JOURNAL

心の旅はいつでも自由に
- Cristaseya

大きく様変わりする世の中において、クリエーションへの熱意を失うことなく、自分たちの良いと思えるものを信じ、信念を曲げず、旅に出かけられない中でも心の旅を自由にし続けたCristaseyaのEdition #16がもう間も無くBLOOM&BRANCH店頭にも並びます。そんなコレクションと合わせ、ウィメンズディレクターの中出の心に響いた素材を用いて別注のカフタンドレスを制作していただきました。
世界中のファンを魅了し続けるCristaseyaチームへの特別インタビューと合わせ、今回のJOURNALでは、旅に欠かすことのできないカフタンドレスの魅力や自身の心の旅先について中出がお話しします。

 

 

 

Interview with Cristaseya

 

 

―コロナ禍でクリエーションへの変化はありましたか?また、Edition #16のテーマがあれば教えてください。

 

「Edition #16 は、Edition #6 の拡大版としてスタートし、色々なインスピ―レーションと融合することによって完成しました。例えばYSL 、Out of Africa(邦題『愛と哀しみの果て』)、アガサ・クリスティー、ウッディ・アレン、砂漠や、中東のマラケシュ、エジプト、レバノンなど。私たちの心の中に入っている様々なイメージが、このコロナ禍においても私たちの心の旅を妨げることはありませんでした」

 

 

―今回別注素材として使わせていただきましたコットンシルクのストライプ生地はどのような素材ですか。

 

「この生地は帆に使うヴィンテージコットンと、デミ・シャッペ・シルクを柔らかくエアー仕上げしたもので、Cristaseyaのオリジナルです。手触りはシルク特有のもので、ストライプ柄にとてもマッチします」

 

 

―Cristaseyaの名品ともいえるカフタンドレスですが、元々どのようなイメージで制作されたのですか。

 

「デザイナーのCristanaは、若い頃から旅行する先々でカフタンを買い、愛用しています。特に気に入っているのはアフリカンプリントのものです。また、Cristaseyaの当初からの目標として、自分たちの欲望を時間や時代に縛られない高品質の服に替える、ということがありました。そのためCristinaにとって2013年のEdition#1―Winter Skyで、当時トレンドでもなかったカフタンドレスを、さらには“冬のカフタン”を作ることはごく自然のことでした。カフタンドレスはリラックスを連想させるものであり、程よくエレガントで、休暇でもシティーライフでも自由を感じさせ、夏や旅行に限らず纏えるものです」

 

 

 

 

 

しっかりと筋の通ったクリエーションの魅力

 

 

魅力的なアイテムが揃うEdition #16の中でも特に中出の目を引いたのが、シャツとパンツだったそうです。

 

「Edition #16の始まりになったというEdition #6は、Cristaseyaのクリエーションの中でも私が特に好きな浅いカーキが中心となりながら、ベージュ、グレー、グリーン、といった色合いで織りなされた素敵なコレクションだった記憶が鮮明にあります。そしてアフリカンプリント、ストライプといった柄使い、またカフタンドレスといったアイテムの展開など、夏のCristaseyaらしい要素がたくさん詰まっていました。Edition #16は、Edition #6よりも更にサンドやベージュといったカラーパレットが色濃くなったコレクションでどのアイテムにも心惹かれました。
そんな中、ここ最近の夏はカフタンドレスをはじめとするワンピースが気分でしたが、シャツにパンツを合わせた抜け感のあるマニッシュさが際立つ夏のスタイルも気になってきて、Edition #16のコレクションアイテムからはパンツやシャツを中心にセレクトしました。シャツは毎シーズンセレクトしていましたが、これまでスタイリングとしてはシャツとスカートを合わせたややドレスライクな装いが夏の気分だったところから、ボトムスはきれいめなシルエットのパンツで、ゆるいトラッドさを乗せたいなと。また、今季のコレクションの中ではイージーなパンツよりも、スラックスや裾絞りのシルエットのパンツがとても気分でした」

 

 

「そういったトラッドさのあるスタイルは、これまではCristaseyaの中でも秋冬シーズンに強く感じていたように思います。インタビューの回答にもあったウッディ・アレンのような要素を含み、ゆるめのシルエットのニットにジャケット、パンツを合わせたスタイルなどですね。ただ今年は春夏のスタイルにもそういった要素をより強く感じるようになり、トライしてみたいなと思いました。ナードさがありつつ少しの抜け感があるスタイルは、シャツとパンツの色合わせのバランスやシルエットのバランスが肝になると思います。一筋縄ではいかないスタイルですが、Cristaseyaはそういったスタイルの提案が一歩上手をいくブランドだと思います。そこがとても素敵ですよね」

 

素材の良さ、仕立ての良さなどの品質に対する妥協のない姿勢、そしてそれらを用いて提案されるスタイルまで含めたブランドの表現、その全てにおいて、Cristaseyaのクリエーションにはいつも筋が通っていると思わされるのだと、中出は話します。

 

 

