JOURNAL

クリエイションへの敬意をいつも忘れないこと
- DIMISSIANOS&MILLER

梅雨入りを迎え目前に迫ってきた夏。高温多湿な日本では、どうしてもカジュアルなアイテムを手に取ることが増える季節です。スタイリングバリエーションも減り、いかに快適に過ごすかということが主要命題になってくる、そんな季節にスタイリングのバランスを整えてくれるアイテムとしてBLOOM&BRANCHに欠かせないサンダルがDIMISSIANOS&MILLER。もともとシューズの作り手である彼らが生み出すサンダルは限りなく革靴に近いサンダル。サンダルの抜け感はありながらも、革靴さながらのドレッシーでエレガントなオーラを携えています。そんなブランドの魅力を、柿本と中出の二人の対談から紐解きます。

 

 

 

 

 

 

DIMISSIANOS&MILLERのアート性

 

 

「今年の別注で制作してもらったウィメンズの新色“Beige”は、これまでで一番DIMISSIANOS&MILLERらしさを感じる色になったね」(柿本)

 

「そうですね。ちょっと紫っぽいというか赤みが奥にありますよね。去年もベージュ系の靴がコレクションにあって、それはもうちょっと赤みが少ないものだったんですが、その色を使って別注のサンダルをオーダーしようと思っていたんです。そうしたら、私が希望したレザーだとちゃんと色が出せるか分からないからオーダーを受けられない、と言われてしまって、去年は結局メンズと同じカラーでオーダーをした経緯がありました。今年もその色が忘れられずにオーダーをしたところ、今回はOKの返事をもらえたのですが、その時とは少し色が変わって届いたんです。予定をしてなかった変化ではありましたが、この表情だったりストーリーがなんだか彼ららしいなと思ってとても気に入っています」(中出)

 

 

「これは、色ブレが起こってしまったというのじゃなくて、彼らのその時のテンションがもたらした結果なんだよね。やっぱり彼らはデザイナーというよりも、ものすごくアーティスト気質だから、これが今一番いいって思っていることを素直にやってくれたんだと思う。本来だったらもう少しこっちの“Cognac”に近い色だったんだろうけど、でも彼らにとって今季だったらよりこんな色がいいよ!っていう提案なんでしょうね(笑)なかなかのアーティストだと思います」(柿本)

 

 

「革も生き物なので、結局去年見ていたものと同じ染めをしても全く同じ色にはならないと思います。そういった意味でも、革本来の風合いというのを、商業的に作り上げるのではなくて、本当の意味でそれを活かして作るというものづくりの姿勢が彼ららしさですよね」(中出)

 

「やっぱり革とその加工が、他のブランドでは見ないDIMISSIANOS&MILLERの独自性。彼らはサンダルメーカーではなくて元々シューズの作り手で、例えば革靴でも木型を削ったり吊り込みをするところも全部自分たちでやっているし、革だって染めるところからやっているんですよ。例えば先日までオーダー会をしたLe Yucca’sのシューズだったら、Le Yucca’sがなめし職人と組んで、彼らにブランドの意向を伝えて、欲しい革を調達するっていう方法をとっているので、それと比べてもやっぱりDIMISSIANOS&MILLERの革はオリジナリティを貫いていて、風合いが他のブランドと全然違います。だからこそ一個一個の個体差もかなりあります。さっき中出さんが革は生き物だと言ってたけど、まさにその言葉通り。有機的で、工芸品のようでありアートでもあるみたいなところが僕にはぐっときました」(柿本)

 

 

 

 

 

ブランドの良さを最大限に活かしながら、
自分たちの価値観との共通点を探る

 

 

ギリシャ西部に位置するコルフ島でものづくりを行うDIMISSIANOS&MILLER。革の加工を担当しているディミッシアーノと、彼がまとめあげる職人によって生み出される独特の風合いに柿本も中出も他にはない魅力を感じたのだそうです。しかし、そんなブランドの表現する世界観が必ずしもBLOOM&BRANCHとは合致する部分が多いわけではないのだと続けます。

 

 

