JOURNAL

奥ゆかしく放たれる気品を纏う
– m’s braque

「私がアパレルで働き始めた20代の頃、m’s braqueのジャケットを好きになって、それ以来ほとんど毎シーズン買い足しては毎日のように着ていました。当時はブランドのデザインを松下さんがコラボレーションという形で手掛けていたので“松下さんが作っていたジャケット”という方が正しいかもしれません。当時も、今のm’s braque同様にデッドストックの生地を用いたり、アンティークのボタンなどのパーツを用いたりしていました」。

 

そんな個人的な思い入れがあるm’s braqueとの別注企画で実現した“BLOOM&BRANCHだけのジャケット”。そこにはどんな思いが込められているのでしょうか。

 

「時代の流れもあり、しばらくの間ジャケットを着たい気分から遠ざかっていて、ほとんどジャケットを着ていない時期もありました。数年前からまたジャケットが着たい気分になってきたときに、ジャケットを着るならやっぱり松下さんの作るジャケットがいいなとしみじみ感じて。別注のアイテムをもし企画するならば、それなりに数量を作って少しでも多くの人のもとに届けられるようにしなければ意味がないと思っていた中で、今シーズンは店舗も増え、そういった意味でもいいタイミングかなと思い、念願叶って今回ようやく実現しました」。

 

 

「今回使わせていただいた生地は二種類で、ウールツイードとウールカルゼ。どちらもパリで松下さん自身が探して下さったデッドストックの生地を用いています。そういった素材使いやパーツ使いの妙が、m’s braqueを語る上で外せない個性の一つ。パリには、メゾンブランドが使いきれなかった生地を売っている生地屋さんがいくつかあって、そういう古いものの雰囲気の良さ、独特の感性が反映された生地の表情の豊富さは、日本にはないパリという場所ならではの魅力です」。

 

 

「ツイードの方は、甘い編み生地で手織りライクに作られているものです。高貴な雰囲気の中にイギリスのツイードのような素朴な表情もありとても奥深く魅力の生地です。ウールカルゼのほうは、名の通りウールを使っている生地なのですが、コットンのようなハリのある表情がワークウェアみたいでもあり、すごくBLOOM&BRANCHらしいなと思い使わせていただくことにしました」。

 

 

はじめて手にしたm’s braqueのジャケットはコンパクトでよりフォーマルな雰囲気のジャケットだったようですが、今回はややカジュアルともとれるチャイナジャケットのデザインを採用しています。その理由はどこにあるのでしょう。

 

「普通のノーカラージャケットとかテーラードジャケットも悩んだんですが、今シーズンはチャイナジャケットがインラインで展開されていなかったので、そういったm’s braqueの真骨頂のようなアイテムを別注するのがいいかなと思ったのがまず一つの理由です。もうひとつは、テーラードやノーカラーのかっちりしたジャケットよりも、カジュアルなスタイリングに取り入れながら、普段使いして、たくさんの方に着ていただきたいなと思ったので、そういったスタイリングによりマッチするチャイナのデザインを選びました」。

 

「ウールカルゼの方はセットアップのトラウザーも制作していただきました。こちらもドレスライクなウール素材で毎シーズン展開していたモデルなんですが、私自身がとても気に入って履いているモデルです。それをウールカルゼのような生地で作ることで、古着のオーバーパンツを履いているような少しカジュアルな雰囲気をプラス出来たらいいなと思って制作しました。通常展開サイズより1サイズ小さいものから作ったので、これまでサイズが合わずに諦めてこられた方にもおすすめです。こちらも、単品で重宝するアイテムですが、m’s braqueがお好きな方や、お洋服が好きな方には是非セットアップでトライしてもらいたいです。もちろん、ジャケット単体、トラウザー単体で自分らしいスタイリングに取り入れて、日々の装いにプラスしていただけたら嬉しいですね」。

 

 

そんなアイテムを今中出さんが自分らしく着こなすとしたら、どんな装いになりそうでしょうか。

 

「ビンテージのドレスシャツや、コットンのふわりとした柔らかな雰囲気のワンピースなど、少し女性らしいアイテムに、上手くメンズライクなエッセンスを加えてくれるアイテムだと思います。着てみると丈もそこまで長くなく、決してオーバーサイズで作っているわけではないので、インナーのシャツの裾を出してもバランスが取りやすくなるようになっていると思います。
あとは一枚仕立てにしているので、真冬にはアウターのインに着て、もう少しシャツ感覚でコーディネートしても楽しいのではないでしょうか。私だったら、長めの着丈のシャツにさらっと羽織って、ボトムスはデニムにシューズはLe Yucca’sを合わせたいですね。Le Yucca’sのデザイナーの村瀬さんもm’s braqueの洋服を好んで着ていますし、昔二つのブランドはパリで一緒に展示会をやっていたりもしたので世界観がとてもマッチしていてアイテム同士も相性がいいんですよ」。

 

 

「男性が女性服をデザインするブランドはたくさんありますが、その中でもm’s braqueの服にはエレガンスや艶っぽさとはまた違った、上品な大人の色気があると思っていて、それが唯一無二の魅力だと感じています。色っぽいと言っても決して女性らしい色っぽさではなく、なんとなく男性の色気のようなものを感じるのですが、それがイタリアブランドなどの分かりやすい艶のあるものでもなくて、奥の方で、鈍くはあるけれどしっかり光っていて、静かにその光を外にじわじわ放っているような。フランスのビンテージ、アンティークにある、決して艶々としていないものの持つ色気と似ています。さすが、フランスの空気をしっかりと纏っているブランドだな、と思います」。

 

 

 

photo : Ryuhei Komura

text : Yukina Moriya