「彼女たちの展示会はいつもアトリエで行われるのですが、自宅に招き入れてくれているようなアットホーム感があります。一方で、商品のレイアウト、フィッティングルーム、そしてアトリエで出してくれるお茶やお菓子は、パリとも違う異国を感じさせてくれ、特別感と高揚感を味わうことができます。そういったプレゼンテーションも、筋の通ったクリエーションと一切の矛盾がないんです。そこまで全てを自らでやりこなせるブランドはなかなかないと思います」

 

 

 

 

自由な心の旅の行き先

 

 

どんな時も心の旅は妨げられることがないと話していたCristaseyaチーム。中出の心の旅は、どこへ向かっていたのでしょう。

 

「今は出張に行けないパリに心の旅をしています。買い付けをしているブランドは、アトリエやショップで展示会をし、直接デザイナーが接客をしてくれるブランドが多いです。そんな信頼している皆さんとやはり顔を合わせたいですし、今この状況でどのように過ごしているのか、どのような考えでクリエーションをしているのか、というのも気になります。
あとは、建築を見ることが好きなので、自宅から近く足を運べるところには出かけたりもしますが、これまで海外や国内で見た建築に想いをめぐらせ、自分の中での空間美を損なわないよう、心の旅をして余白を作るように心がけています。それとともに、建築物の立地や土地との関係性、空間の切り取り方を考えたり、建築には時代背景や経済背景などが反映されていたりするので、そういったことを学びながら、心を旅させています」

 

 

「ル・コルビジェの建築が好きなので、パリ出張の際に時間を作れたときには、気になっている建築を見に行ったりもしていました。展示会のアポイントを可能な限り詰め込んでいるのでなかなか難しい場合がほとんどなのですが、これまで行った中ではパリのラロッシュ邸と、少し足をのばして見に行ったサヴォア邸はとても思い出深く、写真を見返してその時の旅を振り返ります。また、私の地元石川県にある『鈴木大拙館』が元々好きなこともあり、谷口吉生の建築は他にも幾つか見に出かけました。水鏡の庭もそうですが、直線が印象的な建築を、水という要素を用いて自然の中にとても美しく調和させているように感じられてとても好きなんです」

 

ラロッシュ邸

 

サヴォア邸

 

 

 

どんな場所でも心地良く、
そして心は高揚するもの

 

 

パリ出張も叶わない中、送られてきたコレクション資料の中から目に留まった生地を使用し実現した今回の別注ドレス。カフタンドレスは旅にはもちろん、日々の生活の中で肩の力を抜いて着用できる、中出にとって欠かせないアイテムの一つなのだそうです。

 

 

「今回はパリに出張に行けない中でのバイイングとなり非常に難しい経験でしたが、Cristaseyaはとてもきれいに生地をカットしたスワッチを送ってくれました。そんな生地スワッチを見ていて直感的に『素敵だ!』と感じたのが今回別注をお願いしたコットンシルクのストライプ生地でした。ベージュ系の絶妙な色合いのストライプ柄と、少しネップのような凹凸がある表情、そしてシルク特有のなめらかさがありながらもドライな質感がすごく好みでした。そしてこの素材を見ながら、これはカフタンドレスにぴったりの素材だなと思ったんです。
Cristinaがインタビューで答えてくれたように、カフタンドレスはリラクシーなのにエレガンスを併せ持っていて、着用すると高揚感を感じさせてくれます。私自身、外出自粛期間が明けた時にはカフタンドレスを着てよく出かけていましたし、出張など旅に出かけるときにも、大きく畳んでスーツケースに入れて持っていきます。旅先でも、どんな街でも心地良く過ごせるからです。そんな洋服は今の生活にもすごくマッチするアイテムで、この春夏にも絶対にオーダーしたいアイテムの一つでした」

 

 

「このカフタンドレスをはじめ、Cristaseyaの服はどれも高揚感を与えてくれるものでありながら、着心地は肩の力を抜かせてくれる包容力と安心感がありますよね。なので夏はスリッポンシューズやエスパドリーユなど、リラックス感がある足元と相性がいいです。今回のドレスはXXSサイズから制作してもらったので、小柄な方でも着やすい丈バランスになっているのと、今シーズンインラインで買付けさせてもらったようなサンドベージュのパンツをレイヤードしたスタイルなんかも楽しめると思います」

 

 

「世の中は確実に変わっていきますし、どう変わっていくのだろう?と考える事は多いですが、自分の好きなものは、コロナ禍であろうと変わることはありませんでした。環境配慮に関してはより一層考えるようにはなりましたが、ファッション業界においては何がエシカルなのか、正解にたどり着くことは難しい部分がありますよね。今の私は、サスティナブルな素材を使う事だけではなく、未来に残したい洋服やアップサイクルなものに興味があります。ただ、洋服に求めることは、私にとってはずっと変わらず、自由を与えてくれて、心が高揚するものだったり。そして何より、私が私らしくあれるものという本質は変わりません」

 

 

 

photo : Ryuhei Komura

text : Yukina Moriya