の鈍さを持つか、“鈍いふり”をして見過ごすことも、ひとつの方法として挙げられるでしょう。あるいは、自らで内に籠る時間や、外をシャットアウトして、今感じてしまったことや考えていることについて、自分一人で他者の意見を無視してじっくり考え、自分に問いかける時間を持つというのもあるいは大切なのかもしれません。

繊細な人ほど生きづらいのかと問いかけてみると、決して鈍い感性の方が得をしたり楽しく生きられるとも言い切れないのですが、それはつまり繊細な感性を持った人に感じ取られたあれこれについて、内に籠もって苦しみながらも出された答えや、出せない答えにもがく様を誰かにぶつける形で表出されるその人の感情などは、やはり多くの人の心を動かす力があるように感じるからです。

その人にしか感じ得なかったこと、見ることのできなかった景色を、その人の心や目を通して擬似体験出来たことへの感動というのはやはり、誰にでも生み出せるものではないなと感じます。そしてその繊細な感性というのは、大小の差やこそあれ誰にでも心のどこかには持っているものなのだと思います。(守屋)

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#15

Cristaseya / WOOL AND CASHMERE RIBBED RAGLAN SWEATER / 85,000+tax

実際にデザイナーが日本を訪れた際に受けたインスピレーションから構成されているというEdition 15。私たち日本人にとっての当たり前の日常の風景が、日本を生活拠点にしていない人の目を通すと非常に非日常的であり違和感があり、面白さや発見があるのだろうということはとても理解出来ますが、それをさらに逆輸入する形で受け取る私たちは、果たしてどのような視点を持ってこれらのアイテムに対峙することが叶うのでしょう。

私たちにとってはいつも変わらぬ空の色、風の香り、湿気。そしてどこにでもある捨てられたビニール傘や、無造作に停められた自転車。店先で、今にも雨に溶けてなくなりそうになりながらどうにか形だけは留めている手書きの張り紙。いつ開くのか判らないシャッターや、朽ちたペンキの色。

普段それらを目にしたところで立ち止まってその存在について思考をするどころか、目にも入っていないのではないかというほどの当たり前が、新しい役割を与えられたかのように写真におさめられているのを見ると、なんとも言い難い矛盾を孕んだ歯痒さや、思いがけず行き違ってしまった時の切ない気持ちになりませんか。

このEditionで生まれたアイテムは、世界中の名だたるショップで取り扱われているでしょうが、それらを世界のファッショナブルな人々が享受することと、日本を拠点に生活を営むファッション好きの私たちが享受するとでは絶対的にそこに生ずるものの意味合いや持ちうる感情は異なるはずです。ほとんどのアイテムがお客様の手に渡っておりますが、手にした人にこそ、是非その感情を教えていただきたいなと思います。(守屋)

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新しい夜

denis colomb / HORO BLANKET NOMAD / 140,000+tax

夜の静けさは人々の眠りや街の眠りそのものであり、朝の微かな温かさは、目覚めと共に温度を上げていく人々の体温そのものであるように感じることがあります。そして柔らかな朝の陽光に包まれて私たちはそれぞれの新しい1日を始めます。

まだ子供の元気な声や誰かが通り過ぎる足音が聞こえない静かな朝の時間というのは、空気の揺れ動くようなエネルギーを感じることが少なく、ぴんと糸を張ったような緊張感すら感じることがあります。一方で同じように空を桃色に染める夕日やその時間の空気は、1日を懸命に生きた人々のエネルギーを吸い込んで大きな振動を起こしているように感じます。

その揺れ動く空気を肌で感じながら、私たちはまた来る新しい夜を、迎えます。冬は日が短く長い夜がありますが、そんな冬の夜には夏とは違った「夜の新しさ」や「何かの始まりの夜」の存在に気づかされます。

新しい夜が始まると、私たちは思い思いの音楽を聴きながら物思いに耽ったり、誰かと食卓を囲んだり、会話を楽しんだり、昨日とは違う自分になれるような本を読んだり映画を観たり、泣いたり笑ったりするのです。光に照らされてきらきらと光る空気や、ぼんやりと浮かび上がる星空の美しさが一層際立つ冬がやってきますね。(守屋)

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