「ディミッシアーノとミラーという二人が作るブランドの世界観はもっとエッジが効いていてモードな雰囲気。クラックレザーを作ったり白い顔料を使って独特のテクスチャーを作ったり、染めにはディミッシアーノのアート性がすごく反映されています。現地に足を運ぶと、シューズのデザインにも本当に様々な種類があるけれど、僕たちが表現したいと思う世界観に合致するものが多いわけではないんですよね。それでも、僕は彼らが表現するものに魅力を感じますし、革が持っている血筋やシワ、手作業でなめすことによるムラ感など、素材そのものの表情を良いものとして製品に落とし込んでいる姿勢だったり、長く履くことで馴染むものであり育てていくことができるという革靴のようなサンダルの姿には、BLOOM&BRANCHが大切にしている理念に合致する思いを見出せます。何より僕自身が、これを履きたいと強く思ったから仕入れたし、初の取り組みのシーズン以降一途にずっと取り扱わせてもらっています」(柿本)

 

「彼らのコレクション自体は大きいので、毎シーズン面白いレザーを使ったものがたくさんあります。トゥが尖ってよりシャープな見た目のシーズンがあったりもしましたし、昔の写真を見せてもらったりするとグリッターみたいなものを使っている時もありましたよ。革を使ってその時の気分を様々に表現しているのだと思いますが、デザインはずっと変えずにやっているものもあります。結局私たちも、モードなものを取り扱いたいわけでもないですし、好きなデザインというのも変わらないので、結局何シーズンも同じデザインをオーダーしてしまっていますよね。選ぶ基準の一つに、BLOOM&BRANCHの洋服に合うかどうかということと、いろんなテイストの洋服に合わせたいというのが私はあるので、使いやすさの観点からも、MULEやDAKTYLOはずっとセレクトしています」(中出)

 

 

「僕も同じ印象ですね。BLOOM&BRANCHの服をイメージしたときに、どのテイストにも合うっていうのが一番大事です。だから、自分たちが好きなテイストにぴったり合致するように、別注などでデザインの細かい部分を調整してもらっている感じかな。メンズの場合MULEの形に関しては、日本人には甲高の人が多くて足入れが難しいと感じることがあったのでアッパーを2cmくらい短く設定してもらって、足入れしやすいようにしてもらっています。DAKTYLOやOMIKLONは、親指のところが太すぎたので、ここも日本人の足に合うようにミリ単位で調整してもらっています。それとこのCognacカラーはBLOOM&BRANCHだけの色出しです」(柿本)

 

 

「メンズもウィメンズも、アッパーはカーフ、ソールはバッファローレザーという組み合わせで、これもBLOOM&BRANCHでカスタムした別注仕様になっています。アウトラインが角が立っているシーズンもあったので、それはやめて丸みを出してもらうようにしているのは、去年から継続してお願いしています」(中出)

 

 

 

 

 

限りなく革靴に近いサンダル
その立ち位置がまさに彼らの真骨頂

 

 

「あと、例えば私が一番好きなこのMULEのデザインのように、革靴ともサンダルともいえるデザインは他のブランドにはない特徴かなと。カジュアルさと上品さが共存する雰囲気が、どんな服にも合わせやすい絶妙なバランスを作ってくれているのかなと思います」(中出)

 

「そうですね。サンダルって消耗品的な側面があると思うし、レザーサンダルっていうとお土産的なものだったり、ハワイを意識するようなビーチサンダルベースのものだったりが多い中で、この革靴っぽさって他にはないなと思いました。そして、普通のシューズブランドが作るともっと綺麗になりすぎてなんだか味気なく感じてしまうところを、このサンダルは作り手のマインドがすごく反映されていますよね。その強さが、履きたい、履いてみようっていう感情を自分にもたらしてくれたように思います」(柿本)

 

 

「Phlannèlみたいなナチュラルな服にも合うし、少し強い服にもあうし、今日私が着ているINJIRIのようなクラフト感のある服にも合うし、幅広く使いやすいかなとは思っています。綺麗すぎても味気ないという柿本さんの意見にも納得で、少し手作り感というか、ちょっとした個性があるからこそ、よりシンプルな洋服が際立ちますし、強いデザインの服にも負けないんだと感じますね」(中出)

 

「レザーサンダルというと日本ではJutta Neumannが市民権を得ていますが、アメリカのブランドでそれだけの人気を得たJutta Neumannのように、そのヨーロッパ版としてDIMISSIANOS&MILLERを僕らはおすすめしたいなと思っています。厳密にいうと全く違うものだと思うけど、でもJutta Neumannがお好きなお客様も実際多いですし、それと比べてこのクラフト感が気に入っていただけて買ってくださっている方も多くいます。両者を比べるわけではないけれど、僕らなりにこのサンダルがいいと感じたことを、より多くの人とシェアしたいです」(柿本)

