JOURNAL

アメリカとイギリス
国境を超えて、いいもの(後編)
- Barbour

「このFILSON、めちゃくちゃ重いですね。結構古いものですか?」
「いや、当時の新品を買ったので、そんなに古くはないんです。2002年くらいの当時のものですね。とりあえず最初べたべたがすごくてとにかく重くて、硬くて、着るのも大変でした。久しぶりに引っ張り出しましたけど、その時のレシートとかポケットに入ってないか今さらひやひやしてます。」

 

そんな会話から始まった今回のJOURNALでは、日本でBarbourの販売を行うスープリームス インコーポレーテッドの佐々木悠平さんをお招きして、ディレクターの柿本・中出とともに、今回リリースとなる新たな別注アイテムについてお話しいただきました。前編に続く後編では、BLOOM&BRANCHとして取り組む別注アイテムとしてどうしても譲れなかったポイントについて、お話ししています。

 

 

 

個人的な拘りは、
決して妥協はしない

 

 

「今回の別注はユニセックスモデルを作ろうという企画で進行していたので、男女で着やすいように調整しつつも、特に女性がビッグサイズで着てもオーバーすぎない綺麗なバランスに仕上げることに気をつけました。BLOOM&BRANCHのスタッフで、企画会議中に会えたスタッフにはほとんど全員にフィッティングしてもらったかもしれないです。慎重にデザインを改良しながら、肩の傾斜がどんな人が着ても綺麗におさまるように調整しました。その肩の部分から袖へと繋がるシルエットも、ベストなバランスになるよう注意して調整しました」(中出)

 

「アームホールの太さはポイントですね。元のデザインでもボリュームがありましたが、そこから更に太くしています。それもあって、クラシックなデザインではあるんだけど実際に身体を入れてみると現代っぽさをしっかり感じられるようになっているはずです。古く見えない、という部分は結構大事にしました。実際物を見ていただくと分かると思いますが、ヨークの作りはどうなってるんだろう?なんで袖が二重なんだろう?みたいに観察したくなってしまうディティールになっているので、デザインソースを知らない人から見ても、これはすごく興味を持ってもらえたり、単純に格好良いと感じてもらえると思います」(柿本)

 

 

更に着こなしの面においてもそれぞれの拘りがあり、そのどれをも叶えてくれるのがBarbourの魅力だと話します。
「僕は他のコートも全部そうなんですが、アウターのボタンは一番上まで絶対に閉めたいんです。チンストラップがあればそこまで全部です。今回のジャケットももちろんそれは考えていて、上まで閉めると襟が大きすぎないのでちょうど良く首にコーデュロイが当たるので本当にあったかいです。保温性自体も高いと思います。女性はこうやって着たりしますか?」(柿本)

 

「女性でも上まできゅっと閉めて、その上からストールを巻いたりすると素敵だと思いますよ。そういった着こなしの人もよく見かけます」(中出)

 

「僕は逆に、マフラーとかストールが苦手なんです。そういったものは出来るだけしたくないんですが、Barbourの良いところは上までしっかり閉められること、それによって風を防げるので相当温かくてマフラーいらずというところです。機能的だな、と思います。着る人が好きなように着こなし方を選べるので良いなと思います」(佐々木)

 

ワックスの素材であれば保温性は言うまでもなく、東京の冬であればインナーダウンやライナーを合わせて問題なく過ごせてしまうほどでしょう。近年はビンテージ好きの男性をはじめ、若い世代の人にも改めてBarbourが注目されているとも耳にします。

 

「Barbourのフラッグシップストアは全国に9店舗あるのですが、その中でも一番古いのが渋谷店です。渋谷のお店は開店当初はそれこそ40代の男性のお客様がメインだったと思いますが、今では20代のお客様が一番多いかもしれないです。女性のお客様も増えていて、女性がメンズアイテムを買うこと自体が増えている印象です。着こなし方やサイズ選びしかり、トレンド的にそういった傾向が強いのかもしれません。“SPEY(スペイ)”というフィッシング用の短いジャケットがあるのですが、“SPEY”はすごく女性に人気ですね」(佐々木)

 

「BLOOM&BRANCHでも“SPEY”は女性から強く支持されています。Barbourのアイテムはどれも一般的にはメンズっぽく野暮ったい印象になることが多いと思うのですが、“SPEY”は着丈の短さがスカートやドレスにも合わせやすいからでしょう。今回の別注アイテムも、男女ユニセックスのモデルではありますが、レディースサイズの方をイレギュラーのサイズピッチで調整していて、丈感は少しすっきりするように整えました。メンズライクにスラックスやデニムと合わせても素敵だと思いますが、ティアードのスカートやドレスなどに合わせていただくとバランスよく上品に着こなせると思います。身幅も同様に、ルーズにならないようにメンズより少しすっきりとさせています。私は個人的には、袖を大きく折り返してあえて短くした袖からレイヤードしたシャツやニットを見せつつ、チェックをポイントにして着たいなと思っています」(中出)

 

「このタータンチェックも実は世界でBarbourしか使うことが出来ないオリジナルのものなんです。家紋のように、由緒正しいタータンチェック柄は協会に登録されているもので、このBarbourのタータンチェックもそこに登録されています。特別なチェックなんですよ。今回はBlackのものには、通常でもBlackの裏地として用いているものを採用していますが、Beigeの裏地には、中出さんの意向もあり通常Sageの裏地として使うものを採用しています。ザ・バブアーという感じの定番のチェックですね」(佐々木)

 

 

 

日本製という終着点

 

 

「最後になってしまいましたが、BLOOM&BRANCHとして別注の製品を依頼する中でどうしても譲れなかったことが一つあります。それは日本製でこのジャケットを作ること。Barbourってやはり英国ブランドですから英国製のものが主流と思いつつも、今回の素材はワックスコットンではないし、英国生産するものでもないかもしれない、そもそも近年では英国製のジャケットも少ないのではないかと思います。だから今回はイギリスとアメリカのミックスのようなジャケットを、日本で作ってみたい、それが正解なんじゃないかと思っていて、かなり無理を言って日本国内で生産していただきました。普段から別注の製品しかり、国内生産のものってBarbourとして存在するのでしょうか?」(柿本)

 

「無事に出来上がってよかったです。日本の生産背景もありますが、実際に日本製のものはごく一部といったところです。特にアウターウェアの生産はほとんどないので、Barbourとしてはとても珍しいものになったのではと思っています」(佐々木)

 

「途中、僕たちがちゃんと主張できていなくて、国外の工場で進めてもらう流れになっていたところから、無理をいって工場を探し直してもらったりもしましたね。大変なご苦労をおかけしたと思いますが、ここは主張して、そして満足のいく製品が仕上がって本当に良かったと思っています」(柿本)

 

 

 

photo : Ryuhei Komura

text : Yukina Moriya