 

「Jutta Neumannに限らずですが、より歩きやすいようにソールの形状が考えられていたり、ソールにクッションを装着しているものもあり、機能性が優れたレザーサンダルは他にもあると思うんです。でも女性がそういったものを履くと結構ボリュームが出てしまったりゴツく見えてしまいますよね。横幅が広く履き心地がコンフォータブルなものも、やはりその履きやすさと引き換えに見た目がカジュアルになったり、自分たちがいいと思えるバランスにならなかったりして、なかなか悩ましい。DIMISSIANOS&MILLERのサンダルはシンプルなレザーソールですが、その潔さがすっきりした見え方を叶えてくれ、そしてそれだけではないレザーの表情の魅力もあり、唯一無二の立ち位置だなと感じます。ただ、レザーソールはそのままでは滑るので、ハーフラバーは絶対貼った方がいいと思いますよ」(中出)

 

 

 

 

 

いつもの定番を今の気分で

 

 

「私はずっとMULEが好きで履いているんですが、今年は丈感のあるドレスやパンツに、DAKTYLO、OMIKLONを合わせたいなと思っていて、このどちらかが気になります。柿本さんは、例年と感じ方やスタイリングに変化はありそうですか?」(中出)

 

「僕自身は、今年は久々に色物を着ているんですよ、ピンクとかサックスとか、イエローとか。だからそういうトーンに合わせるなら、今年はCognacを合わせたいかな。柔らかい春夏らしい色合いのシャツとか、ライトグレーのパンツとかに合わせたいです。個人的には黒を2足持っていて、やっぱり黒の合わせやすさは捨てがたいですけどね。だけど今年は色の気分が変わりましたね」(柿本)

 

 

「私も黒を持っていて、やっぱり合わせやすさは実感しています。あと私、夏のオールブラックのスタイリングって素敵だと思うんです。そういった時に、きめすぎないでラフに合わせられるのがこのサンダルの良さだなと思っていて、ウィメンズはそういったスタイリングを考えて、Blackカラーのソールの色をメンズと変更して真っ黒にしています。クラフト感が少しだけ抑え気味になり、よりきれいめなドレスなどにも合わせやすいです。レザーサンダルですが、普段から気張らずにラフに履いていただけたら嬉しいなと思っています」(中出)

 

「俺も結構普段からラフに履いています。雨の日に履かないようにするくらい。お手入れも、たまにBrift Hのクリームを塗る程度で、雨の日には履かないけど思いがけず雨が降っちゃった時にちゃんと水を弾いてくれるようにと思って、それをしています。履き方としてはそれこそBIRKENSTOCKとほとんど変わらないけれど、ただこっちの方が断然気分を上げてくれるんですよね。だから、何か予定や用事があるときはこっちを履こうって思う、マインド的な部分での履き分けみたいなことをしています。俺は普段BIRKENSTOCKを履くのはよりデイリーなシーンで、近所履きにするような感覚です。DIMISSIANOS&MILLERはどっちかっていうとちゃんと都内に出る時とか、ちょっと奥さんと食事に行こうって時に履いています」(柿本)

 

 

「初めてDIMISSIANOS&MILLERを取り扱いたいとお話しした時に、ブランド側からは『日本人はサンプルと違うものが届くとクレームになるから嫌だ』って言われましたが、その個体差があることってつまり一つひとつに作り手の感性が反映されているということで、そういったものを所持したり身に付けるとやっぱり気持ちは上がりますよね」(中出)

 

「そうだよね。ハンドメイドならではの、ソールに見える釘使いの感じとかに対して、『そういうものも日本人は嫌がる』って言われたね(笑)。日本人は繊細だって言われていたけど、でもやっぱりその機械的量産性のないアート性がいいところだから、それをしっかり伝えて、そこに理解を示して共感してくれる方の手に届くといいです。濃く表れている作り手の思いこそ、消してはいけないしいつもそこに敬意を持っていたいですね」(柿本)

 

 

 

photo : Ryuhei Komura

text : Yukina Moriya